イリコ生産量日本一 カタクチイワシ 佐世保市技術マップ 実質公債比率10.6% 佐世保市立総合病院 ハウステンボス再生支援交付金 五番街 石木ダム 学力テスト ニミッツパーク 【 マチとの遭遇#佐世保編 その11 】
佐世保/させぼ
20150401現在
【 矢印のあたりが佐世保 】©グーグル
■ 日本一 # イリコ生産量
イリコ、煮干し(にぼし)とも。その生産量日本一を誇る漁協は九十九島漁協、佐世保市内の漁協の一つです。その証拠は下記をご参照ください(*1)。
24年度に当漁協が扱った生産販売量は、3,160トンです。うちイワシの占める割合は95%を超えております。水産庁の農林統計情報では、長崎県のイワシの煮干生産量が5,165トンで全国第1位ですが、他県の生産量を見ても、当漁協の生産量を下回っておりますので、日本一を名乗らせていただいております。
イリコの原料となるカタクチイワシを乾燥させたものが、イリコです。ダシを取る材料であり、カルシウム不足をおぎなうためにそのまま食する人もいます。
当地のイリコは生産量を誇るだけでなく、質にもこだわりがあります。
イリコの質は鮮度にあり、水揚げされるとすぐ洗浄して煮釜に投入します。水揚げ地と加工場の近さが"高鮮度”となり、あわせて丁寧な選別が良質のイリコとなります。その選別は一部機械ですが、基本的には人力でされます。
【 九十九島漁協直売所内 】
イリコという製品、値の高い製品ではありません。そこで地元の名物の付加価値向上のために新商品開発にチャレンジします。
- イリコをまるごと粉砕したイリコパウダー
- イリコパウダーをベースにしたイリコドレッシング
- イリコパイ
- イリコダックワース
- 佐世保ガレットいりこ
ダシのきいた洋菓子とは、なかなかチャレンジングな商品開発ですが、担当者によると売れ行きのほうは「イマイチ」とのこと。まだまだ時代が追いついていないようです。
このイリコも原料のカタクチイワシが不漁のため供給不足となり、日本一の座を明け渡すことが懸念されています。
あわせて原油高は生産コストを圧迫しており加工賃を考えると、人間に提供するよりマグロのエサにしたほうがビジネスになる状況でもあります。
*1 九十九島漁協からの回答
■ 8,334社 # 佐世保のビジネス事業体(2012年)
いわゆるカイシャといわれる企業数は、事業所数よりグッと少なくなります。佐世保ではカイシャとよばれる企業数は3,626社、個人企業は4,708社となっています。(*1)
カイシャ < 個人商店 @ 佐世保
日本全体でもカイシャ195.2万社に対して個人商店217.5万社です。その比率からすると、佐世保はやや個人商店が多いていどです。
佐世保ではグループ企業5社あわせて負債総額758億円で倒産した2008年11月の辻産業の倒産以来、大きな倒産はありません(*2)。
2009年度以降、東京商工リサーチによる企業倒産件数は20件以下にとどまっています。このところ町のビジネス環境は"安全運転”の状態であるものの、事業所の廃業いわゆる"カイシャの自然減”はすすんでいます。
市は製造業を中心とした地場企業を紹介するホームページ「佐世保市技術マップ」を2009年からはじめました。
このホームページから受発注につながればという期待もあり、ホームページ開設当初は同ホームページへ掲載する企業は多かったのですが、ホームページ掲載への新規登録企業は2012年6月以降ありません。はじめの勢いがつづかないのは残念です。
*1 総務省・経済産業省「経済センサス」
*2 東京商工リサーチ
■ オールOK # 財政健全化判断比率
佐世保市の財務状況は、「良い」とはいえなくても決して「悪い」ものではありません。人口減と高齢化は健全な市政運営に関係なく、すすんでいくので予断を許せません。
項目 | 比率 | 判断 |
実質赤字比率 | 黒字のため数値なし | 良 |
連結実質赤字比率 | 黒字のため数値なし | 良 |
実質公債比率 | 10.6% | 並 |
将来負担比率 | 53.4% | 並 |
どの判断比率も健全化判断率の基準以下のため、財政健全化団体、財政再生団体でもなく、表面的には財政安心団体というところでしょう。
お役所ビジネスといえる公営事業のなかでも地方公営企業法適用事業の水道、病院、交通、下水道の4事業はここ数年赤字つづきとなっています。
なお、これら4事業の会計別決算の状況による累積損益は以下のとおりです(*2)。
事業名 | 金額 |
水道事業 | 10億1,800万円 |
総合病院事業 | -14億8,000万円 |
交通事業 | 4億9,400万円 |
下水道事業 | ー39億4,700万円 |
総合病院事業は、累積損益の赤字額が大きいのですが、佐世保市立総合病院は厚生労働省によるがん診療連携拠点病院として指定された病院であり、なかでも日本経済新聞社の日経実力調査では大腸がん治療の実力病院とされています。評価の高さとビジネスの上手さは別物のようです。
*1 佐世保市平成25年度決算状況
*2 佐世保市の財政状況
■ 73億円(10年間分)
# ハウステンボス再生支援交付金の交付予定額
ビジネスマンと市長の交渉ごとは大人とコドモの差ではなかったではないでしょうか。
その一つがハウステンボスの固定資産額に相当する年間9億円をハウステンボス再生支援交付金として10年間交付するという約束です。
【 ハウステンボスの駐車場 】
引き出したのか、差し出したのかは本当のところは当事者のみしか知りえませんが、支援側には"おいしい話”ではないでしょうか。
ビジネスマンは支援する、しないの交渉中に老朽化したハウステンボスの改修費用の査定をすすめていました。当初10年間で100億円と見積もっていたのですが、査定をすすめていくと最高で300億円とふくらみそうなので
「支援する確率は30%」
と支援しないこともちらつかせるなど、ビジネスマンだけに交渉上手です(*1)。
結局は予想を上回る修繕費が出た場合、3年程度で撤退する可能性もあるという条件付きで、再建支援に合意します。
*1 日本経済新聞20100213
■ させぼにも五番街
フィフス・アベニューがあるのは、ニューヨークのマンハッタンだけではありません。佐世保にもあります。ただし、その表記は「五番街」ですが。
その五番街はJR佐世保駅の海側にあります。駅の海側に出ると、海岸通りの整備された土地が広がり、都会のアイテムだった
"ウォーターフロント” 死語?
ウォーターフロントもやっと日本の西の端に到達したことを実感します。佐世保のそれは佐世保ポートルネサンス21計画です。
【 JR佐世保駅の海側 】
大手流通業によるショッピングセンターの出店は脅威であるエレナは、その脅威に対抗するためにも自社みずからディベロッパーとなり、商業施設「させぼ五番街」を開業します。
といえばカッコいいのですが東京資本のディベロッパーに逃げられ、そのお鉢をひきつぐようにエレナにまわってきたのです。
しかし、地元資本の事業主体といえども新しい商業施設は、地元の商店街には脅威です。
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商業施設名を「"五”番街」としたのは、ここから離れた地元の2大商店街、"三”ヶ町商店街、"四”ヶ町商店街との回遊性への期待を込めてです。
期待どおりに回遊するかどうかはこれからですが、両エリアでバッティングはしないとされています。なぜなら客層が違うからです。
商店街の客層は年配層、させぼ五番街は若者ニーズのテナントミックスとなっており、お客のすみわけはできているとされています。佐世保の若者は、2時間かけて九州最大のショッピングゾーン福岡まででかけます。
特急に乗って博多まで買い物に出かける若者を五番街で引き止めたいところです。
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