九十九島があるのは佐世保です。国立公園であり、地元の市債の愛称にもなっています。ふるさとの資源は観光でも財政にも活用できます。
マチとの遭遇 九州編
佐世保/させぼ
20150401リリース
【 矢印のあたりが佐世保 】 ©グーグル
■ 208島② # 九十九島の島の数
Archipelago(アーキペラゴ)。英語にすると洒落た感じです。意味は多島海、つまり佐世保にある九十九島のように多くの島からなる海域のことです。
長崎県は日本でもっとも離島のある都道府県ですが、なかでも佐世保市はもっとも多く離島をもつ市町村となります。
ただ、”多島海ブランド”としては、世界にはエーゲ海、国内には瀬戸内海、松島がひかえており、まだまだ弱いところです。
【 九十九島はこんなかんじ 】
松島は松尾芭蕉の有名な句があり、よく知られているリアス式海岸ですが、芭蕉がこちらに来ていれば、もっと知られた存在となっていたかもしれません。
■ 208島③ # 九十九島の島の数
動植物系の好きな方には最適なスポットです。佐世保市運営による動植物園:森きらら、第3セクター運営による水族館:海きららなどあり、自然環境をコンテンツにして人を呼びます。
九十九島の墨付き:西海国立公園の指定
佐世保の周囲にはライバル自然スポットが存在し、動物園では佐世保のとなり町の西海市に長崎バイオパーク(運営:バイオパーク株式会社)が、水族館では長崎ペンギン水族館(運営:一般財団法人長崎ロープウェイ)がひかえています。
長崎バイオパークは一部無料ゾーンなどを設置し、長崎ペンギン水族館はペンギンの"品揃え”を豊富にし、価格や商品力で佐世保の自然スポットの競争力を高めます。
【 森きらら 】
しかし、当地一帯に動物好きがどれだけいるかは不明です。長崎バイオパークは2004年7月に民事再生法を申請し、長崎ペンギン水族館も前身の長崎水族館の経営が行き詰って2001年4月に再出発した施設です。
動物よりも人間のほうが扱いにくいのでしょうか。ちなみに大人一人の入園料は以下のとおりです。
森きらら(佐世保市) | 820円 |
海きらら(佐世保市) | 1,440円 |
長崎バイオパーク(西海市) | 1,700円 |
長崎ペンギン水族館(長崎市) | 510円 |
■ 208島④ # 九十九島の島の数
地名はマーケティングにもなります。このあたりは西海エリアですが、ピンスポット的には九十九島エリアです。
西海国立公園は、国の管理する施設であり、その範囲も4市2町にまたがり、佐世保市だけの"公園”ではありません。九十九島とするとその範囲もせばまり、市としてもマーケティングしやすくなります。
そんな土地にあって先の水族館海きらら、マリーナ、物販施設などをもつ九十九島パール・シーリゾートがあります。
同地は九十九島の地理的中心地であり、"西海”とするよりも九十九島としたほうが、アウトサイダーが拡散せず同地に集中する利点もあります。
同リゾートはさせぼパール・シー株式会社によって運営され、佐世保市が同社の株式の半分を保有する第3セクターです。
佐世保にはもう一つ巨大リゾート、ハウステンボスがありますが、取締役にはハウステンボスの取締役もつらね、同じ観光施設ということもあってか共存共栄となっています。
ちなみに九十九島パール・シーの売上高はハウステンボスのおよそ1/10程度です。
【 水族館:海きらら 】
それでも同リゾートは、ハウステンボスについで2番目の観光スポットです。
ここ数年の業績は2011年度を底に回復しているもののもっとも多く同地を訪れた2007年度の147.5万人から2012年度は66.7万人と半減しています(*1)。
2009年度に水族館をリニューアルしたものの効果はなく入場者全体では減少しており、2013年度末でもリニューアル以前の数字に回復していません。
*1 佐世保市観光統計
■ 208島⑤ # 九十九島の島の数
観光地のブランド力の弱まると、有力宿泊施設は倒産などの憂き目に遭います。
現在当地の人気のある宿の一つである弓張の丘ホテルは、1985年に倒産した過去があります。
当時は市内では2番目の収容力のある宿でした。倒産後はユニマットグループによって、無事再生し現在営業を続けています。
一方、九十九島では最大規模とされている九十九島観光ホテルがあります。
規模の大きさは、いまの時代のホテル経営に向かないようで同ホテルは、2014年3月に同じ県内の十八銀行などの地域活性化ファンドの投資案件として3年間で2億円の投資、あわせて十八銀行から3.3億円の融資を受けています。
【 九十九島ベイサイドホテル&リゾート フラッグス 】
改修後は高級感あふれるホテルにリニューアルし、九十九島エリアと自社ホテルのブランド復活に期待されます。
ブランド観光地にはブランド宿がほしいところです。
ブランド宿となるためにはホテル名からです。「観光ホテル」を「ベイサイドホテル&リゾート」とするだけでリッチな趣となります。なお、同ホテルの運営会社は冠婚葬祭大手の地場企業:メモリードです。
■ 0.25% # 九十九島債の利率
九十九島は地元の市債の愛称にもなっています。「九十九島債」とは市民を対象にした地方債であり、起債は2008年からはじまり、直近の2014年の起債で7回目となりました。
その市債の利率は、第1回目は0.90%と高かったのですが、起債のたびに下がり、第7回目は0.25%となりました。それでも募集開始初日に完売する人気の金融商品です。
九十九島債を購入できる人は佐世保市に住んでいる人か働いている人、法人であれば市内に営業拠点がある法人となります。
販売先は地元親和銀行、あるいは同県内の十八銀行の本支店となります。
市債は地元水族館や動植物園の施設整備の資金として使われ、できるだけお金が地域で完結するような仕組になっています。
市債の格付け:得られておらず
市債の味をしめたのか第3回以降、起債発行額は6億円に増額されます。なお、佐世保市の市債はこの九十九島債だけではありません。
この他にも発行しており、2013年度末における市債発行残高は1,172.3億円、市民一人あたり45万円となっています。
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