マチとの遭遇 九州編

スロウな旅:タイクツーリズム

【特別編】芦北町への訪問

2020年03月21日 09:51 by keiki-kazeto
2020年03月21日 09:51 by keiki-kazeto

芦北町。この号は特別編として熊本県葦北郡芦北町の訪問についてお伝えしています。一見、芦北町になにがあるか?の観光ガイド的な紹介になっているようにみえますが目線は地域活性化ですので、“楽しさ”よりも“楽しくなさ”が伝わる可能性もあります。なお、同地のリサーチ依頼によるローカライズド(LCD)内での打ち合わせもありますので、こちらもお楽しみください。

この号は特別編として、熊本県葦北郡芦北町への訪問をお送りしています。なお、画像はローカライズド(LCD)メンバーによるものです。下手クソな点はご容赦ねがいます。

 

葦北郡芦北町。

同じ「アシ」でも
郡名と町名では異なる。

旅はつづくよ、どこまでも。
旅をつづけよ、いつまでも。

 

ー 芦北町の場所 ー

 

 

〓 2018年の訪問。訪問時期は5月、12月。 通過はこの限りではない。

 

■ 芦北町庁舎。市町村合併もないため合併特例債で豪華庁舎にできず、つつましい庁舎となっている。町名の読みは「あしきたまち」。緑の植樹がつつましいながらも歓迎しているようでもある。地域活性化目線で旅をするならまずは訪れた先の庁舎をみてみるべし(そんな人はいないと思うが)。

■ 一言でいうとこういうところ。青い海と白い雲。地方の定番色。海は穏やか、マチも穏やか。「芦北になにがあるか?」ときかれたら、「なにもないが自然がいっぱいある」と答えておこう。ただ、そんなところは日本じゅういたるところにある。

■ 一転して球磨川の中流域。ここも芦北町。自然あふれるマチだが、それだけではマチの競争力の点で弱い。「ウチは自然がいっぱい」は日本国内の田舎の常套句だ。大河になだれこむようなうっそうとした濃い緑は都会人には衝撃的なはず。なお、ここは中国ではない。日本の九州、熊本の芦北町である。

■ 道の駅芦北でこぽん。でこぽんとは柑橘系の果物の一つ。道の駅の名称に地元の産品の名前をつけるとは、①単品経済のマチ、あるいは②強気なマチ、それとも③わけが分からないマチ。いずれかであろう。でこぽんの文字の配色センスは評価が分かれるところであろう。コドモにはウケるのでは?

 

ー 道の駅芦北でこぽんの場所 ー

 

■ 地元芦北町にある岩永醤油。瓦がシブく外観がイケている。いかにも日本的アイテムだ。外国人にアピールしたい。白い壁とグレーの組み合わせ。キッコーマンならぬキッコーシンの名称で商売している。味噌・醤油の類はローカリティを示しやすい。ヨソ者は地域経済活性化のためにもぜひ購入を。関係ないが、店番のおばさん、よくしゃべる愛想のいい人だった。こういった人をマチの観光大使に任命したい。芸能人では真の地域活性化にならない。

■ 地元芦北町が運営するコミュニティバスのふれあいツクールバス。名称からふれあいを求めていることがわかる。当地では地域間の移動によってふれあいをはぐくんでいるようだ。地域活性化にはふれいあが大切。ぜひヨソ者は乗るべし。薄い青のカンバンがふれあいを求めている。

■ 肥薩おれんじ鉄道の佐敷駅(さしきえき)。芦北町の中心駅とも。赤字の「いらっしゃいませ」のカンバンは踊っているようでもある。「ら」は少々歓迎モードだ。デジタルサイネージになれた都会人にはこのいいかげんな人間味あふれる文字列は新鮮であろう。芦北町には、肥薩おれんじ鉄道で訪れるのがいい。

 

ー 佐敷駅の場所 ー

 

■ 佐敷駅前は広々して、車でも乗りつけやすい。二人一組になって片方は鉄道、もう一方はドライブという楽しみ方もある。ただし旅は原則一人で出よう。例外的な楽しみを提示してみた。アスファルトのグレーさが寂しげでやや残念だが、開放感も出している。駅前に2階建て以上の建物を目にしないのは、ストレスから解放する。


■ 地元の漁協の芦北町漁協。これだけ大きな文字で示して書いてくれると気持ちいい。それにしても文字の色がさわやか。芦北町では薄い青色をところどころでみかけるが、もしかしてCIを取り入れているのか!

 

ー 芦北漁協の場所 ー

 

■ 野坂の浦の歌碑。これだけの絶景では歌でも詠みたくなるのだろう。海がおどろくほどきれいな芦北町。透明度は高いようであった。スキューバーダイビングしたことがない自分でも、スキューバーダイビングしたくなった。

■ ここから対岸の天草まで定期便:不知火横断フェリーが出ていた模様。運行再開にむけて休航中らしいが、休航となったのは10年前の話。再開は難しいだろう。生活航路としては難しいだろうから観光航路としての復活はどうなんだろうか。フェリーの名称は不知火海横断フェリー(しらぬいかいおうだんふぇりー)。なんとなくカッコよくきこえる。さみしさ十分だが、さみしさを知ることで人に優しくもなれる(はず)。

 

■ 計石温泉という温泉センターをみつけた。バスでも行けるようだが、1日往復で3本程度。地元住民とふれあうには、温泉に入るべし。芦北町の選挙区は熊本県第5区。選挙区には川辺川ダムもあってややこしそう。賛成派、反対派ともに温泉に入って解決できないものか。

■ 地元産の柑橘系の作物。マチの重要な経済資源でもある。黄色がまぶしい。

■ 芦北町にAZホテルアリ。少ない予算で旅ができる。歩いて数分のところにもジョイフルもアリ。地域活性化の旅にはAZホテルは重要な施設だ。レインボーのデザインはLGBTを意識してか。AZホテルについて詳しく知りたければココを

 ■ マチにボウリング場。過疎化の進むマチにとっては重要な交流拠点だ。ボウリングによってふれあえる。ただしカンバンは補修が必要だ。町名を冠した施設のカンバンが破損していると、ヨソ者へのイメージが悪くなる。地域活性化のためにも補修を急がれたい。

■ こういった駅舎にそそられないようであれば、地域活性化の旅には出ないほうがいい。画像の駅は肥薩おれんじ鉄道の湯浦駅。星野富弘美術館へはここで下車すると近い。赤いポスト、なんだかローカルを演出しているようにもみえる。対照的にコカ・コーラの赤い自販機。こういった場所でも商売とは、なんと熱心なこと。

 

ー 湯浦駅の場所 ー

 

■ 地元町営の温泉。施設は古い分、入浴料は安い(価格忘れた)。どういうわけかジャグジーの種類が豊富。町営の温泉といえども差別化の必要性に駆られてだからだろう。レストラン:湯ートピア、ベタな店名に負けずがんばってほしい。食堂、いやレストランのおばちゃん、チキンカツ、おいしかったよ。

■ わがマチに湯浦温泉アリと示すカンバン。できればこれくらい主張してほしい。温泉マークの湯気が、赤の直線になっているのは少々残念。それとも都会のデザイナーの入れ知恵か。もしかしたら温泉マークではないのかも。

■ 町立の星野富弘美術館。星野氏は地元出身ではないが、ご縁があって芦北町に美術館を建設したようだ。単独アーティストの展示施設は地域活性化に吉と出るか凶と出るか。入場者数が気になるところだ。白いタイルの壁が上品だ。

■ 空き店舗はマチのイメージを悪くする。しかも見通しの良い場所にあってはなおさらだ。オーナーは地域活性化のためにも早く借主を探してほしい。店舗の外観は明るいぞ。カフェオーナーを目指す気骨のある若者こそ、ここでチャレンジしてほしい。きっと黒いエプロンのイケメンは町の人をとりこにするだろう。

■ 芦北のロケーションがわかる案内。高速道路のインターチェンジもあり、交通アクセスは良さそうだ。空も青い、標識も青く同化しているようだ。関係ないが釣具店のカンバンも青地に白抜きだ。

■ 田浦町とは合併して芦北町になった葦北郡内の旧市町村。画像は肥薩おれんじ鉄道の肥後田浦駅の駅舎内。特産品のガラスケースがからっぽ。これではマチに特産品がないイメージを植え付ける。地域のにぎわいを演出するためにもなんらかの産品を並べるか、ケースそのものをかたづけてほしい。それでもやたら貼り紙が多いので、にぎわっているようにはみえる。

■ 画像は肥薩おれんじ鉄道の車両。芦北町をこの車両が突き抜ける。乗りたければぜひ芦北町に。1両だけの列車を見るのもヨシ、乗るもヨシ。白い車両は沿線に映える。映画「かぞくいろ」の舞台にもなった鉄道路線でもある。

■ 地元の名所旧跡の赤松館。「せきしょうかん」と読む。国の文化財だからか「あかまつかん」とはスンナリと読ませない。残念ながら訪問時はなぜか休館日だった。訪問する際は、開いてるかどうかを確認しよう。

■ たのうら御立岬公園駅。「おたちみさき」と読む。芦北町ではこういった夕日ウエルカムな駅舎に遭遇できる。しばらくあたたかな夕日にあたっていたい。駅名から察するに、ビーチ(海水浴場)のある公園もある。ここは都会とちがってホコリっぽさを感じない。

■ 時間によっては1両編成の赤い車両に出会う。場所は肥薩線の吉尾駅付近。鳥のさえずりとともにディーゼルエンジンの音を耳にすることができる。車両の振動も感じられる。この音、この振動にふれるだけでも訪れる価値はある(と思う)。この空間に赤い車両とはヨーロッパの山岳地のようだ(行ったことないけど)。

■ 見上げて見える駅はJR吉尾駅。ここから歩いていけない距離ではない場所に吉尾温泉がある。緑々した樹々がウッソウとしている道中を行く。道中は歩きやすい。あたりにはコンビニなどはないため、食料は事前調達したほうがいい。空気がうまい。緑の苔がなんとも日本的風情。

 

ー 吉尾駅の場所 ー

 

■ 画像の白い建物が町営吉尾温泉。大人170円。一見、人の家にもみえるが温泉施設。階下の部分が温泉、上の部分は畳敷きの休憩所となっている。これだけでは近寄るにも勇気が必要。地元は地域活性化のためにも「ここが吉尾温泉です」みたいなカンバンを出してほしい。

■ これが吉尾温泉。透明なお湯が入浴をそそる(かな)。大人一人は十分入れる広さ。混浴ではなく、女性は女性専用のフロがある。この際、先客がいたらどうしようとは考えずにまずは行ってみよう。画像が下手なのはご愛敬。

■ 全面緑色の場所。橋の上に白いマイクロバスが走る。便数は1時間に1本程度なのでヨソ者が乗るには多少の運あるいは事前確認が必要だ。ここでは都会とちがって1時間たっても人とすれちがわない。耳にするのは鳥のさえずりのみ。

■ 道の駅大野温泉。道の駅に温泉はありがたい。立ち寄ったついでにツイ入ろうかという気分になる。それともはじめから入る目的で寄るという手もある。茶色の帽子みたいな屋根が気になるようだったら現地を訪れてほしい。ちなみにJAあしきたの運営。

ー 大野温泉の位置 ー

 

■ パステルカラーな建屋の商業施設。こちらもJAあしきたの施設。なぜ、この色なのかと疑問を抱いてはいけない。地方とはこういうもんだ。道の駅でこぽんに併設しており、地元ネイティブの利用は高いと思うが、そういったこととは関係なく、店舗の外壁の色に目がうばわれた。外壁の色でヨソ者の目を引くというのも地域活性化の策になるかも。

■ マチには一つぐらい日本一がほしい。ということで芦北町は日本一の大瓦モニュメント。左の自動車から瓦の大きさがわかる。しかし。これ一つでは見るだけで終わってしまう。地域活性化のためにももうワンポイント欲しい。それにしても緑の木々をバックにしたグレーの瓦はインパクトがある。

■ JR白石駅。このあたりもまだ芦北町。こういったところを訪れてこそ旅。ただし、退屈極まりない。しかし、それも旅。白石駅について詳しく知りたければこちらを

■ 給油所難民などが社会問題化される昨今だが、ここにはちゃんとガソリンスタンドがある。このあたりでは車での移動でもガソリンスタンドの心配は不要。ただし、ここは芦北町のとなりマチの球磨郡球磨村。川を越えると別のマチ。

■ 芦北町はこんなところでした。

 

本号はここまで

【特別編】 芦北町への訪問

 

リサーチに協力していただい方々に感謝いたします。
一方、リサーチに協力していただけなかった方、次回ご協力にお願いいたします。

 

訂正の連絡はこちら

 

【注意】
地図はグーグルより加工
価格・数量などは初回公開当時のもの
画像は下手上手関係なくローカライズド(LCD)
なお、取材日当日でないものもアリ
現地に赴く場合は、公式情報を確認されてから行くように

初回リリース:20190209

ここで紹介したことはすでに過去の情報となっていることを申し伝えておきます。

 

マチとの遭遇 九州編
#オールラウンド九州(ARQ)

 製作:ローカライズド(LCD)

■ メンバー
#1 風戸ケイキ(リサーチ他)
#2 ワリアイト・リョウ(リサーチ他)
#3 タシロ(プレス)

 旅とカットソーシリーズ 2019

 

 なお、芦北町はここに示した画像以外にも魅力がある。これはあなたにとっては予告編程度だ。本編はあなた自身が現地に行って確認されたし。そこでマチとの遭遇#芦北町編は完結する。本号はここまで。しかし旅をここで終わらせてはいけない。これからも続く。

 

旅。それは旅行ではない。

 

 

 

 

 

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