1970年代に日本の鉄道、その当時は国鉄。それにコツコツと乗りつぶしているおじさんがいました。本号はそのおじさんが乗った足取りを追いかけた検証録です。なお、九州内のケーザイ活動をリサーチするローカライズド(LCD)としては、その検証録は九州内にとどめています。あしからず。
本号の趣旨については「宮脇氏を追う 2万キロ@九州#イントロダクション」を参考にされたし。
■ 2万キロ#3章
この日は国鉄の遅れでスケジュールがくるってしまい、宮脇氏の本日の乗線はここで終了となる。
ややもすれば到着駅で観光としたいところだが、薩摩大口駅到着12分後に出発する列車に乗らなければ明日の乗線に差し障るので、観光せずに宮脇氏はそれに乗る。
【 薩摩大口駅跡#現 】ぶれててすいません
宮脇氏を追う
九州編
時刻表2万キロ第3章より
表は2万キロに登場する駅たち
数字は時刻 斜体字は推定時刻 「-」は通過駅
■ 2万キロ#3章
「観光せずに」というよりも観光したくなくもあり、帰りの線区はすでに乗線している山野線であっても宮脇氏垂涎のループ線が控えているため、そういった気分になると考えられる。
前回乗線時は、早朝で薄暗かったためしっかりとループ線を堪能できなかったようだ。
ループ線とは? ウィキペディア
■ 2万キロ#3章
今回は既完乗路線の再チャレンジ乗線でもあるが、山野線のループ線は外の明るさ暗さに関係なく、宮脇氏にとっては退屈なループ線であることを再確認したにとどまった。
山野線再乗線後、水俣駅、八代駅、博多駅と列車と乗り継ぎ、博多駅には20:55到着となった。
本日は朝5時前に起き、夜11時前まで鉄道に乗っていた。なお、翌朝は6:35発車の列車に乗る。
【 山野駅跡#現 】
##宮脇氏、九州2日目終了。
1975年(S50)
12/30(火)
九州3日目
香椎線
勝田線
日田彦山線
田川線
伊田線
添田線
上山田線
##宮脇氏、博多駅から香椎駅へ。
■ 2万キロ#3章
宮脇氏の2万キロ第3章の九州乗線の3日目は、博多駅からのスタートとなる。
まずは本日第1路線への乗線のため香椎駅に向かう。本日は7路線への乗線となる。2万キロでは
きょうは頑張って8路線に乗る予定を立てている。
と書いているが、3章のタイトルにある線区や当日の乗線結果からでは一路線乗りそびれたらしく、本日の九州内の乗線は7路線である。
それぞれの線区の長さはまちまちだが1日7路線の乗線は2万キロでは多いほうだ。
本日の乗線エリアは福岡県だけという移動範囲の狭さもあっても未線区の乗線を稼ぐこともできたようだ。
【 香椎駅#現 】
〓 香椎線への乗線
【 香椎線 】
S:西戸崎駅
G:宇美駅
##宮脇氏、香椎駅から西戸崎駅へ
【 香椎線に乗る 】
■ 2万キロ#3章
博多駅から香椎駅までは11分。現在も当時と変わらない時間で行ける。
香椎駅は香椎線の起点駅:西戸崎と終点駅:宇美駅のほぼ中間地点になる。
香椎線の乗線は路線の途中からとなり、まず宮脇氏は香椎駅から西戸崎駅まで向かう。
香椎駅を6:59に出て西戸崎駅を7:20に到着する。偶然かもしれないが、2020年の現在、このダイヤは存在する。
【 西戸崎駅#現 】
■ 2万キロ#3章
宮脇氏は香椎線の乗線で志賀島の金印の出土にふれている。
現在、出土された金印は福岡市博物館に常設展示されており、同博物館のHPでは 年間十数万人の視線がそそがれている計算になる と解説している。
このあたりが海の中道というリゾート地であることも2万キロでは書かれている。
■ 2万キロ#3章
宮脇氏は金印といった上品なテーマにふれる一方、このあたりのリゾート地であるがゆえにかもしだすあやしいムードも書いている。
たとえばモーテル
なども2万キロで登場する。どのモーテルを指しているかは2万キロでは不明だが、このあたりには現在でもそれらしきが営業している。
なお、モーテルではなく、真っ当なホテルも存在し、宮脇氏乗線の10数年後、九州の鉄道で大活躍する工業デザイナー:水戸岡鋭治センセイの仕事(ルイガンズ)が沿線にある。
【 ルイガンズ#現 】
■ 2万キロ#3章
西戸崎駅到着後、11分後にはいま来た線区を折り返して再度香椎駅に向かう。
香椎線は盲腸線であり、行き止まり駅となる西戸崎駅は折り返すしかない。それは当時も現在も同じである。
香椎駅では11分待ち、宇美駅に向かう7:59発の列車に乗る。その25分後には宇美駅に到着し香椎線完乗となる。到着した宇美駅は2万キロでは
相当に傷んだ宇美駅に着く。
と、書かれているが、その後リニューアルされ2020年の現在ではこぎれいになっている。
##宮脇氏、宇美駅に到着。
【 香椎線の完乗 】
香椎駅 | 6:59 | 発 |
西戸崎駅 | 7:20 | 着 |
西戸崎駅 | 7:31 | 発 |
香椎駅 | 7:59 | 発 |
宇美駅 | 15:12 | 着 |
〓 香椎線完乗@8:24宇美駅到着にて
香椎線:現役
【読み:かしいせん】
起点:西戸崎駅
終点:宇美駅
駅数:16
##宮脇氏、宇美駅(香椎線)から宇美駅(勝田線)へ移動
■ 2万キロ#3章
次なる路線は勝田線。宇美駅から宇美駅に乗り換える。
この宇美駅は同名他駅であり、両駅は属する路線が異なる。
勝田線へは同線の途中駅である宇美駅からの乗線となるのだが、その宇美駅がないために宮脇氏は少々あわてる。
■ 2万キロ#3章
結果からいうと両宇美駅は存在するのだが、あわてた理由は香椎線の宇美駅と勝田線の宇美駅は同じ国鉄でも、同名他駅でそれぞれ別の場所に位置しているからである。2万キロでも
同一駅名では人を惑わす
と、書いている。勝田線の宇美駅は香椎線の宇美駅より歩いて4分ぐらいのところにあった。
なお、勝田線はとうの昔に廃線となっているので勝田線の宇美駅は2020年の現在にはない。
【 W宇美駅①#現 】
【 W宇美駅②#現 】
〓 勝田線への乗線
【 勝田線 】
S:吉塚駅
G:筑前勝田駅
*だいたいこんなかんじです。すいません。
##宮脇氏、宇美駅から筑前勝田駅へ。
■ 2万キロ#3章
宮脇氏は勝田線の途中駅:宇美駅から乗線し、終点駅:筑前勝田駅に向かう。
乗車後4分ほどで筑前勝田駅に到着し、盲腸線となっているため行き止まりとなる同駅で折り返すのだが15分ほど時間があるので、しばし散策する。
散策中に勝田線の駅である志免駅のこわれた駅名標を発見し、廃線前の哀愁を2万キロでは書いている。
■ 2万キロ#3章
8:51には筑前勝田駅を出発し、起点駅:吉塚駅に向かう。
25分ほどで乗り終え、吉塚駅では降りることなく、次の乗線のために博多駅まですすむ。
##宮脇氏、博多駅に到着。
【 勝田線の完乗 】
宇美駅 |
8:32 | 発 |
筑前勝田駅 | 8:36 | 着 |
筑前勝田駅 | 8:51 | 発 |
吉塚駅 | 9:16 | 着 |
* 宇美駅は勝田線の宇美駅
〓 勝田線完乗@9:16ごろ吉塚駅通過にて
勝田線:廃線
【読み:かつだせん】
起点:吉塚駅
終点:筑前勝田駅
駅数:7
##吉塚駅通過後そのまま博多駅へ
■ 2万キロ#3章
2万キロでは、全線完乗を目的とするも費用をおさえることにはふれていない。
当時の宮脇氏は大手出版社の役員であるからカネに不自由はしないとも考えられ、全線完乗は趣味であるため銭金についてはあえてふれていないとも考えられる。
■ 2万キロ#3章
2万キロでは乗り降りのたびに切符を買う手間も書かれていない。
いまならICカードがあり切符を買う手間はないが、宮脇氏乗線時には、そんなものはない。もちろんスマホだってない。
九州ワイド周遊券 宮脇氏の乗線では周遊きっぷが使われており、ずいぶんお得&便利に乗車できるようになっている。
2万キロ内でもその周遊券で乗車していることが、ここで書かれている。
■ 2万キロ#3章
宮脇氏は博多駅から小倉駅までは、急行で移動している。当時ですでにこの区間、新幹線は運行していたが、新幹線は周遊券では乗車できないのか急行に乗っている。
乗車時間:博多~小倉
- 新幹線 15分~20分
- 特急 45分~50分
- 快速 69分~75分
運賃:博多~小倉(大人一名)
- 新幹線 2,930円
- 特急 1,470円
- 快速 1,310円
*新幹線と特急は指定席料金。
2020年の乗車時間と運賃は上記のようになる。新幹線は特急と快速とでは走る場所はちがうため、同じ条件での比較とはいえないが乗降駅は同じである。
宮脇氏はここではさほどの時間短縮にならないので、急行に乗る人はいまいとしている。現在、急行はない。
■ 2万キロ#3章
宮脇氏は小倉駅に降りたつ。さらに小倉駅から次の未線区である日田彦山線の乗線のため城野駅に向かう。
日田彦山線の起点駅は北部九州の拠点駅:小倉駅から数駅南に下った城野駅である。
2020年の現在、路線も駅も現存する。
宮脇氏の日田彦山線の乗線スタートは、小倉駅から南へ下って城野駅の通過からとなる。
■ 2万キロ#3章
完乗のイメージからすると起点(もしくは終点)駅から、きちんと乗って、その反対駅できちんと下車しているように思えるが、ここではそうではなく駅の通過によって、乗線がはじまる。
唐津線は唐津駅の通過で完乗を終えており、駅の通過によって完乗が始まる日田彦山線とは反対のパターンといえる。
【 城野駅#現 】
〓 日田彦山線への乗線①
一部乗線済区間アリ
【 日田彦山線 】
S:城野駅
G:夜明駅
##宮脇氏、小倉駅から乗車し城野駅を通過し伊田駅へ
■ 2万キロ#3章
同じく日田彦山線の終点駅は夜明駅(よあけえき)だが、日田彦山線を運行する列車は夜明駅で終わりとならず、このあたりの拠点駅である日田駅(ひたえき)まで乗り入れる。
2020年現在、日田彦山線は2017年7月に発生した九州北部豪雨によって甚大な被害を受けた。
添田駅から夜明駅までの区間は運休し、代行バスを走らせている。
その後、復旧するしないで、運行するJR九州と沿線自治体との間でもめている。
■ 2万キロ#3章
宮脇氏の日田彦山線の完乗パターンは分裂気味である。同線は乗線日をたがえての完乗となる。
本日は完乗完了日だが、すでに同線の一部の区間には乗線している。
2万キロ3章にも
日田彦山線の後藤寺以遠だけで、
と書かれている。ここでの記述はこの筑豊あたりの線区のややこしさの説明であるが、ここに日田彦山線の一部へ乗線していたことがチラッと出てくる。
■ 2万キロ#3章
日田彦山線の完乗に際して2万キロでは以下の駅が登場する。
城野
石原町
採銅所
香春
伊田
2020年の現在は24駅。駅名が代わっている駅もあるが当時も24駅だったと思われる。
駅名の代わった駅は伊田駅(いたえき)。現在、田川伊田駅(たがわいたえき)となっている。
なお、同駅はこの日、なんども登場する。
採銅所
2万キロにも軽便鉄道の駅名のような駅として採銅所駅(さいどうしょえき)が紹介されている。
宮脇氏乗線時も現在も採銅所という駅名である。
採銅所は地名でもあり、近くには採銅所小学校もある。なお、同駅は採銅所駅第二待合室という名称で地域活性化の拠点にもなっている。
【 採銅所駅#現 】
■ 2万キロ#3章
2万キロでのこの部分は日田彦山線第1部となる。同線の伊田駅到着後、宮脇氏はいったん日田彦山線を離れる。
宮脇氏の行程では
小倉駅11:32発
伊田駅12:26着
となっている。現在でもダイヤによるがこの区間は50分から70分ぐらいで行く。
ちなみに片道、普通で760円。ローカル線に興味にある方は乗ってみられたし。
■ 2万キロ#3章
日田彦山線第1部の乗線では、宮脇氏は平尾台と香春岳について思いを語っている。
ともに石灰岩質の大地であるも、平尾台は観光地、香春岳はセメント供給地と役割はちがう。
香春岳は3つの峰からなる台地であるが、石灰岩採掘のため山が削られすぎて、台地のようになっている。
当時ですでに南面は頂上まで削りとられており、2万キロでも
大きなセメント工場が麓に喰いつき、
と書かれてあり、台形状になった山の頂上に胸が痛むとしている。
2020年の現在もこのあたりを訪れると削られた山を目にし、煙突がそびえ、道路にはダンプカーがはしりまわる異様な風景に遭遇する。
【 エントツ#現 】
〓 日田彦山線完乗第①部終了
〓 田川線への乗線
【 田川線 】
S:行橋駅
G:伊田駅
*宮脇氏乗線時の伊田駅は現在、田川伊田駅
##宮脇氏、伊田駅から行橋駅へ
■ 2万キロ#3章
伊田駅に到着後、宮脇氏は田川線に乗線のためその13分後には行橋駅に向かう列車に乗る。
伊田駅滞在は正味13分。さほど記述はないが、この地が産炭地であったことを示す記述が2万キロにもある。
田川炭礦の中心駅である。
すでに閉山しており、さみしくなったマチの状況が短いながらも伝えている。
滞在時間の短さも多く伝えられない理由であろう。
伊田駅は田川伊田駅と駅名変更になったものの生き残っている。
同駅はJR日田彦山の駅でもあり、第3セクター:平成筑豊鉄道の伊田線の駅でもある。
■ 2万キロ#3章
田川線の乗線スタートは伊田駅から。
宮脇氏は日田彦線乗線途中の伊田駅で田川線に乗り換える。ここでいったん日田彦山線の乗線を終える。
2020年の現在、田川伊田駅には鉄道会社2社が乗り入れている。その1社である平成筑豊鉄道の田川伊田駅は、ネーミングライツされ、MrMax田川伊田駅となっている。
MrMaX〇〇駅
は、平成筑豊鉄道では同駅をふくめて全4駅ある。
なお、同鉄道の筑豊エリアでは全部で36駅あり、現在、ネーミングライツ駅は12駅ある。
ちなみに2019年8月に令和コスタ行橋駅が開業した。駅名からわかるように宮脇氏乗線時にはない。
【 田川伊田駅#現 】
【 田川線の完乗 】
伊田駅 | 12:39 | 発 |
今川駅 | ー | ― |
行橋駅 | 13:27 | 着 |
〓 田川線完乗@13:27行橋駅到着にて
田川線:3セク転換
【読み:たがわせん】
起点:伊田駅
終点:行橋駅
駅数:17
##行橋駅到着後、小倉駅へ向かう。
■ 2万キロ#3章
宮脇氏の田川線乗線時も現在も運行時間は変わらないようである。
世の中は進歩し、それにあわせて技術も進化するのだが、同じ線路の上を行く車両は変わらないようだ。
新幹線の技術改良やドル箱路線を走る特急の新型車両の投入によって、“時短”された感はあるが、ローカル線には新型車両は投入されず、設備耐用年数終了までたっぷり使われるので、当時と今では変わりようがないのかもしれない。
■ 2万キロ#3章
2020年の現在、田川伊田駅から行橋駅までは50分前後、640円で行く。
2万キロに出てくる行橋駅は現在も存在する。
宮脇氏は行橋駅到着後、7分後、次の乗線区に向かうために乗り換える。
ここでは接続のすばらしさを絶賛している。
どの列車も私を待ち受けているかのようなスケジュールの出来映え
と。2万キロではそう評価している。
当時は現在とくらべて便数も多いことからスムーズな乗り換えができていると考えられる。
■ 2万キロ#3章
田川線完乗後は伊田線となる。
伊田線への乗線となると伊田線の起点駅の伊田駅に戻るために来た線区を引き返せばよいと思うのだが、宮脇氏はそうはせず小倉駅に向かう。
この乗線行動は謎である。2万キロにはなく、なぜそうしたのかは不明である。
2万キロでは
行橋発13:34
小倉着13:55
となっている。この区間、だいたい20分ぐらいの乗車となり、現在では特急だと15分前後、普通であると30分前後である。
■ 2万キロ#3章
当時と現在は同じ条件ではくらべられないが、特急より長く普通より短い乗車時間となっている。
急行
そうなるのは急行であるからと思える。宮脇氏は行橋駅から急行:ゆのか5号に乗っている。 急行という響きがいかにも当時を表現している。
2万キロでは急行という文字がやたら目立つ気がするのは急行から遠くなった世代だろうか?
とりあえずここまで。宮脇氏を追う 2万キロ#3章 ➂/4
以下次号
リサーチに協力していただい方々に感謝いたします。
一方、リサーチに協力していただけなかった方、次回ご協力にお願いいたします。
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【注意】
地図はグーグル・ヤフーより加工
価格・数量などは初回公開当時のもの
画像は下手上手関係なくローカライズド(LCD)
なお、取材日当日でないものもアリ
現地に赴く場合は、公式情報を確認されてから行くように
初回リリース:20201212
ここで紹介したことはすでに過去の情報となっていることを申し伝えておきます。
マチとの遭遇 九州編
#オールラウンド九州(ARQ)
製作:ローカライズド(LCD)
■ メンバー
#1 風戸ケイキ(リサーチ)
#2 ワリアイト・リョウ(リサーチ)
#3 タシロ(プレス)
旅とカットソーシリーズ 2020
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