低価格志向は年々強まっています。とはいうものの、お値段のお高い商品も売れています。焼酎がそうです。焼酎は九州の地場産業であり、焼酎は九州の経済をけん引しているアイテムの一つといっても過言ではありません。九州を中心に活動しているローカライズド(LCD)としても焼酎は見逃せないアイテムです。そこでお値段高くても売れる+常に話題のプレミアム焼酎について考えてみました。
焼酎
読み:しょうちゅう
同じアルコールでも焼酎が日本酒より格下にみられるのが、ガマンならない方に。
【注意】
アルコールを扱っているコンテンツですが内容からして20歳以下でも問題ないと思います。
■ 焼酎@九州#3M
3M。スリーエム。ポストイットで知られた会社ではありません。焼酎業界で3Mというと、入手困難な森伊蔵、魔王、村尾の3銘柄の芋焼酎のことです。
- 森伊蔵
もりいぞう - 魔王
まおう - 村尾
むらお
3銘柄それぞれの頭文字をとって3Mと称されています。
【 森伊蔵さんの入り口 】
■ 焼酎@九州#3M
芋焼酎で知られているクロキリは1,800円(1升)程度で買えますがこちら3銘柄は、店頭あるいはネットではそれぞれ1万円超します。
3Mの製造元
- 森伊蔵
森伊蔵酒造 - 魔王
白玉醸造 - 村尾
村尾酒造
これら3銘柄はいわゆるプレミアム焼酎です。
清酒の高級カテゴリーの大吟醸の平均的相場価格は5,000円超(1升)といわれているところ格下の焼酎のほうがお値段高くあります。ただし3M限定ですが。
焼酎を高く売るには
不便な場所にあってもOK
■ 焼酎@九州#3M
3Mのメーカーは鹿児島県に所在しています。鹿児島県は焼酎をよく飲み、よくつくる土地であり、焼酎の産地です。
- 森伊蔵
森伊蔵酒造@垂水市 - 魔王
白玉醸造@肝属郡錦江町 - 村尾
村尾酒造@薩摩川内市
インターネットで調べればそれぞれのメーカーの住所はわかりますが、3メーカーともに最寄駅から歩いて行くには遠い場所にあります。
不便な場所にあっても関係なく高く売れるようです。
焼酎を高く売るには
製造元は下戸でもOK
■ 焼酎@九州#3M
下戸(げこ)とは体質的にアルコールを受け付けない人のことです。
焼酎のメーカーだけに「そりゃ飲むだろう」と思うのは、シロート考えみたいなもので、焼酎メーカーの社長にはあんがい下戸な方がいらっしゃいます。
森伊蔵酒造の5代目当主は28歳まで下戸でした(*)。
*NIKEI The STYLE 201910203
焼酎を高く売るには
ウィキペディアになくてもOK
■ 焼酎@九州#3M
森伊蔵と魔王は焼酎そのもの、それを製造している会社ともにウィキペディアで紹介されていますが、村尾はどちらもありません。
それでも村尾は高く売れています。
■ 焼酎@九州#3M
自社公式HPがあるのは3メーカーのなかでは森伊蔵だけです。
3メーカーともにSNSなどはなく、世の中とのつながりを意識せずとも高く売れるようです。
*20210629検索。
焼酎を高く売るには
非焼酎エリートでもOK
■ 焼酎@九州#3M
森伊蔵酒造の5代目当主は家業を継ぐまで地元鹿児島を離れて神奈川県で喫茶店を経営していました。
ちなみに喫茶店を経営する前は短大で電子工学を学んでおり、酒造メーカーの跡とりにありがちな東京農業大学の醸造科の出ではありません。
喫茶店経営者の前は通信機器メーカー、家電販売会社と定職定まらず1970年代後半の若者であった者の生き方としてもコドモのお手本になる生き方とは言い難くあります。
■ 焼酎@九州#3M
村尾酒造の4代目当主は、先代の娘婿です。焼酎造りをするまでは、会計事務所勤務でした(*)。
非主流派でもやれるということでしょうか。
*九州焼酎島HP#蔵元探報
焼酎を高く売るには
シラク大統領に知られなくてもOK
■ 焼酎@九州#3M
シラク大統領はフランスの大統領であった人物です。フランス人でありながら土偶と埴輪のちがいがわかるほどの親日家です。
同大統領が森伊蔵を愛飲しているのは、一部の人の間では知られた話ですが、一国の大統領に好まれるとは、プレアム焼酎にはふさわしいストーリーといえます。
■ 焼酎@九州#3M
プレミアム焼酎となるには、外国の国家元首に選好されなければならないように思えますが、村尾や魔王にそういった話はきかないので、大統領に好まれなくても高く売れるようです。
焼酎を高く売るには
中田英寿氏に注目されなくてもOK
■ 焼酎@九州#3M
日本の伝統工芸品などに強い思い入れのある中田英寿氏(職業不詳、中田英寿そのものが職業とも)は、日本の伝統文化ともいえる醸造業にも造詣が深くあります。
醸造といえば酒や焼酎の類であり、日本の伝統文化でもあってか中田氏はひいきにしています。
中田氏が取り上げた銘柄は人気になるということですが、3Mを中田氏がとりあげたという話はききません。
中田氏に取り上げられなくても問題ないということでしょう。
焼酎を高く売るには
広げなくてもOK
■ 焼酎@九州#3M
3Mのメーカー、現在のところ森伊蔵は森伊蔵だけの製造ですが、村尾酒造は村尾の他に薩摩茶屋、白玉醸造は魔王以外に白玉の露、天誅などを製造しています。
3メーカーとも3M以外の焼酎のお値段は3Mほどには高くありません。
■ 焼酎@九州#3M
ブランド品あるいはブランドビジネスとなると、単品経営のケースが多いようですが、3Mのなかでは単品銘柄経営は森伊蔵だけです。
森伊蔵も以前は錦江という銘柄を製造していましたが、アイテムを増やさない姿勢は。
やはりブランドへの意識が強くあると思えます。
■ 焼酎@九州#3M
3Mは大量に製造されていないので、大量に出回ることはありません。
フェラーリの年間生産台数は1万台を超える程度ですが、トヨタは790万台生産しています。
森伊蔵酒造は4石の甕壺が50ヶ、霧島酒造は1日の生産量が1升瓶換算で20万本です。
石高ベース
- 森伊蔵
200石 - 霧島酒造
6545.4石
上記の数字は森伊蔵は年間、霧島酒造は1日です。どちらがフェラーリでどちらがトヨタ自動車かがわかります。
焼酎を高く売るには
地域性をださなくてもOK
■ 焼酎@九州#3M
3Mの本社と工場は鹿児島県に位置しています。
村尾は鹿児島県の北部の薩摩川内市で製造しており、森伊蔵と白玉醸造は大隅半島で製造しています。
先にもお伝えしましたが3メーカーとも辺鄙なところにあります。
■ 焼酎@九州#3M
焼酎は九州の地域資源であるも3Mにはさほど、銘柄名にローカリティは感じません。
森伊蔵は先代の本名です。村尾は製造元の名前です。魔王は架空のキャラクターで、3Mには地元ムードがありません。
地域由来の産品であると、とかく地域イメージ必須なところがあるのですが、3Mに関してはありません。
ローカリティを感じさせなくても売れるということでしょう。
焼酎を高く売るには
マーケットインでなくてもOK
■ 焼酎@九州#3M
ビジネスマンの間では「お客様の声をきく」のが売上拡大の策と耳にします。
たしかに商売はお客がいて成り立ちますが、3Mにかぎってはお客の意向に沿ってないようでもあります。
森伊蔵は今のようになるために「お客のほうから買いに来てくれる焼酎を作ればいいのでは?」というところからはじまっています。
■ 焼酎@九州#3M
世の中は低価格志向にあわせて顧客志向です。
お値段安いものが求められていますが、3Mはお高くても売れています。
しかもお客の声をきかなくても売れていくようです。
焼酎を高く売るには
自社HPがなくてもOK
■ 焼酎@九州#3M
3Mの3銘柄、買いやすいか(入手しやすいか)というと、買いにくくあります。
お値段もそのものが買いにくくある理由の一つですが、供給が少ないためそれほど出回っていないことが入手を難しくしているのも理由の一つではないでしょうか。
買ってもらうには買いやすくなければなりませんが、3Mはどれも買いにくくあります。
■ 焼酎@九州#3M
インターネットの時代、自社HPなどで販売するという手もあります。
DtoC
森伊蔵の他の2蔵にはHPはありません。
森伊蔵も自社公式HPはありますが、そのHPでは販売されていません。
ちなみに霧島酒造は自社HPを持ち、そこで販売していますし、酒屋やスーパーなどではたいてい販売されています。
■ 焼酎@九州#3M
3メーカー3銘柄ともインターネットにて買うことはできます。 ただし値段は高くあり、品切れも多くあります。
森伊蔵は多少販売に力を入れているつもりなのか地元百貨店の山形屋で販売していますが、店頭に足を運んだからといって必ず買えるわけではなく、抽選販売となっています。
その当たる確率は0に近いほどの確率です。
電話でも販売していますが、こちらも抽選販売となっており、当たる確率は0に近くあります。
こういったことからHPがなくても大丈夫、プレミアム焼酎となるには、むしろHPがなくてもOKというとことでしょう。
■ 焼酎@九州#3M
なお、森伊蔵に電話しても、ほぼ通話中でつながりません。
焼酎を高く売るには
トレンディドラマに登場しなくてもOK
■ 焼酎@九州#3M
大手メーカーであると、テレビCMを打って自社製品の宣伝をします。
クロキリの霧島酒造は横綱白鵬関を使ってTVCMをしていました。
九州の焼酎メーカーをおびやかすオエノンHD(本社@東京都)はTVドラマで焼酎の材料となる焼酎が取り上げられたことで、焼酎の売上高は前年同期比10%伸びたとのことでした(*)。
* 日本経済新聞20210813#17面
■ 焼酎@九州#3M
宣伝広告費がふんだんにある大企業だとできまるふるまいですが、中小・零細メーカーだとそうはいきません。
3Mの3メーカーも企業規模としては大企業ではなく、中小・零細メーカーです。
TVCMを打つことなく、トレンディドラマに取り上げられることなく、高く売れています。
焼酎を高く売るには
権威にたよらなくてもOK
■ 焼酎@九州#3M
プレミアム焼酎というからどこからかのお墨付きがあるように思われますが、なさそうです。
○○コンペ
○○コンクール
などと賞とは無縁なようです。
モンドセレクション受賞の焼酎は毎年数多く登場しますが、これら3Mがモンドセレクションを受賞したという話は聞きません。
■ 焼酎@九州#3M
お墨付きといえばお役所であり、酒・焼酎の類であると、国税庁となります。
その国税庁は毎年酒類鑑評会をメーカーの品質向上にもなるように開催しています。
この鑑評会でこれら3Mの受賞は見当たりません。
お墨付きがなくても高く売れるようです。
■ 焼酎@九州#3M
焼酎はローカリティの強い産品です。
球磨焼酎
大分の麦焼酎
奄美黒糖焼酎
さつま焼酎
など地域ごとに別種の焼酎があるようにみえますが、狭いエリアでの製造・販売となるので産地を示すことで差別化をはかっていると思われます。
■ 焼酎@九州#3M
九州の長崎の離島に壱岐というところがあります。
同地で製造される焼酎は麦を原料にした壱岐焼酎です。
この壱岐焼酎というのは、WTOによって表示の使用を規定されています。
WTO
世界貿易機関
こういった規定を地理的表示といい、壱岐焼酎はなにかと宣伝する際に
「世界が認めた」
と表示しています。
WTOは国際機関ですので、「世界が」のところは理解はできますが「認めた」のところはなにを認めたのかは不明です。
また、日本のアルコール類でWTOが認めたのは壱岐焼酎だけではないことも付け加えておきます。
焼酎を高く売るには
定価はあってもOK
■ 焼酎@九州#3M
3Mはそういった権威に頼ることなく、高く売れています。
とはいっても実際に世の中に出回っている商品だけにメーカー希望小売価格もあります。
下記は1本(1升)のお値段です(*)。
- 森伊蔵
2,860円 - 魔王
3,240円 - 村尾
2,650円
*検索時期 20210619
■ 焼酎@九州#3M
3銘柄ともにクロキリよりはお高いのですが、買えないお値段ではありません。
どれもメーカーの店頭で販売されていないので小売店で買うしかありません。
メーカーから小売までの流通過程でお値段が高くなっていくので、お高くなるようです。
プレミアムは出荷された段階からつくようです。
■ 焼酎@九州#3M
高くても売れるものは売れるということでしょうか。
それにしても販売する側からすると、うらやましい話です。
3Mの存在は、世の中に出回っているブランディングが姑息な手段にみえます。
本号はここまで
焼酎を高く売るには。3Mのケース。
リサーチに協力していただい方々に感謝いたします。
一方、リサーチに協力していただけなかった方、次回ご協力にお願いいたします。
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【注意】
地図はグーグルより加工
価格・数量などは初回公開当時のもの
画像は下手上手関係なくローカライズド(LCD)
なお、取材日当日でないものもアリ
現地に赴く場合は、公式情報を確認されてから行くように
初回リリース
20211013
ここで紹介したことはすでに過去の情報となっていることを申し伝えておきます。
マチとの遭遇 九州編
#オールラウンド九州(ARQ)
製作:ローカライズド(LCD)
■ メンバー
#1 風戸ケイキ
(リサーチ)
#2 ワリアイト・リョウ
(リサーチ)
#3 タシロ(プレス)
旅とカットソーシリーズ
2021
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