宮崎空港線+日南線 ②/3のつづきです。
JR九州。JR3島会社のなかでも好調といわれるJR九州。いつからかJR九州は線区別収支を公表するようになった。公表されるのは、平均通過人数が1日当たり2000人未満の線区であり営業損益いわゆる赤字となっている線区である。なお、災害で休止中の線区は公表の対象外。
#JR九州@ウィキペディア
#JR九州@自社HP
宮崎空港線
+
日南線
公表されている線区は儲からない路線であり、JR九州からすると赤字を垂れ流すお荷物線区ともいえる。わざわざ赤字路線を公表するのは下世話な気もするし、廃線阻止に動く沿線自治体への当てつけにもみえるが、上場企業だけにネガティブ情報も公開する必要もあるのだろう。
製作
ローカライズド(LCD)
■ ~志布志
日南駅の次は油津駅。油津駅からあるいて数分のところに地域活性化で頻繁に取り上げられる油津商店街がある。
それほどにぎわっている商店街と思えないが、仕事がらみでわりと見聞きする。
地方の商店街にしては日経新聞には取り上げられている。
だからかそういった商店街にある喫茶店にしては、お客がいて、にぎわいがみられる。
■ ~志布志
お役所基準の地域活性化のにぎわい状況を知るにはケーススタディとなる商店街といえる。
「にぎわっている」基準は、お役人と民間人ではちがう。
それだけ補助金じゃぶじゃぶ入れれば、にぎわおうものという声もきく。それはやっかみでもあるが、事実でもある。
【 油津駅 】
■ ~志布志
油津駅の次は大堂津駅。油津駅は折り返し駅となっているため、ここで下車する人は多いと思われる。
ここまでもずいぶんディープだが油津駅から先はさらにディープな土地となる。
■ ~志布志
宮崎駅から南へ下ってくると海べりをはしる風景に出くわす。
ここでもそれに出くわすが、たいていの人は油津駅で降りるので、この風景は体験できずじまいとなり、広まりもしないと思われる。
ゆえに残念であるが、油津まで来たら大堂津駅まで足を延ばそうと案内しようものなら、その不便さからクレーム必死となるだろう。
■ ~志布志
大堂津駅の次は南郷駅。南郷駅からあるいて20分ほどのところに港の駅めいつがある。
休日のお昼時は、行列必死な飲食店でもあるようだ。実際、お客がたくさんいた。
最大瞬間風速的なにぎわいがある。 このあたりなにもないので、なにかあると爆発的に人気となる可能性がある。ただし市場は小さそう。
■ ~志布志
同地はカツオの一本釣りがさかんなマチで、漁村ムードあふれている。
とはいってもカツオといえば日南でなく焼津であり、地元としては残念なところであろう。
日南線には運行日限定で特急:海幸山幸がはしる。ただし南郷駅まで。
JR九州が誇るD&S列車を知りたければここでの乗車もOK。
【 南郷駅 】
■ ~志布志
南郷駅の次は谷之口駅。画像では、秘境駅的で行ってみようかなという気になる。
気になるまでで止めておいたほうがいい。目的もなく訪れると後悔する。
このあたりに何があるのか不明。ただし、見慣れたコンビニのカンバンもなく、人や日常から離れるにはベストな駅と思える。
このあたりはまだ日南市。
【 谷之口駅 】
■ ~志布志
谷之口駅の次は榎原駅。駅周辺には郵便局があり小学校があり、芋焼酎:飫肥杉で知られたメーカー:井上酒造があるいていける距離にある。
ただ、それ以外になにもない。一旦下車すると次は2時間後となるうえ、駅周辺には雨風をしのげる場所は駅舎しかないので訪問には注意を。
駅名は難読であり、駅周辺にはなにもないようでは、忘れ去られやすい。廃線・廃駅ムードがただよう。
【 榎原駅 】
■ ~志布志
榎原駅の次は日向大束駅。このあたりは山林の風景がつづく。
景色の単調さが乗客増につながらないと思えるが、こればかりは解決のしようがない。
それにしてもこのあたり南国宮崎のムードがない。
雑誌などに「赤字ローカル線に乗ろう」という企画があるが、乗ると見るでは大違いということがよくわかる。
【 日向大束駅 】
■ ~志布志
日向大束駅の次は日向北方駅。多少途中下車して困らない駅。
ただし、列車の運行本数は少ない。 川が二股にわかれる場所であり、地方の風景にふれるにはいいスポットであるが、それでも1時間はいられないと思う。
河の上の鉄橋を列車が走るのを目にすることができる。 こういうロケーションが自宅の近所にあるといいなとしみじみ思う。
【 日向北方駅 】
■ ~志布志
日向北方駅の次は串間駅。串間駅は串間市の中心駅もあって駅周辺はにぎやか。
下車して困ることはないが、都会ではないので退屈になることは必至。
駅併設の物産館があり、その名称は「くしま駅の駅」。
駅の駅とは?
地元の農産品だけでなく、観光案内所も兼ねた施設であるも「駅の駅」の意味はわからず。
【 串間駅 】
■ ~志布志
串間にはこのあたりの一大観光スポットである都井岬(読み:といのみさき/といみさき)がある。
コミュニティバスが走っているので交通機関でもなんとか行けはする。
ただしコミュティバスなので不便さは推して知るべし。
■ ~志布志
串間駅の次は福島今町駅。人口が2万人切る「市」を抜ける国道と並走するように鉄道も走る。
1日に何回かクルマから線路の上を車両がはしる姿をみることができ、沿線に住んでないヨソ者としては多少感動する。
【 福島今町駅 】
■ ~志布志
福島今町駅の次は福島高松駅。クルマは少なく国道ははしりやすい。
福島高松駅は国道の脇道からそれるように入るとたどりつく。空き地に小屋をポンとおいたような駅になっている。
駅にみえないが駅とあるのでこれでも駅なのであろう。
こういったロケーションに駅がある現実を多くのJR九州社員は知らないと思える。
【 福島高松駅 】
■ ~志布志
福島高松駅の次は大隅夏井駅。駅舎は四角く、このあたりの駅舎はなんらかデザインに特徴を出しているようにもみえる。
駅近くには昭和モードただよう遊園地:ダグリ岬遊園地があるが、乗車人員の少なさからすると、ここに来るお客はクルマで来ると思われる。
駅から遊園地まであるいて10分ほど。鉄道好きのファミリーには最適な遊園地だ。
【 大隅夏井駅 】
■ ~志布志
大隅夏井駅の次の駅は志布志駅。長くて儲からない日南線の終着駅。
マチの中心地でもあって多少のにぎわいはある。同時に終着駅ならではのさみしさもある。
あるいて数分のところにショッピングセンターや鉄道公園があり、多少のにぎわいをみせている。
【 志布志駅 】
■ ~志布志
宮崎駅を起点にすると日南線は油津駅、百ある譲って南郷駅までいいのではないかと思える。
南郷駅から先はタイクツの極みである。それがまたローカル線特有ののんびりした気分のひと時にもなる。
退屈を味わうには、最適な路線である。
日南線が走りぬけるマチ
宮崎市
日南市
串間市
志布志市
■ ~志布志
日南線はほぼ宮崎県をはしる。終点駅とその前の駅の2つだけは鹿児島県。
そのなかで利用が多いのは宮崎市内の駅と思われ、日南市にある飫肥駅で乗降は増えるが、日南市、串間市、志布志市と南へ下るほどに利用が少なくなる。
人口の減少ぶり
2010年 → 2015年
宮崎市 -786人
日南市 ―3,612人
串間市 ―1,678人
志布志市 ―1,562人
■ ~志布志
鉄道の利用も少なくなっているが、人口も少なくなっている。
いや人口が少なっているから鉄道の利用も少なくなっている。
マチの人口以上に鉄道の利用はないと考えると、今後もお客は減り続ける。
増加の見込みもなく、年間あたり700人超あたり減っている日南市などは、年数人程度の移住者獲得では焼け石に水と思える。
人口 2015年
宮崎市 401,138人
日南市 54,090人
串間市 18,779人
志布志市 31,479人
■ ~志布志
そもそもの人口は少ない上に、前の知事が道路をくれと言ったばかりに道路ができてしまい、ますます鉄道の利用が減ると考えられる。
人口の減り度合い
2010年を基準に
宮崎市 0.1%
日南市 6.6%
串間市 8.9%
志布志市 4.9%
■ ~志布志
こう人口が減ってはJR九州としては廃線したいところだろうが、公共交通輸送を担っているだけにそうあっさりと廃線とはできまい。
日南市と串間市はJR九州の株式を購入して株主として廃線阻止に動いているようだが、そういった目的とはちがうと思われる理由で同社の株式を購入したアメリカの会社もある。
株主同志で利害が一致しないだろうが、JR九州としてどう対処するかはおおいに気になるところである。
消滅可能性都市
日南市
串間市
■ ~志布志
数年前、消滅可能性都市という言葉をやたら耳にした。
2021年の現在、ややその言葉も「消滅」気味であるが、登場した時は、言葉のインパクトがあり衝撃的であった。
日南線がはしる日南市と串間市はその消滅可能性都市である。
そんなマチを走らせるJR九州の気分はいかに?
■ ~志布志
2021年現在で、マクドナルドは日南市にはあるが、串間市にはない。
モスバーガーも日南市にあるが、串間市にはない。
ロッテリアはどちらのマチにもない。だからといって串間市民はハンバーガー難民というわけではない。
ちなみにスターバックスもどちらのマチにもない。
■ ~志布志
日南市、串間市あたりの高校生がスターバックスに行くには、日南線を使って宮崎駅まで出向くしかない。
JR宮崎駅の改札からあるいて3分ほどのショッピング施設:アミュプラザにスターバックスがある。
乗車時間+3分でスターバックスに行けはする。
■ ~志布志
観光地といえば温泉。たしかに九州は温泉は多い。
しかし南国モード満載の日南線から温泉のイメージは、湯が湧き出るように湧かない。
人気ランキングなどにもエントリーはみられない。
とはいっても、温泉がないわけではない。 どこかの無人駅近くに温泉スポットを作ってはどうだか。
ただし、人をひきつけられるほどの温泉スポットが必要だが。
人気温泉地のない土地に、気の利いた温泉スポットがあると繁盛するのでは?
■ ~志布志
2020年、コロナ渦を日本全土を襲ったが、日南線は風水害にさらされることなく、健全な状態である。
風水害で壊滅的な状態となると一気に廃線論が浮上するのだが、被害のないだけに廃線する理由もない。
健全ぶりをアピールしないのはもったいない。集客のプロモーションに活用されては。
■ ~志布志
第3セクターへの転換、上下分離方式による運営、代替えバスなど、JR九州の直轄事業ではなくなるだろうが、そうでなくても人口がこう減るようではどう運営してもビジネスとしては成り立たないのではないと思える。
一人当たり市町村民所得からみてもわかるようにマチの競争力も低い。
一人当たり市町村民所得(*2017年度)
日南市 214.4万円
串間市 225.3万円
宮崎県 248.9万円
■ ~志布志
その昔、志布志駅からその先があり、大隅線として鹿児島県の国分駅まで営業していた。
昭和の終わりごろに廃線となった。
日南線もこういった歴史をたどりそうである。
■ ~志布志
廃線阻止したい気持ちはわかるが、福島高松駅のような駅があっては、まぬがれそうもない。
パッと見、駅とは思えない駅であった。
グーグルの画像検索で、それを確認されたし。
【 福島高松駅 】
■ ~志布志
ななつ星in九州のような豪華寝台列車を走らせる他に日南線のような、ビンボー赤字路線の活性化にも知恵を使ってはどうだ。
あんがい乗ると楽しい日南線。
本号はここまで
宮崎空港+日南線 ③/3
本シリーズは本号にて終了
リサーチに協力していただい方々に感謝いたします。
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画像は下手上手関係なくローカライズド(LCD)
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初回リリース
20210612
ここで紹介したことはすでに過去の情報となっていることを申し伝えておきます。
マチとの遭遇 九州編
#オールラウンド九州(ARQ)
製作:ローカライズド(LCD)
■ メンバー
#1 風戸ケイキ
(リサーチ)
#2 ワリアイト・リョウ
(リサーチ)
#3 タシロ(プレス)
旅とカットソーシリーズ
2021
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