太良町。鳥居が海に沈む神社が佐賀県藤津郡太良町にあります。沈みっぱなしではなく、潮の満ち引きによって沈んだり現れたりします。この現象は日本が誇るITやAIを活用しているわけではなく、単に海の汐加減と知り現地にリサーチに出向いたローカライズド(LCD)は少々驚いています。 なお、お送りするのは九州を中心に活動する地域活性化ユニット:ローカライズド(LCD)です。
沈む鳥居
沈むマチ
制作
ローカライズド(LCD)
2018
大魚神社および周辺自治体などからの依頼を受けての紹介ではありませんのであしからず。
神社といえどもマチの観光アイテムです。人を呼び寄せない神社は地元ネイティブからも見放されます。退屈なマチであっても、ヨソ者からすればサプライズの連続です。
そうならないよう努力をしていると思われる神社が佐賀県藤津郡太良町にあります。その神社の鳥居は海に沈んだり、現れたりします。全国デビュー目前かもしれない神社なので、ここに紹介しておきます。2017年6月ごろの記録。
誤字脱字、日本語の少々おかしな言い回しなどについてはご容赦+ご理解ください(お許し願う)。とはいっても多少下手なほうが人間味もあって、ダイレクトに伝わらんですかね?(ローカライズド(LCD)より)。
ー 佐賀県藤津郡太良町 ー
■ 大魚神社
「海に沈む鳥居」としてテレビなどで、わりと露出はある模様。ネットでも紹介されている。検索サイトでも
大魚神社
読み:おおうおじんじゃ
でヒットする。同神社について知りたければネットで参照されたし。画像はその神社の鳥居、ロケーションは佐賀県藤津郡太良町にある海岸べり。
ネットでもヒットするので、行かれてみたい方は行ってみるべし。
【 大魚神社 】
■ 大魚神社
この手の鳥居にも人気ランキングがあり、ナンバー1は広島の宮島にある厳島神社のソレらしい(*)。
世界遺産の厳島神社とは格のちがいがありすぎる気もするが、こちらはそれほど構えなくてもよい気軽さがある。さしずめ
気軽に行ける海中鳥居
というところだ。厳島神社は外国人も多く訪れるスポットだが、太良町のココは地元観光協会および佐賀県は外国人訪問の統計をとっていないので、どの程度外国人が訪れているかは不明。
* RETRIP 神秘的な絶景!”海に浮かぶ鳥居”が見られる日本全国のスポット8ヶ所
■ 大魚神社
下の画像をみるかぎり外国人にはウケそうだが、外国人がイメージする日本のようでもある(松&赤い鳥居)。コンパクトに「日本」がまとめられている感アリというところだ。
海中鳥居は国内には点在しているらしいが、大魚神社はそれほど取り上げられることはなく、全国的知名度は得ていない模様。
マイナーなせいか、ウィキペディアにもない(2017年4月現在)。あわせてイマイチ知られてないのはソコが佐賀だからか。
【 大魚神社 2 】
■ 大魚神社
インバウンド需要獲得のためか、外国人向けパンフレットがある。後日発見したものだが、タイ語編集のガイドがあるった。タイ人の来訪が期待される。 しかし、なぜタイ?。
タイ ≠ 多良
だからか。まさかそんなことはあるまい。
【 タイ文字 】
■ 大魚神社
大魚神社を車以外で訪れるのであれば、鉄道かバス。鉄道であると、最寄りの駅はJR多良駅、なお、駅名は
○ 多良 × 太良
読みはおなじく「たら」だが漢字がちがう。太良町の多良駅。少々ややこしい。市町村合併の弊害といえる。
駅から徒歩10分のロケーションだが、同駅に停車する便はそもそも少ないため駅から近くてもアクセスには難がある。
■ 大魚神社
上下ともに1時間に1本程度、しかも12時をはさんだ5時間くらいは上下あわせて1時間に1本の運行となる。同駅には
- 佐賀
- 諫早(長崎)
の上下2方向から行くことができ、どちらも有明海を横目にながめながらの乗車となる。このながめは見ごたえがある。
■ 大魚神社
地元名物の竹崎カニのシーズン時には特急が停車する。同カニは日経新聞の土曜日版のオマケ紙でも特集されていたことからすると、こちらは全国区なのだろう(*1)。
特急を停車させるのはカニやカキであって大魚神社ではない。大魚神社はまだまだ人をひきつけられるほどのアイテムではないのは残念だ。
太良町の多良駅、これでもJR九州の駅別乗車人員ランキングではオールJR九州の567駅のなかで300番手につけている(*2)。
*1 日本経済新聞 20170506
*2 JR九州HP#交通・営業データ
【 JR多良駅 】
■ 大魚神社
鉄道一本では訪れにくい場所だが、特急とバスを併用すると多少アクセスしやすくなる。
- 佐賀方面から
特急停車駅のJR肥前鹿島駅まで特急で行き、同駅ほぼ目の前の鹿島バスセンターから地元バス会社の祐徳バスに乗り、太良栄町で下車する。
- 諫早(長崎)方面から
諫早駅からは路線バスで行く。ただし1時間以上かかるため得策ではない。長崎→佐賀と県境をまたぎ、途中乗り換えもある。
関係ないが、県境をまたぐバス停は「県界」と意味深なバス停名となっている。しかも両バス停は小さな川を挟んで対峙している。バス停を共有できないのは、それぞれ会社が違うからだろう。
■ 大魚神社
2014年太良町に訪れたアウトサイダー(宿泊、日帰りともに)の97.0%は自家用車で訪れている(*)。
鉄道やバスで訪れるアウトサイダーはマニアック、あるいはワイルドな道を選んだといえる。
なお、さみしさあふれる鹿島バスセンターを訪れても不安になって引き返してはいけない。ローカルバスセンターとはこういうものだ。
* 佐賀県 平成26年佐賀県観光客動態調査
【 県界というバス停1 】
【 県界というバス停2 】
■ ローカライズド(LCD)メンバーによる現地訪問
博多7:53発特急かもめ7号に乗車。肥前鹿島8:52着 肥前鹿島駅降りて目の前の鹿島バスセンターに向かう。改札口は一つしかないので迷うことはない。同バスセンター発の太良栄町行きは9:20出発のためしばし周辺ウロウロする。ただしウロウロするほど何かある土地ではない。目当てのバス:県界行き到着、同時に乗車。同時刻の出発便はこれしかないので迷うことはない。バス停:太良栄町9:46到着。600円(現金で支払う)。運行は地元のバス会社:祐徳バス(本社:佐賀県鹿島市)。下車後徒歩5分で現地:大魚神社に着く。
【 鹿島バスセンター 】
■ 大魚神社
道中、バスの車窓から有明海を横目にみながらがらすすむのでワクワク感は高まる。
鹿島バスセンターから30分ほどで到着するが、平日だと1時間に1本程度の本数のためバスの時間をしっかり把握しておかないと、ムダに待たされる。あしからず。
バスの時間よりもしっかり把握しておかなければならないのが、有明海の汐加減。
■ 大魚神社
鳥居が海中に沈んでいる姿を目に焼き付けたい方、干上がった海に連続する鳥居を見たい方、それぞれ見たいシーンがあると思うが、アミューズメント施設ではないので、"見時”時間が確約されているわけではない。
なにしろ自然現象を相手にしている。満潮、干潮の潮位予測は気象庁から発表されているのでそちらを参照されたし。
【 有明海 】
■ 大魚神社
実際に目にするとわかる。ただし、タイミング次第(単に汐加減)では大きく印象が変わってくる。
海に浸かった鳥居
海から干上がっている鳥居
なお、鳥居と並走するように海中道路がある。これも満潮時には沈み、干潮時には浮かんでくる。
汐が引いているからといって、調子にのって車で先まですすむと、汐が満ちてきてあわてて戻らないといけないことになるので用心が必要。
戻る際はUターンではなくバックで戻らければならないほどの狭い幅であることを申し伝えておく。
【 浮かび上がる海中道路 】
■ 大魚神社
現時点ではそれほど観光地化していないため、不便もある。真夏の日差し対策、雨の日の対策、そもそもトイレは?など。
神社なのでユーザー優先にはできまいが、人をひきつけたいなら最低限の環境整備が望まれる。最近、神社もデザイナーなどを活用して、ブランド化を図っている。
■ 大魚神社
単に汐の満ち引きだけで、鳥居が海中に沈んだり海中から浮かび上がったりする現象なので、
退屈といえば退屈
な上、自然現象が相手のため長時間拘束される。
ちなみにローカライズド(LCD)メンバーは30分ほど滞在した。
それほど観光地といえない同地は、大魚神社周辺(つまり歩いて行ける範囲)にも観光スポットもなく、やはりとどまろうかな(うごかない方がいい)という気分にもなる。
【 案内表示 】
■ 大魚神社
大魚神社のある太良町は、いまだ単独町政。一時期「月の引力が見える町」としてさかんに売り出していた。
「月の引力が見える町」とは、汐の満ち引きは月の引力が関係しているから、そういうキャッチコピーをつけたようだ。的を射た表現といえる。
有明海沿岸の自治体すべて同様なキャッチコピーをつけてもウソはないのだろうが、遠慮しているのか太良町にしかみられない。
有明海沿岸のなかで太良町沖の干満差がもっとも大きく、その差最大6mをアピールするところが、他の沿岸市町村へにらみをきかせているのだろう(*)。
*太良町観光協会HP 太良町とは
【 マチのキャッチフレーズ 】
■ 大魚神社
町内には太良嶽神社というもう一つスピリチュアルスポットがあり、地元ではこちらのほうが、格上のように扱われているフシもある。
大魚神社の海中鳥居は、ややマチの地域デビューアイテムのようでもあり、神社に不可欠なスピリチュアルエッセンスが足りず、見ようによっては映画のセットのようにもみえる。
【 ちょっとさびしいか 】
■ 大魚神社
地元は当地を観光スポットと目していないのか、地元観光協会のHPのタイトルタブは、
観光たらは竹崎かに・カキがある太良町観光協会の公式サイトです。
と、ある。
同地ではかにやカキが主で、大魚神社は従(しかも末席のほう)のようである。名産アイテムにあやかって蟹御殿という宿もアリ。少々いただけない宿名だが、セレブ向きな宿と紹介されている。公式HPでもお値段は高い。
■ 大魚神社
道の駅太良に同観光協会がある。同協会のHPではスポット・歴史ページに地元太良の歴史的スポット、具体的には神社、石碑、古墳などだが、そのページでは大魚神社は紹介されておらず、「見る・遊ぶ」のページで紹介されている。
当地では大魚神社は、スピリチュアルスポットとはみなされていないのだろうか?
【 道の駅 太良 】
■ 大魚神社
大魚神社あるいは名物のかにやカキでもそれほど人が呼べないのか、ここ数年、観光客数はダウン傾向だ。
ピークは2010年の68.5万人、2012年にいったん「増」と向かうも2014年は61.7万人と、60万人割れがみえてきた。
一人当たり市町村民所得(平成25年度)
佐賀県 251.3万円
太良町 159.0万円
太良町の一人当たり市町民所得は低く、平成25年度は下から2番目だが、ここ10年はほぼ最下位となっている(*1)。
■ 大魚神社
同じ県内で一人当たり市町村民所得は自県平均と額にして100万円、率にして37%の開きがあるというのは、マチにいかに競争力がないかということを示している。しかもここ10年こんなかんじ。
太良町の指定地域について
- 農村地域
- 農業振興地域(一部)
- 特定農山村地域
- 過疎地域
1970年に13,686人いた人口も2015年には8,782人、45年間で36%減、直近5年間の減りは10.7%。2017年4月現在も過疎市町村。2060年の人口は最小で3,714人、最大で6,948人(*2)。
沈むの鳥居だけではない。マチが沈む。
*1 佐賀県 市町民経済計算
*2 国立社会保障・人口問題研究所 日本の地域別将来推計人口
【 沈む鳥居 】
■ 大魚神社への提言(本号はここまで)
九州の地域活性化を第一に考えるローカライズド(LCD)としては、大魚神社の知名度向上を望む。そこで
さかなクン
を大魚神社アンバサダーにしてはどうだろうか。氏は当地出身ではないが、魚つながりで多少の縁は担保できる(ハズ)。
なんといっても「大魚」神社である。本人の意思は未確認だが、彼以上に国内にふさわしい人物はいまい。間違っても野菜ソムリエを大魚神社アンバサダーにしてはいけない。
【注意】
地図はグーグルより加工
価格・数量などは公開当時のもの
下手上手関係なく画像はローカライズド(LCD)
現地に赴く場合は、公式情報を確認されてから行くように
ここまでのおつきあいに感謝いたします。
なお、ここで紹介したことはすでに過去の情報となっていることを申し伝えておきます。
訂正の連絡はこちらまで
マチとの遭遇
#オールラウンド九州(ARQ)
製作:ローカライズド(LCD)
■ メンバー
#1 風戸ケイキ(リサーチ)
#2 ワリアイト・リョウ(リサーチ)
#3 タシロ(プレス)
旅とカットソーシリーズ
2018
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