宮崎空港線+日南線 ①/3のつづきです。
JR九州。JR3島会社のなかでも好調といわれるJR九州。いつからかJR九州は線区別収支を公表するようになった。公表されるのは、平均通過人数が1日当たり2000人未満の線区であり営業損益いわゆる赤字となっている線区である。なお、災害で休止中の線区は公表の対象外。
#JR九州@ウィキペディア
#JR九州@自社HP
宮崎空港線
+
日南線
公表されている線区は儲からない路線であり、JR九州からすると赤字を垂れ流すお荷物線区ともいえる。わざわざ赤字路線を公表するのは下世話な気もするし、廃線阻止に動く沿線自治体への当てつけにもみえるが、上場企業だけにネガティブ情報も公開する必要もあるのだろう。
製作
ローカライズド(LCD)
■ 田吉-宮崎空港
終点駅:志布志駅に着いたら着いたで戻らなくてはならない人もいるだろう。
そういった人のために志布志駅発宮崎駅着のダイヤもお知らせしておく(*)。
志布志駅発宮崎駅着
① 7:30-10:15
2時間45分
② 13:12-17:45
4時間33分**
③ 15:50-18:59
3時間9分**
④ 17:58-20:35
2時間37分 ##南宮崎駅着
⑤ 18:55-21:47
2時間52分**
**乗換アリ
1日5本はある。往路とおなじく2時間超える乗車にはなるが。なお、運賃は2,170円(④は1,850円)。
* 2021年1月調べ
■ 田吉-宮崎空港
日南線はJR赤字路線として公表されている。 ただし、公表されているのは南宮崎駅―田吉駅間を除いた区間。
つまり南宮崎駅―田吉駅間の2駅間だけは、儲かっているようだ。
■ 田吉-宮崎空港
儲かっている(=利用が多い)からか、この区間は日南線のなかでもICカード対応となっている。
とはいってもこの間2.0キロ、全線88.9キロあるうちの2.2%。2キロだけ儲かっている状況というのはイタイ。
JR九州が公表している日南線の赤字ぶりは以下となっている。
田吉駅―油津駅間
営業キロ 44.0キロ
- 営業収益
2億 700万円 - 営業費
6億1,100万円 - 営業損益
▲4億 300万円
油津駅―志布志駅間
営業キロ 42.9キロ
- 営業収益
3,800万円 - 営業費
3億9,500万円 - 営業損益
▲3億5,700万円
■ 田吉-宮崎空港
この2区間あわせて86.9キロで▲7億6,000万円となる。
1キロ当たり▲874.5万円 日南線の南宮崎駅から田吉駅まではいちおう儲かっている区間のため赤字路線としては公表されていないが、この区間で7億6,000万円の赤字解消は焼け石に水と思える。
- 南宮崎駅-田吉駅
黒字ただし額は不明 - 田吉駅-油津駅
▲4億 300万円 - 油津駅-志布志駅
▲3億5,700万円
【 田吉駅 】
■ 田吉-宮崎空港
なんとか黒字転換を果たした宮崎空港線に対して日南線の赤字ぶりからすると田吉駅から南に向かう線区は、沿線自治体には気の毒だが、不要=廃線と思える。
この先、黒字になりそうもない。
■ 田吉-宮崎空港
終点の志布志駅に到着しても折り返しとなる行き止まり線である盲腸線は鉄道経営の点からも効率が悪く、鉄道観光の点からも、来た線区を折り返すだけでは、楽しみは半減する。
もっとも人の楽しみを考えて鉄道経営はされていないだろうが。
■ 南宮崎~
日南線の起点とする南宮崎駅は、街中もあってにぎわいがある。
この駅からは赤字ローカル線臭はない。
しかし、南へ下っていくと赤字ローカル線のにおいがはじまる。
■ 南宮崎~
日南線と沿線地域は活性化のため、プロモーションには余念がない。
そうしたところで交流人口増となりそうもないが、プロモーションしている。
ICカードに対応するため設備投資したところで、乗客増とはなるまい。
むしろ切符を購入させるほうが旅情や雰囲気を伝えられ、昭和モードで人気路線となるのではないだろうか。
【 南宮崎駅 】
■ 南宮崎~
日南線、地図では太平洋岸の海べりをはしって絶景路線が連続するようにみえる。
同線を主体とした観光案内にもそう紹介されている。
たしかに海べりをはしりはするが全線海べり路線が連続するわけではない。
どちらかというと景色が良いとはいえない山中をいくほうが多いのではないか。
■ 南宮崎~
JR九州もこの区間の一部(宮崎駅~南郷駅)にJR九州が誇るD&S列車:特急海幸山幸を運行させている。
ただし平日は運行していないので、運行日は確認されて乗るべし。
平日運行せずというのは、乗車率のほどがうかがえる。
■ 南宮崎~
日南線は盲腸線であることから行きも帰りも同じ路線となり、少々損した気分になる(自分だけか)。
そういった気分になる人のためにか行き帰りのどちらかを
特急:海幸山幸
観光バス:にちなん号
を利用できるチケットを発売していたが、いつしかなくなってしまった。
世の中、損した気分になる人は少ないのか、ニーズはなかったようだ。
■ 南宮崎~
日南線は南宮崎駅側からだと曽山寺駅までは、たいしておもしろくない。
宮崎市の近郊エリアが続くだけである。 曽山寺駅の次の子供の国駅から、南国モードがはじまりだす。
子供の国駅とは大人が考えそうな駅名だが、遊園地がそばにあるからそういう駅名となるようだ。
■ 南宮崎~
連れて行く大人にも配慮されておりゴルフ場も近くにある。
奥さん向けにエステサロンも併設してはどうだろうか。家族一緒に個別に楽しめる。
このあたりから太平洋の強い日差しが差し込み車窓から差し込み南国モードが高まる。
夏はアツいと感じ、冬は暖かいと感じる。ハダで感じられてこそローカル線。
【 子供の国駅 】
■ 南宮崎~
子供の国駅をすぎると青島駅。
南国モードにあわせてリゾート気分も盛り上がる。白塗りの外壁がビーチリゾートをイメージさせる。
当地は橋で渡る離れ小島の青島神社があり、鬼の洗濯板がみえる景勝地でもアリ。
このあたりはにぎわいのある宮崎の観光地を満喫でき、サーフスポットとしても人気が高く人の往来も多い。
【 青島駅 】
■ 南宮崎~
青島駅から一気にお客は減る。日南線はここまでと用済みの感もアリ。
車両がキハのクロスシートであったら靴を脱いで、足を前の座席に投げ出せる。
コンパートメント車両ではないが、お客の少なさからコンパートメントのようにくつろげるのは赤字ローカル線だからできるふるまい。
なお、車両はキハだけにコンパートメント車両のようなゴージャスさ、快適さはない。
■ 南宮崎~
青島駅を出て2分ほどで次の折生迫駅に着く。ここも無人駅。駅のすぐそばには小学校。
イナカといえばイナカだが中途半端にマチでもあるので、ローカル線の旅には少々浸りにくい。
若者はだらしない姿勢でスマホに見入っている。
駅到着のたびに画像撮影する女性アリ。扉はすぐ閉まるので要注意。
【 折生迫駅 】
■ 南宮崎~
4分後に次なる駅:内海駅に着く。河口を越えて駅に到着し、対岸あたりは集落となっている。
駅近くにバス停があり、乗り継ぎの時間さえあえば、ここで下車して、路線バスに乗り換えるという手もある。
日南線には路線バスとのハイブリッドな楽しみ方がある。ただし事前に計画しておかないといけない。
【 内海駅 】
■ 南宮崎~
内海駅の次は小内海駅。内海・小内海とペアな駅である。
どうせなら駅舎も似たようなデザインにしてほしくもあるが内海駅とちがって箱型の駅ではなく、屋根のみの駅となっている。
内海駅を出るとしばらく海べりをはしり、日南線の絶景に出会える。
この区間だけでも日南線に乗りたくあるが、この区間だけでは日南線の旅情価値を上げるわけではないので、なんともいえない。
この区間、下車して歩くのもいいがクルマの往来が多いので海風とホコリとの戦いになる。
来駅時、お手製の伝言ノートを目にした。風雨に耐えられるようビニールケースにいれてあった。
【 小内海駅 】
■ 南宮崎~
小内海駅の次は伊比井駅。ここからは日南市。いままでは宮崎市。
駅のロケーションは小内海駅と似ており、急な階段を登っての駅舎へ到着となる。高台にあるために駅からの見晴らしは良い。
駅にベンチはあり、このベンチに座って前にひろがる海をながめるのは気分がよいがさほど絶景ではないのは残念。ベンチの座り心地もイマイチ。
この点が改善されると(景色のほうは難しいが)、多少乗降者が増えるのでは。
【 伊比井駅 】
■ 南宮崎~
伊比井駅の次は北郷駅。伊比井駅を出ると、海べりからはなれて山中をはしる。
日南線は海べりばかりをはしると思っていると大間違いをする。 観光ガイドでは海べりイメージを植え付けるように案内しているが、そんなことはない。
こういった虚偽表示(ではないが)をしていると次から乗ろうと思わなくなり、リピーター獲得は難しくなるが、どうだろうか。
【 北郷駅 】
■ 南宮崎~
北郷駅の次は内之田駅。伊比井駅から南は日南市であり、山中まっしぐらとなる。
このあたりは日南市いや宮崎県が誇る飫肥杉の産地でもある。杉の生産量では日本一とのこと。
ほぼ360度自然を感じられロケーションの駅である。 こういったところにカフェの運営あるいはベンチを置いて、しばし休憩とさせてはどうだろうか。
人間によるカフェ運営が難しいならロボットでもいいのでは。
開発コストがかかるので実証実験ではじめてみては。 上下の乗り継ぎ次第では利用者は増えると思える。
【 内之田駅 】
■ 南宮崎~
内之田駅の次は飫肥駅。観光スポット:城下町飫肥の駅だけに利用者も多く、有人駅となっている。
そのせいか駅も小ぎれい。快速マリーン号も停車する。
日南線の数少ない人気駅の一つだが「飫肥」を「おび」と読むのに苦労する。駅から情報発信(この場合は提供か)してはどうだろうか。
城下町の中心地まであるいて20分ほど。この20分ほどになにか欲しい。ビジネスの機会があると思える。
【 飫肥駅 】
■ 南宮崎~
飫肥駅の次は日南駅。日南という駅名もあって南国モード満載になる。
日南市の中心駅もあって無印良品の協力によってカッコよくリニューアルされている。
地元産木材である飫肥杉をふんだんに使ってローカリティ―を出している。
駅舎のデザインも地元のデザイン会社によるものであり地産地消度の高い駅でもある。
【 日南駅 】
本号はここまで
宮崎空港+日南線 ②/3
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地図はグーグルより加工
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画像は下手上手関係なくローカライズド(LCD)
なお、取材日当日でないものもアリ
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初回リリース
20210508
ここで紹介したことはすでに過去の情報となっていることを申し伝えておきます。
マチとの遭遇 九州編
#オールラウンド九州(ARQ)
製作:ローカライズド(LCD)
■ メンバー
#1 風戸ケイキ
(リサーチ)
#2 ワリアイト・リョウ
(リサーチ)
#3 タシロ(プレス)
旅とカットソーシリーズ
2021
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