マチとの遭遇 九州編

地域ブランドの罠(九州のケース)

罠 #2 ふるさと納税 ①/2 

2019年09月12日 15:57 by kieki-kazeto

生まれ故郷。それを大切にしていますか? ですが、こういった気持ちはこの際、置いておきましょう。地域経済が、さっぱりさえない昨今、ふるさと納税は地域にお金をもたらす仕組みとしてはウルトラC級的な制度と、ローカライズド(LCD)はとらえています。ふるさと感あふれる九州を軸にふるさと納税制度を考えてみました。ファーストリリース:20190810

 

ふるさとも考えようではモノ次第

ふるさと納税

〓 そのむかし、「金持ち父さん貧乏父さん」という本がありました。お父さんだけが金持ちにも貧乏にもなるのではありません。市町村もお父さんとおなじく金持ちにも貧乏にもなります。

 

【 ふるさと納税の勝手なイメージ 】

【注意】本テキストのなかでは、ふるさと納税額あるいは寄附金と表現が異なりますが、だいたい一緒です。当方はお役所ではないので、そのへんのアバウトさはご理解ください。

【お願い】 誤字脱字、日本語の少々おかしな言い回しなどについてはご容赦+ご理解ください(お許し願う)。しかし、多少下手なほうが人間味もあって、ダイレクトに伝わらんですかね?(ローカライズド(LCD))。

# ふるさと納税制度は制度としていかがなものかという声は、この際置いときます。自治体は地方交付金が削られ、高齢化と人口減少でマチの財政はきびしくなる一方です。 そういったなか、国内には同制度によって寄附金100億円超集めたマチもあります。もちろん寄附金とは、ふるさと納税の受入額です。 お金を集めだけでなく、

  • 全国から地元が注目された。
  • 町への起業相談が増えた。
  • 電子商取引をはじめた地元事業者も!  

 と、経済的なにぎわいをみせているマチもあります。このにぎわいをみせたのは鹿児島県大崎町です(*1)。

 同町には、お金を集めたこともあって今後の経済的発展を期待したいところです。 ちなみに同町は 23億1,305万2,466円 集めました(*2:2017年度)。

 税収などによる財源のとぼしいビンボー自治体にとって、ふるさと納税制度は思ってもない収入獲得のチャンスですが、すべての自治体がたくさんの寄附金を集められるわけではありません。  

 集めすぎても、その反対のまったく集まらないのも問題というのがふるさと納税制度です。

 なお、大崎町のある同じ鹿児島県では23億円集めた同町よりもふるさと納税を集めたマチがあります。

 そのマチは志布志市。その額は30億3,999万9,838円でした。志布志市はふるさと納税額では、その年の鹿児島県ナンバー1です。ちなみに志布志市のとなり町が大崎町です。

 地域経済的ではイマイチなエリアである大隅半島のマチは、ふるさと納税で稼いでいました。

*1 南日本新聞 20160731 ②面
*2 総務省HP ふるさと納税トピックス

【 鹿児島県大崎町 】

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 2017年度に国内でもっともふるさと納税を集めた自治体は、大阪府泉佐野市でした。その額  

135億3,300万円

 でした。受入件数は86万2,082件です。

 九州といった地方に住み、地方で地域活性化にかかわるローカライズ(LCD)としては、泉佐野市に大阪のマチのイメージからふるさと感をいだきにくいものですが、制度は制度です。

 ふるさとは田んぼや畑のあるイナカと考える人、ふるさとはマチの都会度の高さ低さに関係なく、生まれ育った土地と考える人もいるため、大阪は都会だからNGというわけでもないのでしょう。

 ふるさと納税になんやかんやとご意見あるのは、ふるさとの定義も人それぞれであることが理由の一つと思えます。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 大阪府泉佐野市。商人のマチ大阪の自治体というところでしょうか。稼ぐ方面には強いようです。

 ちなみに国内には受入額0円のマチ、その次に低いマチは2000円と、まったく銭稼ぎにふるわないマチもあります。

 この少なさは担当職員のやる気のなさ、あるいはふるさと納税制度に背を向けているマチの姿勢、あるいは単にマチの魅力のなさからくる返礼品のパワー不足などが考えられます。  

 泉佐野市は関西国際空港のあるマチであり、一時期は財政健全化団体に転落したマチでもありました。

 職員の人件費削減のみならず、市名のネーミングライツを画策したり、たばこ税でのウルトラC的な税収増を目論んだりと、財政的に苦しんだ過去もありました。

 各県に空港がある九州は、財政的危機となった国際空港のある泉佐野市を対岸の火事のようには思えません。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 ひるがえって九州。2017年度に九州でもっともふるさと納税を集めたマチは宮崎県都農町でした。

 その額は  

79億1,481万8,710円  

 でした。受入件数は43万18件です。

 泉佐野市には受入額では、はるかおよばないものの受入件数1件あたりの金額は泉佐野市より上回っており、都農町には魅力のある返礼品が多くあるのではないか?とうかがえます。  

 ふるさと納税受入件数1件当たりの金額

  • 泉佐野市 15,098円
  • 都農町  18,405円  

 返礼品の豊富さは返礼品パワーの力強さにつながり、結果、寄附金を多く集められることになります。もちろん返礼品の豊富さは、地元のコンテンツは魅力十分であることを示します。スーパーでいえば、品ぞろえが充実したお店というところでしょう。

 結果、寄附金の多さ、件数の多さ、件数あたりの金額の高さなどにはねかえってきます。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 マチになにがあるか? 面積が広ければそれだけ「なにか」も多くあるはずと期待が寄せられます。

 返礼品の豊富さはマチの面積によって左右され、たとえば泉佐野市と都農町をくらべると以下のようになります。

  • 泉佐野市 56.51K㎡
  • 都農町  102.11K㎡

 面積をくらべると、都農町は泉佐野市より2倍弱広くあります。都農町は総額では負けたものの受入件数あたりの単価で勝てた理由は、面積の広さだったかもしれません。  

面積が広ければ、それだけなにかあるだろう。  

 とはいっても、このあたりの相関関係はなんともいえず、お利口さん集団の〇〇総合研究所さんあたりに調べてほしいところです。

【 宮崎県都農町 】

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 ふるさと納税受入額九州ナンバー1の都農町につづく2位は、同じ宮崎県の都城市です。

 同市は黒キリで知られた霧島酒造の本社と工場が立地しており、

肉と焼酎

 に特化したふるさと納税マーケティングに徹したこともあって、2015年、2016年と2年連続でふるさと納税日本一となっています。  

 ふるさと納税受入額in九州(2017年度)  

  自治体 受入額
1 宮崎県都農町 79億1,481万円
2 宮崎県都城市 74億7,421万円
3 佐賀県みやき町 72億2,354万円
4 佐賀県上峰町 66億7,227万円
5 佐賀県唐津市 43億8,888万円
6 大分県国東市 32億3,919万円
7 鹿児島県志布志市 30億3,999万円
8 佐賀県嬉野市 26億6,995万円
9 宮崎県高鍋町 25億6,916万円
10 鹿児島県大崎町 23億1,305万円

  

 上位10位内に佐賀県4自治体、宮崎県3自治体、鹿児島県2自治体と大分県1自治体と、一人あたり県民所得ランキングでは下位クラスが定位置の九州の県がふるさと納税では健闘をみせています。

 ビジネス力で鳴らす福岡県は受入額ランキングでは、13位にやっとお目見えする程度です。ふるさと納税制度は、ビンボー自治体が稼ぐチャンスでもあります。

# 九州は以下の7県で成り立っています。

福岡県(福岡市) 
佐賀県(佐賀市)
長崎県(長崎市)
熊本県(熊本市)
大分県(大分市)
宮崎県(宮崎市)
鹿児島県(鹿児島市)

()内は県庁所在地です。忘れがちな佐賀県と宮崎県は九州に属する都道府県です。長崎県、大分県、宮崎県には新幹線が走っていません。  

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 経済力では都会のマチが揃っている三大都市圏地方にくらべてなにかと弱い九州ですが、ふるさと納税制度では、なんともいえないガンバリをみせています。

 2017年度の九州全体(県を含む)のふるさと納税額は以下のとおりです。

1,111億3,591万円

 受入件数は580万7,282件でした。九州は人口や面積あるいは事業所数など経済マターでは、日本の1割のシェアが定説となっています。

 このところ九州の経済は力弱くシェア

1割を切っているのですが、九州では1割経済圏と、口先では1割を死守しています。 ふるさと納税についても国内シェア1割をキープしたいところですが、同制度についてはかなりのガンバリをみせており、九州の受入額の国内シェアは

  • 受入金額 30.4%
  • 受入件数 33.6%  

 と3割となっています。九州は大健闘といえます。ただし、ふるさと納税制度では。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 九州の経済力の弱さは付加価値の低さの声もあるように受入件数1件あたりの受入額は  

  • 九州 19,137.3円  
  • 全国 21,146.6円   

 と全国平均に比べて2,000円下回っています。九州人は人がいいのか高く買われないようです。

無料+入れ放題  

 その一例として九州のラーメン屋さん、うどん屋さんの例をあげます。九州では、これらの店では無料のネギが入れ放題となる機会に、わりと多く遭遇します。

 ネギだけでなく、ラーメンならゴマ、紅ショウガ、高菜があり、うどんなら天かすとなります。 天ぷら屋さんですと、イカの塩辛が無料(しかも食べ放題!)のところもあります。  

 九州人は人がいいのか、なにかと付加価値を上げない傾向にあるようです。こういったことでは、OECD諸国から日本の生産性向上の足を引っ張っているのは九州だと指摘を受けかねません。

 あらかじめ入れ放題分を価格に上乗せしている腹黒さも九州の人にはなさそうで、人の好さが経済的発展を阻害します。

【 宮崎のあるうどん屋さん 】

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 魅力十分な返礼品をそろえきれるかが、ふるさと納税を多く集めるカギです。泉佐野市より面積の広い都農町には、なにかヒントがありそうです。  

 九州ナンバー1の都農町の高額返礼品上位3点は以下のとおりです(*)。

  • 306,000円 ミニ樽 10ℓサイズ
  • 164,000円 宮崎牛の定期便(至福の3か月)
  • 100,000円 豪快宮崎牛部位食べ比べ焼肉セット(合計3㎏)  

以下10万円相当の返礼品が3件アリ  

 都農町最高額返礼品のミニ樽と地元の関連性が気になるところです。ローカライズド(LCD)が知るかぎりでは、都農町はミニ樽あるいは樽の生産地として知られたマチではないと認識しています。  

 その樽を製造しているのは京都本社の企業であり、同社の工場が都農町にあり、同地で製造されているようでした。その企業名は有明産業、創業者のふるさとが九州の有明海の近くだったからそうされたようですが、太平洋側に面した宮崎県は、ロケーションからすると有明海とは少々縁遠くありますが、どうでしょうか。  

 創業者は鹿児島県阿久根市出身のこと。その阿久根市の近い海として有明海からとったようですが、阿久根でも有明海とは縁遠くあるように思えます。

 地元最高返礼品と地元との縁は、地元都農町で製造されているということでした。たしかに工場は同地にあります。

* 検索時期およびサイト忘れました。すいません。

【 都農町と有明海との位置関係 】

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 都農町の主要産業は農業。働く人の割合も製造業などの第二次産業よりも農業などの第一次産業が多いマチとなっています。

 そういった土地柄もあって返礼品には農産品や加工食品が、全返礼品のなかに8割を占めています。この傾向は都農町だけでなく、どのマチにも当てはまり、いたって普通なことです。  

 返礼品が農産品であっても高額となるのは、返礼品のなかに高額である牛肉を多くそろえてあるからでしょうか。  

 マチの返礼品を集めるのはそのマチの職員さんです。さしずめ職員さんは、ふるさと納税バイヤーというところでしょう。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 ふるさと納税バイヤーは、地元税収増のために品揃えには力をいれなければなりません。地元行政組織の人間だけに、地元になにがあるかについては精通しているはずです。  

 同町の返礼品サイトには、一目見て牛肉とわかる赤い画像がずらずらと並んでいます。 HPの画面からでは牛肉、牛肉、非牛肉、牛肉というイメージです。赤いだけに目立ち、たまに登場する白主体のお米がかえって目立つくらいです。 

 牛肉が返礼品となる画像にはたいてい「宮崎牛」と文字が入っており、和牛オリンピック(全国和牛能力共進会)では、3大会連続で内閣総理大臣賞を受賞した実績にモノをいわせています(*)。  

 都農町は宮崎県の自治体ですので  

 都農町産∊宮崎県産  

 となります。  

 ちょっと都農町、宮崎県の衣を借りるキツネになっていないか?と思えますが、都農町は宮崎県の自治体ですのでウソではありません。おなじく都農町の牛は宮崎の牛ですので、ウソではありません。  

 ちなみに直近の第11回和牛オリンピックで総合1位は鹿児島県でした。あわせて同オリンピックで種牛の部で内閣総理大臣賞を受賞したのは大分県でした。宮崎県には悪いですが、どの賞が1番なのかはわかりません。

 鹿児島県の公式HPでも「和牛日本一に輝く」鹿児島黒牛と紹介されています。なにかと日本一が多く、なにがナンバー1なのかは不明です。

* 宮崎県HP 畜産振興対策課 20170920

【 宮崎県HPより 】

■ 金銭/琴線 → ふるさと  

 都農町側の言い分としては都農町の事業者が販売しているからふるさと納税の趣旨は外していないというところでしょうが、ふるさと納税の趣旨からすると、メイドイン都農町であってほしいところです。  

 都農町といえば都農ワインこそが地元の名産とローカライズド(LCD)は思うのですが、都農ワインは高品質でも安いためか、ふるさと納税バイヤーにさほど選ばれてないようです。同ワインの出品は12アイテムほどしかありません。牛肉の出品数とくらべると少なく感じます。

 とはいっても都農町の受入件数あたりの金額からすると、九州の平均にくらべて低いので良心的な品ぞろえとなっているのではないでしょうか。ここに九州人、いや地元都農町の方々の人の良さを感じます。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 ふるさと納税受入額九州ナンバー2は宮崎県都城市です。同市はふるさと納税で受入額などで2年連続日本一になるなどの実績があります。

 財務省出身の市長の手腕によって、ふるさと納税をふくめて都城市のPRに力を入れるなどのマーケティングが功を奏したと、ローカライズド(LCD)はみています。  

 九州ナンバー2の都城市の高額返礼品上位3点は以下のとおりです。

  • 950,000円 毎月お届け黒霧島900ml(20度)1年分(365本)
  • 950,000円 地元産焼酎194本セット
  • 384,000円 地元産焼酎53本セット  

 都城市といえば芋焼酎黒霧島(黒キリ)を製造・販売する霧島酒造の本社・工場があり、同市にはそれしかないんじゃないかと思われるぐらいのマチです。    

 実際、そんなことはなく都城市には同社以外にも焼酎メーカーはあり、焼酎以外の名産も数多くあります。

【 宮崎県都城市 】

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 都城市の焼酎以外の名産は牛肉です。ふるさと納税のプロモーションでは

日本一の肉と焼酎のふるさと  

 として、地元には肉と焼酎以外ないのかと思わせるようなキャッフレーズで展開しています。

 同市の返礼品は全534件あるなか

  • 牛  173件(32.3%)
  • 焼酎 131件(24.5%)

 となっており、この2種類で同市の返礼品の半分を占めています。

 これくらいまでに覚悟を決めるとふるさと納税でいい思いはできるようですが、肉と焼酎以外の関係者からお叱りの声はないのか心配になります。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 都城市のいう「日本一」は肉です。宮崎牛は和牛オリピック3大会連続で最高賞の内閣総理大臣賞を受賞していることから日本一の肉はウソではありません。

 あわせて都城市も宮崎県の自治体ですので、日本一の宮崎牛をふるさと納税の返礼品として、取り扱ってもウソではありません。 都農町のケースと同じく

都城市産∊宮崎県産

 です。 しかし、同市はふるさと納税の趣旨をしっかり守っているのか、同市の返礼品の牛は都城産宮崎牛として出品してあります。都農町とちがって都城産とするところは、かなりピンポイントで産地をおさえています。

【 都城市庁舎 】

■ 金銭/琴線 →  ふるさと

 同市には都城牛というブランド牛もありますが、推しは通りの良い「宮崎牛」です。

 もう一つの日本一である焼酎の黒キリも芋焼酎の原料となる芋は他産地産かもしれませんが、生産・加工・ボトリングは都城市です。メイドイン地元であり、メイドイン地元度も100%近いのではないでしょうか。

 地元雇用度も高いと考えられ、生産している人も地元人であると思え、メイドイン都城度は高いといえます。

 このあたりはマーケティングだけでなく、地元産をしっかり品ぞろえしようとする姿勢が感じられ、ここに九州人、いや地元都城市の方々の人の良さを感じます。 ふるさと納税の返礼品の地理的範囲が気になるのは、ローカライズド(LCD)だけでしょうか?

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 同市のふるさと納税への意気込みは、特設サイトからもわかります。

 そもそもふるさと納税の特設サイトを開設するというところが、ふるさと納税への意気込みの強さのあらわれではないでしょうか。 ちなみに特設サイトにも使用されている「都城」の揮毫は、書家の紫舟氏によるものです。

 なお、謎めいた経歴の氏だけに都城市との関係性も不明です。 都城市も都農町とおなじく一次産業が盛んなマチですが、都農町とちがって製造業不毛の地ではありません。

 工業出荷額も大きく、マチには住友ゴムの工場もあり、同工場では同社ブランドのゴルフクラブも製造されています。そういったこともあって同市の返礼品にはゴルフクラブもあります。

 ゴルフクラブとふるさとは縁遠く感じますが、メイドイン都城であることは外していません。

【 都城市ふるさと納税サイト 】

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 当地にはスコールで知られた乳性炭酸飲料を製造販売するナンラク(南日本酪農協同)があり、スコールも同市の返礼品になっています。

 都城には、牛肉と黒キリ以外にないわけではありません。餃子もイケるとこっそり評判です。

■ 金銭/琴線 → ふるさと  

 都城にはハンズマンといった巨大なホームセンターチェーンを運営するジャスダックに上場する企業があります。

 しかし、小売業だけにふるさと納税の返礼品にはなりようがなく、モノが中心になるふるさと納税制度の残念なところでもあります。 

 ハンズマンの巨大店舗は、地価の安い九州だから成り立つビジネスと都会人からねたまれそうです。巨大な店舗が多いのも他の地方にない九州の特徴の一つでもあります。

■ 金銭/琴線 → ふるさと  

 ふるさと納税受入額九州ナンバー3~5は佐賀県の自治体が続きます。ナンバー3の佐賀県みやき町は受入件数1件当たりの金額は59,181.2円と、九州あるいは全国の平均とくらべてダントツに高くなっています。  

 みやき町は全国的にさほど知られたマチとは思えず、メイドイン地元度の高い名産があるとも思えないのですが、昨年度までの11年間で約265億円の寄附金があり、よく集めたなと感心します。  

 九州ナンバー4の佐賀県上峰町もみやき町とおなじく知名度も低く、メイドイン地元度の高い名産があると思えないのですが、集まりすぎた寄附金を議員の手当に充当しようとしたことで、にわか有名になりました。

 ちなみに上峰町の寄附金は、同町の全歳入の25%に達しているとのことです(*:2016年度)

* 産経WEST(電子版)20161216

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 ふるさと納税受入額九州ナンバー5は佐賀県唐津市です。こちらは唐津焼があるなど、比較的全国的知名度の高いマチです。このところはアニメ:ゾンビランドサガの主人公が唐津ということもあって、ヤングにも知られたマチです。  

 唐津市には、そもそものお値段の高い唐津焼もあり相対的に寄附金も太くなりそうですが、食べられない焼物よりも食べられる牛が稼ぎ頭になるのか、こちらでも牛肉が多く品ぞろえてあります。

? 唐津牛

✔ 佐賀牛  

 唐津市は佐賀県にあります。佐賀県にはブランド牛で知られた佐賀牛があり、唐津で肥育され出荷されれば佐賀牛です。  

 なお、唐津焼は器であって、牛の焼き方のスタイルではありません。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 ふるさと納税受入額九州ナンバー6は、大分県国東市です。

 国東市にさして名産といわれる産品あったかな?と思えるのですが、多く寄附金を集めました。 市のHPにもふるさと納税のサイトがあり、そこではタレントを活用して国東市のふるさと納税の紹介をしています。

 紹介に関わったタレントは以下の3名

  • おすぎ氏(神奈川県横浜市出身)
  • 石原良純氏(神奈川県逗子市出身)
  • 川越達也氏(宮崎県東諸県郡出身)  

 ふるさと納税だけに地元出身のタレントを起用してほしいところですが、残念ながらそうではありません。

【 大分県国東市 】 

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 国東市では、ふるさと納税をしていただいた方に公表の許可を得て同市HPで氏名を公表しています。

 紹介にかかわったお三方も寄附してほしいところですが、残念ながら上記3氏の名前は見あたりませんでした。ふるさとを思う気持ちとビジネスは別物といえるふるまいです。  

 ふるさと納税では、地元と返礼品の関係性が議論の的になりますが、制度とプロモーションのありかたも問うべきではないでしょうか。

■ 金銭/琴線 → ふるさと  

 ふるさと納税受入額九州ナンバー7は鹿児島県志布志市です。

 人口が3万人程度で、JR九州に減便される日南線の終着駅をもつ志布志に、名産という名産はあったかなと思えるのですが

鰻  

 の生産がさかんで、ウナギが返礼品として人気を集めています。ウナギイコール高額品のため、おのずと寄附金も太くなります。  

 志布志は養殖生産が日本一とのことです(*)。もちろん地元志布志の養殖場で生産していますが、その会社は他県本社企業です。

* 志布志市観光特産品協会

【 志布志市の支所 】

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 ふるさと納税受入額九州ナンバー8は佐賀県嬉野市です。お茶と温泉が知られたマチです。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 ふるさと納税受入額九州ナンバー9は宮崎県高鍋町です。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 ふるさと納税受入額九州ナンバー10は鹿児島県大崎町です。リサイクル率の高いマチで11年連続全国1位となっています。

 こういったマチにこそ共感をおぼえやすいものですが、リサイクルは返礼品化できないのか、ふるさと納税制度とは無縁のようです。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 ふるさと納税の総元締めは総務省です。税金がなんらかの形で多く吸い上げられるならなんでもかんでもアリでいいじゃないかと思えるのですが、そこはお役所です。

 趣旨に合致しないとお役所として都合が悪く、自治体の行きすぎに目を光らせます。ふるさと納税制度では割りを食う東京都もだまっていません。

 総務省もお役所ですが、ふるさと納税の“現業部門”は自治体でありお役所です。どちらもお役所ですが、自治体からすると、総務省は格上の“お上”となり、総務省の指導に従わないといけません。  

 自治体の行きすぎとは、寄附金集めたさに、地元とはそれほど縁のない産品を返礼品とすることがその一例です。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 生まれ故郷に恩返しする制度でもあるのがふるさと納税です。しかし、生まれ故郷出身者だけからの寄附では億単位の寄附金は集まりません。

 億単位集めようと思えば、広く多くの人から集めなければならず、返礼品も魅力十分にする必要があります。 あわせて返礼品を提供する自治体側のふるさと度合が試されるわけです。このふるさと度合とは、返礼品と地域との関連性です。

 とはいっても寄附金を多く集めるには、そういったことを律儀に守ってはいられません。地元産だけでは返礼品をまかないきれないのが実情でしょう。

 ましてや地元にそうそう名産がなければ

  1. 新たにつくる
  2. 多少縁があるように工夫する  

 しかありません。降ってわいたような名産は名産といえるかという声もありますが、新たにつくっては時間もかかりふるさと度合も低くあります。

■ 金銭/琴線 → ふるさと  

 となると、多少縁があるように工夫すれば、間口がひろがり、地元に本社でなくても

  •  事業所がある
  •  工場がある

 などで地元のとの縁のしめしがつきます。 唐津焼は唐津の名産品とは納得できますが、デジタルカメラが地元の名産というのは少々納得できかねます。

 それを返礼品とする自治体の言い分は、地元に生産工場があり、そこで作られた製品だから地元産だ、です。たしかにメイドイン地元です。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 自治体の担当者には気の毒なことにふるさと納税ランキングが公表されます。いわば成績表みたいなものです。

 とうぜん1位のマチもあれば最下位のマチもあります。 そうでなくてもとなりマチより少ないのは、地元関係者からあれこれいわれるネタになり、多く集めておかないと仕事が足りないと、地元住民からお叱り声をちょうだいします。

 しかし、どのマチにも人が欲しくなるような名産がない場合がほとんどですので、にわか名産、縁遠い名産など拡大解釈した名産が集められ、そういった名産が返礼品となります。

 さらには、ふるさと納税はビジネスになるのかビジネスマンも参入して、自治体から仕事を請け負っています。それを請け負うのは東京のビジネスマンであることが多く、汗をかくのは結局、地元の人です。

■ 金銭/琴線 → ふるさと

 なんだかんだいっても、ふるさと納税制度はいつもお金に苦慮している自治体には税収増のねがってもないチャンスです。都会のビジネスマンの力を借りて“売上”獲得に動きます。  

 ふるさと納税の元締めの総務省は、趣旨から外れすぎる一部の自治体の状況にこれではいかんと思ったのか動きだします。  

 以前にもそういった自治体のいきすぎたふるまいに菅官房長官が「善処いただきたい」とおっしゃっていました。

 言葉のニュアンスからすると力弱いご注意ていどですが、その後、検討を重ねて総務省はふるさと納税制度から以下の4市町を対象外とすることとした強硬策に出ました。 対象外つまり制度は使わせないということです。  

  • 静岡県小山町
  • 大阪府泉佐野市  
  • 和歌山県高野町  
  • 佐賀県みやき町  

 対象外となるのは2019年6月からです。やりすぎに対してのお上からの処罰ですが、いきなり退場を命じたわけではありません。いちおう順序は踏まえていました。

 

 

本編はここまで。以下次号

罠 #2 ふるさと納税  ①/2

リサーチに協力していただい方々に感謝いたします。
一方、リサーチに協力していただけなかった方、次回ご協力にお願いいたします。

なお、本号で登場したマチへの訪問は個人の判断にお任せします。ただ、人は似たような土地には行きません。決して当地を真似ようとは思わないでください。日本じゅうの自治体が同質化してしまい、「どこも似たようなもんだろ」と先入観をもたれて、しまいにだれも訪れることをしなくなります。

 

 

訂正の連絡はこちら

 

【注意】
地図はグーグルより加工
価格・数量などは初回公開当時のもの
画像は下手上手関係なくローカライズド(LCD)
なお、取材日当日でないものもアリ
現地に赴く場合は、公式情報を確認されてから行くように

初回リリース:20190810

ここで紹介したことはすでに過去の情報となっていることを申し伝えておきます。

 

マチとの遭遇 九州編

 製作:ローカライズド(LCD)

■ メンバー
#1 風戸ケイキ(リサーチ)
#2 ワリアイト・リョウ(リサーチ)
#3 タシロ(プレス)

 旅とカットソーシリーズ 2019

関連記事

罠 #2 ふるさと納税 ②/2 

地域ブランドの罠(九州のケース)

罠 #1 ゆふいん ①/2

地域ブランドの罠(九州のケース)

罠 #1 ゆふいん ②/2

地域ブランドの罠(九州のケース)

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

旅こそ一人旅。

同じ観光地には2度行かないものです。 人はアソコに行ったら次はココと、別の...

ARQ:番外編

ローカライズド(LCD)は、いつなんどきでも九州の競争力について考えていま...