マチとの遭遇 九州編

スロウな旅:タイクツーリズム

【報告】長崎市をウロウロする ①/4

2020年03月21日 09:49 by keiki-kazeto
2020年03月21日 09:49 by keiki-kazeto

長崎市。その市内を坂を中心にウロウロしただけの記録です。路面電車に乗ったり、途中歩いたり、長崎駅の待合室にいたりと、本当にウロウロしています。目線はあくまでも地域活性化目線ですので、旅の記録といえばたしかに旅の記録ですが、それだけではない楽しさをお伝えしています。

【 長崎市内 】

〓 長崎市は坂の多いマチとのこと。スピーチの定番フレーズに「人生には3つの坂があります」がある。妙に神妙な面持ち知はじまるアレだ。知っている人は例外として、見当のいい人は①のぼり坂と②くだり坂と、2つの坂にはすぐに気付く。

 3つ目は「まさか!!」であるが、たまに最初にオチである「まさか」を言ってしまう人がいて、聞かされるほうは消化不良となる。  

 オチを最初に言ってしまうのは「まさか」の事態だが、今回のリサーチに「のぼり坂」と「くだり坂」はあったが、「まさか」はなかった。

 別件で長崎への出張があったこともあり、ついでに長崎の坂のリサーチを兼ねて長崎市内の坂を上ったり下ったりしてみた。  

【 平和祈念像@平和公園 】 

旅こそ一人旅。
こっそり一人旅。

長崎市の坂は2つ。
のぼり坂とくだり坂、まさかはナシ。

長崎市の坂

移動した人:風戸ケイキ

目的:当地の予備リサーチ

〓 例によってワリアイトはワリアイトで別に動いている模様。今回のリサーチは長崎市の観光コンテンツにはなにがあるんだろうというごくありきたりの動機からだった。いまさら長崎市で観光コンテンツのリサーチはないだろうが、そのうちリサーチ依頼があるだろうから長崎市内をウロウロしてみた。

― 長崎市の場所 ―

 〓 長崎市は九州の西の端にあり、このところは人口流出市町村ワースト1位を記録したマチとして地元は落胆をふくめて、その話題でにぎわせている。坂の多さと人口減はさほど、いやまったく関係ないと思うが、とりあえず坂にむかった。

長崎市の推計人口 令和元年5月1日現在(前月比)

人口 413,129人(91人増)
 男 190,154人(67人減)
 女 222,975人(158人増)
 世帯数 187,380世帯(643世帯増)

* 長崎市総務部統計課

長崎は女子が多い。あらためて気づく。

■ 長崎といえば坂

 坂に出向く前にネットで調べた。「長崎 坂」で検索すると、それだけでなにやらヒットする。

ドンドン坂
オランダ坂
県庁坂

 など多数ある。長崎の坂だけのサイトもあり、長崎は坂が充実しているようだ。個人的には観光地として知られているオランダ坂よりも、ドンドン坂に興味がそそられた。

 ドンドン上っていくのか、それとも下っていくのか? 長崎市の担当課も市内の坂を紹介している。公的にも「推し」のようであり、とにかく坂の多いマチとうかがえた。

■ 長崎といえば坂

 今回のリサーチは別件での出張の合間の中日のリサーチである。のんびりしているヒマはない。早朝から行動することにした。

 長崎市内はありがたいことに路面電車が走っている。予算もないことから路面電車で行ける範囲の坂にあたってみることにした。

 今回の出張の宿は電停;大波止近辺。JR長崎駅からも近く、ロケーションとしては実に便利だった。

 ここが最適な場所かどうかわからないが、年収400万円ていどの自分には最適であった。

 ホテルのHPにはワンランク上のホテルとあるが、長崎にはここよりもさらにランクが上のホテルがあると思えたが、どうなんだろうか。おかげで気分はワンランク上になった。

【 電停:大波止 】

■ 長崎といえば坂

 宿の最寄りの路面電車の電停は大波止。その早朝の一発目は6:25となっている。

 起点駅はどこかわからないが、早朝一発目が6:25とは遅い気がする。 日本の西の端にあるせいか朝は遅いのかもしれない。

 オリーブ色のシャツジャケットを袖に通す。ワイフが言うにはこのところの流行りらしい。肌寒い4月下旬の朝にはちょうどいい上着であった。なお、同上着はワイフが選んで自分が支払った。ちなみにワイフは自分より所得が高い。

【 電停:大波止時刻表(崇福寺行) 】

■ 長崎といえば坂

 大波止駅の電停。電停は車道の中央部分に位置しており、その両サイドを車やバスが行き交う。

 車はけっこう電停のギリギリをかなりのスピードで通りすぎていく。路面電車に乗りなれないヨソモノの自分には、少々キケンに感じた。

 長崎市民はスリル と同居しているとみた。  

 「なかなか来ないなあ」と遠くに目をやると、のんびりと箱型の車両がやってくるのが見える。このスリルとノンビリ感のギャップは大きい。もう少し急がれてはと思った。

 新幹線やJR九州の水戸岡鋭治センセイのデザインコンシャスな車両を見慣れた自分にとっては、箱型のアナログな路面電車には昭和を感じた。昭和を通り越し平成もすぎようとしている時だけに強く感じた。  

 電車をのんびりさせているのは、マチの余裕にもみえる。しかしドライバーにとっては迷惑極まりないのだろう。

【 車両 】

■ 長崎といえば坂

 電停:大波止に到着後、すぐに乗り込む。早朝一発目でもガラガラではなく、先客多数。

 ほぼお客は通学・通勤客。観光客とおぼしきお客は自分のみ。早朝からウロウロする観光客はいないのか? 大波止、出島とそれぞれ電停を通りすぎていく。ゴーと音が車内にひびく。

 わりあいとうるさく感じたが、この音は静まりはしないのでこれが通常なのだろう。

 ときおりチンチンと耳に心地よい音も聞こえる。 デジタル化にも対応しなければならないようで、ICカード対応のためのカードリーダーを設置している。

 車両はアナログ極まりないが、この部分だけはデジタル対応しており、行く先も電光掲示版で示され、運転手氏の名前も紹介されている。

長電アプリ

 長崎の路面電車のモバイル乗車券はたいへん便利であった。

 スマートフォンに同電車のアプリをダウンロードして24時間乗車券(600円)を購入した。決済はクレジットカード。購入した瞬間から24時間のカウントダウンがはじまるのは世知辛く感じたが、わかりやすくもある。

【 電停:五島町 】

■ 長崎といえば坂

 長崎の路面電車は130円の均一運賃。車内では値上げのお知らせをしている。値上げではなく運賃改定となっている。

 10月からは消費税も8%から10%に上がる。値上げは妥当と思えた。

 それまではいくらだったかは示されておらず、お知らせからはわからない。 後で10円の値上げと知る。

  120円→130円

 ヨソモノからしてみれば10円の値上げはなんともないが、値上げはネガティブなイメージを与える。

 この運賃は路面電車としては日本一安いらしい。九州には熊本市と鹿児島市に路面電車がある。

路面電車に普通に乗ったら(大人一人)

長崎市  130円均一
熊本市  170円均一
鹿児島市 170円均一

 熊本と鹿児島のそれは市の運営だが、長崎市は民間企業。40円の差は民間企業としての努力か?

 それにしても長崎の路面電車の耐用年数はすこぶる長くないだろうか。見た目古すぎる車両が多く走っている。これもコスト削減策の一つだろうが、同社の経営が気になる。

# 長崎市内を走る長崎電気軌道株式会社の開示されている情報からみると、経営状況は以下のとおりです(*)。

長崎電気鉄道の経営状況(H29年度)

営業収入 21億8,649万円

営業費用 21億5,238万円

営業利益    3,410万円

 単純に営業収入から営業費用を引くと営業利益は3,410万円、営業利益率は1.6%となり、数年前からこの低利益率状態となっているようです。

H25年度 2.4%

H26年度 2.5%

H27年度 1.1%

H28年度 0.9%

 並の中小企業の営業利益率が10%と巷ではいわれるなか、同社の1.6%はかなり低いといえます。

 必ずしも営業収支イコール売上高ではないので、なんともいえませんがそれにしても営業利益は少ないのではないでしょうか。その分、利用者はお安く乗れるわけですが。

* 長崎電気軌道株式会社HP

【 長崎電気軌道(株)本社社屋 】

■ 長崎といえば坂

 どこまでも行っても130円の長崎の路面電車だが、1回降りると130円払わければならない。

  途中で降りてしまえば損

 というわけではなく、乗り継ぎという仕組みがある。この仕組みがあるので乗り換えるために一旦降りても130円で済む。

 乗った電車と行く先によっては乗り継ぎをしなければならず、出島の次の電停:新地中華街がその場所である。乗り継ぎする際は、運転手さんから乗り継ぎ券をもらう。

どこまでも130円  

 乗り継ぎの電停は新地中華街。同電停の目の前に十八銀行の本店がある。地元長崎の銀行だけに、このあたりでは立派な建物だ。ビジネス街でもあるようで、あたりにはオフィスビルが建っている。

 以前、仕事で同本店を訪問したときもここで降りたが、そのときは築町という電停だった。電停の名称も変わるらしい。新地中華街の電停名のほうが、観光客にはありがたい。目指す場所がすぐにわかる。

【 電停:新地中華街 】

【 大波止 → 新地中華街 】

■ 長崎といえば坂

 新地中華街で下車。少々時間があるので中華街まで歩いてみた。ほんの2分だ。

 電停からは中華街らしい赤い門がみえる。早朝だけに店も開いておらず、人もおらず。 ウィキペディアによると、長崎の新地中華街は日本三大中華街の一角とある。

 東京の知り合いから「長崎の中華街はあの一筋だけか」と言われたのを思い出した。

 彼はこぢんまりした中華街にガックリしたようだった。自分は他の二つの中華街を知らないが、他の二つはよほど大きな中華街なのだろうか。

 

【 長崎の中華街の門 】

■ 長崎といえば坂  

 「日本三大〇〇」の類に九州からのエントリーがあると、九州人として知名度のなさ、あるいはそれらと九州のそれの格差を痛感するが、長崎の中華街もその例に当てはまる。  

 福岡の小学生であった自分からすると、修学旅行は長崎と相場が決まっており、ここを訪れたものだが、ナショナルレベルでは、たいしたことはない中華街なのだろう。

 しかし、ここと横浜や神戸以外のマチに中華街がないことを考えると、長崎のそれは誇らしいコンテンツといえる。  

 この中華街に外国人観光客も多く訪れており、本場中国人もここでよくみかける。きっと「よく真似てるね」とか言っているのだろう。 

■ 長崎といえば坂

 早朝の中華街はみるべきもなく、映画にありそうなチャイナタウン独特のヤバい空気もないため(単に感じられないだけのことか)さっさと後にする。電停:新地中華街でしばし待つ。

 長崎の中華街には、藤田観光が運営するチェーンホテルの長崎ワシントンホテルがある。電停からもみえる。

 ゴールデンウィークの予約状況をみてみた。お一人様は埋まっているが、複数客は多少空きがあるようだ。ゴールデンウィークに「空き」とは観光地ナガサキもカゲリがみえているのか。

# 長崎市の観光客数にカゲリなどはみえてません。ただ、総数では増えていますが、宿泊客は平成27年度をピークに減らし、平成29年度に一旦増加に転じましたが4年前の水準より5%少なくなっています。宿泊客は消費額が大きいため観光収入で稼ぐ長崎市には、宿泊客減は痛手です。 まとめると

  1. 総数では増えている。
  2. 宿泊客は減、日帰り客は増。
  3. 宿泊客は増加に転じるも4年前の水準にはもどらず。
  4. 消費額の大きい宿泊客減は地元経済にはイタい。 

長崎市内の宿泊客+日帰り客数の推移  

H25年度 607.8万人  

H26年度 630.7 万人

H27年度 669.4万人

H28年度 672.4万人

H29年度 707.8万人

 観光客は増えはしている。

* 長崎市 総務部統計課 HP

 なお、地元長崎新聞によると、長崎ワシントンホテルは2019年12月に営業終了とのことです。 

■ 長崎といえば坂

 電車が到着したので乗り込む。高校生が眠そうな顔をして座席に座っている。お年寄りは座りたそうに立っている。

 運転席のうしろの座席が空く。お年寄りにさっさと取られた。先頭部分の運転席は人気のポジションらしく、そこは空くことがない。

 西浜町、浜町アーケード、めがね橋と電車はすすむ。

 運転席のうしろの座席も空き、さっそく座る。軌道内の白い石畳が電車の窓からみえる。石畳には風情がある。

 このあたりは上り坂になっているようで体に傾きを感じる。

 車内にモーター音と鉄のレールと車輪の音がひびく。振動も伝わる。ちょっと目線を上げれば架線が見える。

 「電車」を実感する。鉄の車輪が鉄のレールの上を行っている感触をときおり味わう。

【 「わたなる」って 】

■ 長崎といえば坂

 電停:諏訪神社に到着、下車。

 同電停は四つ角のまんなかにあるため地下道を通って道路に出るようになっている。

 暗い地下道の壁に盗撮に注意の案内があり、地下道の階段はスカートの長さによっては、中がのぞけるほど急である。なにごとも急なのが長崎だ。  

 長崎の坂情報には、諏訪神社の坂は紹介されている。おさえておくべき坂のようだ。

【 諏訪神社入り口 】

■ 長崎といえば坂

 坂というより石段の階段だが、その石段が延々とつづく。拝殿や本殿までのぼり続ける。

 地元の一大イベント:長崎くんちでは、同神社の参道はパフォーマンスの舞台となり、その石段は階段席となるようだ。

 本殿を正面にパフォーマンスをするためこの階段が観客席となるらしい。しかも特等席のようだ。

 コドモの日にはコドモの健脚を競う大会が開催され、長崎の行事の一つになっているらしい。それにしても長い。だから長坂というのか。

 50前の自分でも10分かければ十分登れる。普段の生活で階段を10分登りつづけることはない。いい運動になった。

 登りきったところで向かいの山を見る。頂上近くまで住宅が建ちならんでいる。

 長崎は平たんな場所がなく、坂の多いマチというのを実感した。

【 つづく石段 】

■ 長崎といえば坂

 上がり切ったら下る。電停:諏訪神社に引きかえし、長崎駅前までいくことにした。電停に立つと遠目に電車が向かってくるのがわかる。

 ここでも電車は全速力で走っているようだけど、そもそもの速度が遅いのでガンバリの割には、結果の出ないお荷物営業マンのようにみえ、苦い思い出を思い出した。

 おかげで電停に立つたびに、この苦い思い出が頭をよぎるようになり、遠めに見ないようにした。

 努力は人の見ているところですべしという知り合いのコルム君のモットーを思い出す。

 さまざまなことがよぎる。

 電車到着。さっさと乗車。長崎駅前に向かう。またしても運転席のうしろの席空いておらず。市民会館、桜町とすぎていく。

 路面電車であるにもかかわらず、トンネルがあることにおどろく。これはトンネルではなく、トンネルのようなものと、後で知る。

【 諏訪神社上りきった 】

■ 長崎といえば坂

 まだ、朝メシを食べていない。電停:長崎駅前で下車。駅前の道路上空は歩道橋が行き交う。

 路面電車は人に優しくもあるようだが、高齢者は上り下りに苦労している。早朝から移動とは高齢者にどういった用事があるのかわからないが、苦労して上り下りしている。

 人間にはきびしいが、人の横断で車を止めないので交通状況には優しい。  

 長崎駅まで来ればなんらかの朝食にはありつけるだろうと思って、ここまで来た。歩道橋の高いところから360度見渡すとオレンジの吉野家のカンバンが目に入る。

 長崎に来てまで牛丼は避けたいと思いながら歩く。たしか昨日、食べた。吉野家をやめ、コンビニのサンドイッチと調理パンにした。

【 電停:長崎駅前 】

■ 長崎といえば坂  

 そのサンドイッチをJR長崎駅の待合室で食べることにした。かねてからこの場所でなにかを食べたいと思っていた。

 JR長崎駅は終着駅、しかもこの先がない行き止まりの駅である。

 JR長崎駅には、この行き止まりの駅のいよいよ行き止まりという場所の先に待合室がある。

 待合室は列車の進行方向に相対し一面ガラス張りになっている。待合室のイスもホームに向けて設置されているので、先頭車両に対面するようになる。

 この手の駅は専門的には頭端式ホームというらしく、行き止まりの駅であるためたとえ回送列車であってもこの先はすすめない。来た線路に戻って、どっかに行く。  

 この手の駅は九州、そもそも日本全体に少ないらしく、この手の駅に風情を感じる自分としてはすこぶる惜しく思う。ただ、長崎駅はこの手の駅の一つである。

【 JR長崎駅の待合室 】

■ 長崎といえば坂

 待合室で対面していると、入線する列車がこちらにせまってくるようであるが、線路は行き止まりになっているのでぶつかることはない。水族館でサメをみるようなものである。危険だが安心。

 その待合室で入線してくる列車をながめ、コンビニで買った調理パンをいただく。カウンターも設置されて、ちょっとモノを食べるなどには使い勝手がたいへんよい。

 パソコンを出してデスクワークをしているビジネスマンもいる。

 この待合室は観光案内所も兼ねており、県内の観光パンフを設置し、女性受付スタッフも常駐させている。彼女らはさすがに早朝からはいないが。

 さらにはコーヒースタンドも併設されているが、7時前からは営業していない。ここでは持参のおにぎりをパクついている女性もいる。もう少し早くから営業してほしいぜ、長崎と思った。

日の出時間(2019年4月1日)

長崎 6:10

東京 5:29

札幌 5:18

参考 国立天文台HP 各地のこよみ

【 JR長崎駅 】

■ 長崎といえば坂

 この居心地のよい待合室で、本日の行動を確認する。

 路面電車ですべての先っぽ(終着電停)に行きたい気もするが、坂のリサーチを優先することを思い出した。

 ワリアイトからLINEが来た。 夕刻にあわせて遠藤周作文学館へGO だと。長崎市による氏を記念した施設である。ウィキペディアでも紹介されている。

 ワリアイトには「ハイ」と返事した。その直後にもワイフから「お土産忘れずに」とLINEが来た。こちらも「ハイ」と返事した。

■ 長崎といえば坂

 コーヒースタンドは、ふりむくといつのまにか営業していた。

 コーヒーのいいにおいが早朝の待合室に充満する。においで気づいた。こちらはコンビニのコーヒーをすする。

 県庁所在地のJRの駅の待合室としては、小さく思えた。観光地で鳴らす土地にしては観光案内所も少々こぢんまりしている。総合観光案内所というわりには大規模感はない。

 そういえば九州の大都市である博多駅には無料の待合室はないな!と気づいた。

 地価の高いところでは1円も稼がない場所があってはいけないのだろう。世知辛い。

 そう考えるとこのスペースはゼイタクだ。ますます離れたくなくなった。

 待合室外の改札に目をやれば、多くの通勤客が改札を抜けていく。少々優越感があるが、これでもいちおう仕事中だ。

 九州の大都市博多駅を外した県庁所在地の主要駅の一日あたりの乗車人員(*:2017年度)

佐賀駅    12,535人

長崎駅    10,473人

熊本駅    15,098人

大分駅    19,421人

宮崎駅     4,782人

鹿児島中央駅 20,597人

* JR九州HP 交通・営業データ

【 観光案内所 】

■ 長崎といえば坂

 一日当たりの乗車人員が1万人ちょいでは、人口減少ワースト1位の長崎はもう少しで1万人切れする。

 そうなるのは時間の問題だ。 交通新聞社の九州時刻表には駅の構内案内図が巻頭らへんにある。主要駅構内図と。長崎駅は主要でないのか、そこに掲載はない。

 乗車人員の多さ少なさに関係なく、列車はひっきりなしに入線してくる。

 車体にシーサイドライナーとある。佐世保~長崎間をはしる快速列車の愛称であるらしい。

 プラットホームにはグレーの車両のつばめ、白い車両のかもめと、オレンジ色の車両とあり、カラフルだ。オレンジ色のはハウステンボス関係のなにかであろう。

 さまざまな車両が出入りして、鉄道好きには満足度の高い待合室ではなかろうか。あまり長くいては、本日のリサーチに差し控えるので、待合室を後にする。

【 JR長崎駅 】

■ 長崎といえば坂

 まだ朝早くもあり、土産物店は営業していない。店の営業はコンビニぐらいである。歩道橋を上り下りし、電停:長崎駅前から通勤者とともに乗り込む。

 車内は混雑のため観光パンフを広げることはできず。車内にはヨソ者とおぼしき者自分以外におらず。  

 電停:崇福寺で下車。ここは行き止まりの終着駅。長崎の路面電車に行き止まりの終着駅は4つある。そのうちの1つをクリアした。  

 崇福寺の電停は本当に先がなく、すぐそばには小川が流れていた。いや小川の上に電停がある。ここから長崎の坂リサーチの2発目である丸山オランダ坂を目指す。

【 電停:崇福寺 】

■ 長崎といえば坂

 歩いて3分ほど目的地に着いた。長崎の坂ではオランダ坂が知られているがこちらは「丸山」の付くオランダ坂。

 長崎の坂ということで、先の諏訪神社のような大規模的名所を期待していたが、丸山オランダ坂はただの生活道路であった。

 生活感あふれており、いったんは見過ごして通りすぎてしまったほどだ。

 それでも歴史的名所らしく、案内がなされている。その案内も手作り感十分な角柱だ。 坂というよりは階段であり、住宅を縫うように上り下りする階段だ。

 長崎では階段のことを坂というのか? 丸山オランダ坂の坂は全長10mほど。

 これだと町じゅうの階段に名前をつけて名所とするようになるような由々しき事態になるのではと思えた。

【 丸山オランダ坂 】

■ 長崎といえば坂

 確認のため、ちょうどタイミングよく下ってきたこのあたりの住民と思われる女性(50台風)にたずねてみた。

 やはりこの坂は丸山オランダ坂であり、その解説までしていただいた。

 このあたりは江戸時代までは海であり、徐々に埋め立てて陸つづきになったそうだ。10mのほどの坂のため上ってみた。やや急に感じた。

 このあたりは山になっており、道ゆく道は下るか上るかしないといけない。  

 このあたりを上ったり下ったりしていると、カステラの福砂屋の本店を発見した。同店のカステラをいただくことは何度もあったが、本店を見たのははじめてだ。店構えが南蛮渡来チックである。

【 福砂屋 】

■ 長崎といえば坂

 福砂屋の本店に入ることなく、路地裏のような道を下ったり上ったりしていると、忍び坂という坂に遭遇した。

 住宅街のこんなことろをウロウロしていては不審者に思われないかと気になりながらも、ウロウロする。 強烈に長い石段を下るような場所にたどり着いた。

 目先の下には中華街の北門がみえる。神社あり寺社ありマンションありとなかなかにぎやかだ。それほどの名所ではないようだが、自分とおなじくウロウロしているヨソ者おぼしき観光客に出くわす。

 強烈に長い石段を下る。このあたりの住民と思われる高齢女性も下る。

 急な傾斜のためか前進ではなくカニの横バイのようにに下っていく。時間はかかるがキケンは軽減される。

 これを上ると考えると長崎のマチは高齢者に優しくない。人口も流出するわけだ。 

【 急な坂 】

 

 

 

本編はここまで。以下次号

【 報告 】長崎市をウロウロする  ①/4

リサーチに協力していただい方々に感謝いたします。
一方、リサーチに協力していただけなかった方、次回ご協力にお願いいたします。

なお、当地の良し悪しは個人の判断にお任せします。ただ、人は似たような観光地には行きません。決して当地を真似ようとは思わないでください。日本じゅうの観光地が同質化してしまい、「どこも似たようなもんだろ」と先入観をもたれて、しまいにだれも観光をしなくなります。

 

 

訂正の連絡はこちら

 

【注意】
地図はグーグルより加工
価格・数量などは初回公開当時のもの
画像は下手上手関係なくローカライズド(LCD)
なお、取材日当日でないものもアリ
現地に赴く場合は、公式情報を確認されてから行くように

初回リリース:20190713

ここで紹介したことはすでに過去の情報となっていることを申し伝えておきます。

 

マチとの遭遇 九州編

 製作:ローカライズド(LCD)

■ メンバー
#1 風戸ケイキ(リサーチ)
#2 ワリアイト・リョウ(リサーチ)
#3 タシロ(プレス)

 旅とカットソーシリーズ 2019

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