ゆふいん。地域ブランドの罠#1の①/2の続編です。由布市の観光消費額は123億円、一方別府市の観光消費額は882億円です。「あれ?たいしたことないじゃん!」と思った方も多いかと思います。たいしたことがあるか、ないかの評価についてはもっともきびしいあなたが本テキストをご覧いただいて、ご判断ください。なお、本号はローカライズド(LCD)メンバーによる対談形式になっています。あしからず。
外国人観光客でうじゃうじゃの
由布院
よみ:ゆふいん
【注意】:本webマガジンでは、ゆふいんの表記はあえて「ゆふいん」であったり、「由布院」であったり、「湯布院」であったりと製作側の気まぐれとなっています。
【 ゆふいん 】
カゼト
ゆふいんはお高い宿で知られているんだよ。1泊10万円するような宿があったりする。オレは8000円以下のビジネスホテルが定宿だから、その価値がわからんけどな。
ワリアイト
桑野さんのところもそこまではしないが、高級な部類の宿だよ。
カゼト
なんといっても観光協会の会長だしな。
ワリアイト
だからといってお高い宿にはそうそう何度も泊まれないし、一度来たら次は別の宿に行くだろうしね。
カゼト
レジェンドがご活躍のときは、カネはなくとも知恵を絞って呼んでいたようだけど、このところは外国人観光客に頼っているようではキビシイね。
ワリアイト
外国人が来るから日本人が来ない。
カゼト
いっそのこと、関所を置いて外国人を来ないようにするか。
# トイレがない。ゆふいんにトイレがないことはないのですが、おとずれる人の割にはトイレが少なく感じます。減っていく日本人観光客に対して増える外国人観光客、マナーの悪さには“定評”のある外国人のおかげで少ないトイレが余計に汚れています。湯布院を散策する前に駅でトイレをすませておくのも手ですが、その駅のトイレもにぎわっています。
カゼト
ヨソ者にマチのイメージを瞬間にイメージ付けられるのは駅だよ。だから駅は大切なんだよ。駅をないがしろにすると、地域ブランド化はうまくいかない。
ワリアイト
ゆふいんの駅舎、いいじゃない。駅にはアートギャラリーがあって、JR、センスあるじゃないか。
カゼト
雰囲気全開だよ。あの駅には相当、JRも投資しているみたい。
ワリアイト
行政も投資しているよ。駅すぐそばの案内所として、総工費3億3千万円のゆふいんふぉがある(*1)。
カゼト
設計はレイザーラモンらしい。
ワリアイト
ちがうよ。坂茂だよ。
*1 大分合同新聞 20180402
【 ゆふいんふぉ ① 】
【 ゆいんふぉ ②】
■ ゆふいん
由布5-2。国土交通省が示す地価の標準値番号です。その場所は由布院駅から300mいったところです。国内の地価は三大都市圏の人口が集まる商業地は上昇していますが、それ以外の土地、とくに地方となると下がる一方です。そういった状況のなか由布院の駅前は地価を上げていました。
同地の地価は105,000円/㎡、東京の商業地にくらべるとたいしたことはありませんが、地方都市でこの地価となっているのは少々驚きです。前年の上昇率は15.4%と急上昇気味でもあります。なお、鑑定評価員のコメントは以下です。
全国有数の温泉地である由布院地区においては、個性ある街並み形成も相まって、国内外からの観光客が増加しており、物販・飲食店舗の新規出店需要が堅調で、地価は上昇している。
コメントは以上です。
【 お土産屋通り 】
カゼト
国内外からって
ワリアイト
国外のまちがいでは。
カゼト
土地はみても人を見てないね。
ワリアイト
そもそもゆふいんには温泉以外なにがあるの?
ワリアイト
ゆふいんとの関連は?
カゼト
たぶん、ないと思う。製造元は同じ大分県の臼杵市にある醤油メーカーが製造してる。商品名にゆふいんが付くだけ。
ワリアイト
地域ブランドとしては弱いね。
カゼト
単なる地名つき商品だろ。ゆふいんって名前つけると売れるんだろう。知られた土地にはそういった産品多い。
ワリアイト
地名で稼ぐわけだ。
カゼト
その点、金賞コロッケの売れる理由は場所なのかモノのかは不明だ。
ワリアイト
なに、ソレ?
カゼト
現地に行って食ってみろよ。
ワリアイト
九州自動車歴史館ってのもあるが、ゆふいんとどんな関連があるのかい?
カゼト
知らない。ゆふいんだから人が来ると思ったのでは?すすけた施設だったが。
ワリアイト
地域と関連のない施設は、ビジネスしか考えてなさそうでイヤだな。
カゼト
こういったことに規制しないのはゆふいんは弱腰だな。
ワリアイト
しかし、どうやって規制するんだ?
# 金賞コロッケとは、NHKの第1回コロッケコンクールで金賞を受賞した地元コロッケ屋のコロッケです。現地では手軽さもあいまって行列のできるコロッケとなっています。店頭で購入した観光客の多くは、それを歩きながら食べます。
【 金賞コロッケ 】
# JR由布院駅を降り立つと先の由布岳をめがけて一直線に向う道路があります。その道路とは湯の坪街道といい、車が1台通れるほどの道路の両サイドにテイクアウトの飲食店や物販店がならぶショッピングスポットです。ここはにぎわっていますが、偉大なるイナカのイメージであるゆふいんの風情はここにはありません。ここでちょっとちがうんじゃない?と思った人は「旅人」の感度高しです。
- 不動産取引価格(土地:商業地 2017年)
- 由布市 167,164円/㎡
- 大分県平均 65,455円/㎡
- 全国平均 144,800円/㎡
出所:REASAS まちづくりマップ
カゼト
ゆふいん駅の足湯は検索されるスポットの多さでは、由布院温泉、金鱗湖についで3番目。公共交通機関ではね(*1:2018年3月)。
ワリアイト
駅って重要だね。
カゼト
道の駅ゆふいんも4番目に入る。
ワリアイト
駅ちがいでは?
カゼト
地域経済には、道の駅も見逃せない駅なんだよ。
ワリアイト
地元のコープですら外国人対応のレジ入れてるから物販の重要さがわかる。
カゼト
それにしても駅舎でモノ売りをしないJRは立派だな。
ワリアイト
商売が下手とも。
カゼト
マチが反対しているだけのことかも。
*1 RESAS
【 ゆふいん駅前のとおり 】
■ ゆふいん
意味もなく地名を付けた産品が出回るようになったら、マチの名でモノが売れるという事実であり、世の中の人に一定の認知度を得たということでもあります。一方、地名を付けただけの産品も出回ることになり、マチの価値を下げることにもなります。そういったマーケティングは規制できないため、商売する人のモラルが試されます。
カゼト
ゆふいんって女子向けの温泉地だな。
ワリアイト
たしかに宿泊者の男女比でも女性のほうが1.3倍ぐらい多い。
カゼト
美術館とかスイーツとかで人を呼ぶとなると、そうなるわな。
ワリアイト
オトコ向けではないね。たしかに。
カゼト
フーゾクもないしな。
ワリアイト
別府とは反対だね、あちらはいかがわしさ満載なマチにみえる。
# ゆふいんは温泉地であっても観光地でないということでしょうか。もしかしたら新手のショッピングゾーンかもしれません。観光地には不動産開発がつきものですが、ゆふいんはその不動産開発にも規制がありました。しかし、このところは観光客数減もはなはだしく、そうはいってられないのか、地元以外の資本がやってきています。
カゼト
大規模開発させなかった分、経済的発展を逃すことにはなったがね。でも最近は締め付けも弱くなったのか、星野リゾートがやってくるらしい。大規模なヤツで。
ワリアイト
先代だったら、抵抗したんだろうけど、星野リゾートを許すとはゆふいんも強気ではいられなくなったのかな。
カゼト
そうともいえない。星野リゾートのない観光地はブランド観光地とはいえないから、価値向上のために必要なネームかもね。
# 由布市には由布市モーテル類似施設建築規制条例があり、この手のお宿は建築してはいけないことになっています。星野リゾートの計画しているお宿はこの手の宿ではないと思われますが、ちょっと大きすぎるということでもめています。
ワリアイト
他になにがあるの?
カゼト
パチンコ屋。
ワリアイト
むしろ、そういうのはないのが地元はのぞましいのでは?他には?
カゼト
陸上自衛隊の駐屯地。地元では自衛隊のオリーブ色のトラックなんかが普通に走っている。
ワリアイト
それは大規模施設じゃないの?
カゼト
大規模施設だが、意味がちがう。
ワリアイト
星野リゾートはダメだけど、自衛隊はOKってこと?
カゼト
自衛隊には逆らえないだろう。そもそも先代たちが規制する前からあったからダメとはいえまい。駐屯地が先みたい。それに駐屯地が地元にあるおかげで国から手堅く交付金も入ってくるし。
ワリアイト
それにじゃかじゃか外国人が来るから?
カゼト
たしかに怪しいヤツもまぎれて来てるかもしれない。そのときに守ってくれるのは自衛隊だしな。
# 自衛隊の駐屯地はたしかに宿泊可能な大規模施設かもしれませんが、リゾート施設ではありません。地元では音楽隊によるコンサート、周年の記念行事での一般開放なども行って広く住民へ愛される姿勢を示しています。あわせて常時自衛官を募集しており雇用機会を提供しています。
【 湯布院駐屯地 】
■ 由布院
ゆふいんには規制があり、大規模開発はNGであり、大きな宿を建てさせないキマリがあるため、経済効果はのぞめなさそうです。一方、別府には647室、2,914名収容可能な大規模ホテル:別府杉乃井ホテルのような宿もあり、こちらは大規模OKとなっています。
大規模開発NGはゆふいんの美徳であり、イメージを作り、ブランド温泉地にしていったのですが、観光収入の最大化には背を向けたようです。
- 観光消費額(*1:H28年度)
- 由布市 123億4,186万円
- 別府市 882億7,336万円
経済優先の市長であれば規制を撤廃して大規模宿泊施設OKとしたかもしれませんが、それがいいかどうかは地元の判断です。そういう意味もあって由布市は地方自治を大切にした住み良さ日本一のまちをかかげています。
ワリアイト
ゆふいんって、ヨソの温泉地から羨望のまなざしを送られる温泉地だけど、九州ではどの程度なの?
ワリアイト
あんがい、たいしたことがない。観光客数なら別府には国内外あわせて799万4,021人やってきている(*1:2016年)
*1 別府市:平成28年別府市観光動態要覧
# 別府市と由布市の観光客数の同年比較では、別府市は由布市の2.2倍多くやってきています。ちなみに鹿児島県の指宿市にも海岸ベタの砂むし温泉で知られた指宿温泉があり、どちらかというとマイナーな部類の温泉地ですが、それでも日帰り、宿泊客あわせて369万人やってきます(*1:2016年)。
*1 指宿市 観光統計
ワリアイト
しかし、ゆふいんって人口増えてるの?
カゼト
減ってる。日本ならどこでも減るので異常ではない。
ワリアイト
地元住民が減るというのは、マチとして魅力が足りないのでは?
カゼト
地価は上がってたぞ。温泉地としての魅力はヨソ者の評価だよ。地元住民が減るというのは住みにくいのでは?
ワリアイト
「住み良さ日本一のまち」を目指しているらしい。
■ 由布院
温泉地でなくても国内はたいていどこも住民人口は減っており、ゆふいんも同じく減っています。ゆふいんのある由布市は地方自治を大切にした住み良さ日本一のまちを標榜しており、住み良い町ならきっと人口も増えて、にぎわいのある町となることでしょう。
以下は由布市の人口の推移です(*1)。
- 2000年 35,248人
- 2005年 35,386人
- 2010年 34,702人
- 2015年 34,262人
人気のある温泉地であっても人口は減ります。ヨソよりは大きく減っていないという地元ネイティブの声もあろうかと思いますが減りは減りです。行ってみたい温泉地として評価されはするのですが、住むとなるとなんら競争力はないのではないでしょうか。
とはいっても人口は減るもののゆふいんは消滅可能性都市とはなっておらず、将来は暗くはありません。ヨソの自治体と同じようにゆふいんでも移住にむけてのプロモーションをそれなりにやっています。
*1 総務省 国勢調査
【 ゆふいんの街並み 】
ワリアイト
ゆふいんのローカリティうすいのでは?
カゼト
ゆふいんの森ドレッシングがあるじゃないか?
ワリアイト
それはちがうって。
カゼト
由布うどんってのをみかけたが。
ワリアイト
由布市にあるから由布うどんでは?
カゼト
それだとゆかりがなくても文句はいえないな。
# くりかえしてしつこいようですが、ゆふいんの森ドレッシングは大分県臼杵市に所在するフンドーキン醤油株式会社が製造するドレッシングです。
カゼト
たしかにゆふいんらしさってないな。
ワリアイト
北海道のイナカがこんなかんじでは?
カゼト
ローカリティの発揚として、なにか欲しいね。
ワリアイト
マーケティングはしっかりできていると思うがね。
カゼト
いっそのこと、男子禁制のマチにしたらどうか。あれだけ美術館とかスイーツとかの店増やすならそうしたほうがいいぞ。湯の坪街道の両サイドは女子受けしそうなそんなばっかりじゃないか。
ワリアイト
オトコは、家族連れかカップルでの訪問にかぎるとかね。
【 ゆふいんの街並み 】
カゼト
オトコ2人旅はゆふいんの絵としてサマにならないだろう。
ワリアイト
そもそもオトコ2人旅はサマにならないけど。
カゼト
それにしてもゆふいん、美術館多くないか?
ワリアイト
シャガール美術館とか。
カゼト
ゆふいんにシャガール、来たことあるのか?
ワリアイト
知らない。
カゼト
ゆふいんにノーマン・ロックウェル美術館もある。
ワリアイト
ゆふいんとの関係性は?
カゼト
知らない。
ワリアイト
いずれにしてもゆふいんに美術館多いね。
カゼト
そもそも駅に美術館が併設してるし。
# ゆふいんにあるシャガールの美術館はシャガール作品のオーナーがこの地が好きということで、ゆふいんの金鱗湖べりに建てられています。入館料は大人一人600円です。ちなみにフランスのニースにもマルク・シャガール美術館があります。なお、こちらは国立です。
【 シャガールの美術館 】
■ 由布院
財政弱小自治体にはふるさと納税は期待の税制です。ふるさと納税は都会とマチのコミュニケーションの美しい形の納税制度であり、地域ブランドの目にみえる形でもあります。
ゆふいんのある由布市は十分ネームバリューがあるという判断からか、ふるさと納税に熱心にはみえません。
由布市は平成29年度のふるさと納税(寄附額)の県内ランキングでは県を含む19市町村では、9位の9,648.6万円です。その1つ上が別府市です。温泉地として知られているマチはふるさと納税に熱心ではないのでしょうか。それともこの熱心さのなさはブランド温泉地としてすでに知られたマチとしてのプライドでしょうか。
ワリアイト
ゆふいんのふるさと納税の特典にはなにがあるの?
カゼト
20万円のペア宿泊券がある。
ワリアイト
それって高額返礼品では?
カゼト
そもそもが高いからそうなるのではないか?
ワリアイト
コレというのはなさそうだね。
カゼト
温泉地だから現地に行かないとな。
■ 由布院
ゆふいんはブランド温泉地と知られたところですが、マチとしての競争力は低く、それほど一人当たり市町村民所得も高くありません。
2006年度から2015年度までの一人当たり市町村民所得の平均は以下のとおりです。
- 大分県(平均)245.8万円
- 由布市 228.9万円
ゆふいんのある由布市は大分県の平均以下であり、大分県には18市町村あるなかで上から6番目です。かつてのライバル別府市は209.5万円と、この点でははるか遠くにしりぞけたようではあります。
ワリアイト
ゆふいんってリタイアして住むところじゃないのかな?
カゼト
トシヨリばかりがきてしまったら困るだろ。
ワリアイト
成功したIT起業家が来るようには思えないがな。
カゼト
ブランド温泉地といっても観光地だから住みにくいのでは。
ワリアイト
地元の国立大学の病院は由布市にあるし、イオンのショッピングセンターもある。ただし、そのあたりだと、ほぼ大分市に近い由布市になる。
カゼト
ここはゆふいんの観光スポットから遠いので、少しはしずかでは?
ワリアイト
都会に近づく分、べつなやかましさがはじまる。
ワリアイト
ゆふいん駅から離れていくと本当のゆふいんらしさというか、ゆふいんが本来求めるものがあるのでは?
カゼト
けっこう大企業の保養所がひっそりとあったりするしな。
【 静かなゆふいん 】
■ 由布院
財政力指数は数字が大きければそれほど余裕がある指数であり、1以上であれば富裕団体、0.4未満だと過疎団体とみなされます。
- 由布市 0.46
- 別府市 0.57
上記の数字は平成28年度の財政力指数です(*1)。非ブランド温泉地の別府より悪く、由布市は前年度より指数を悪化させています。
ブランド温泉地だから税収もきっと多いことからマチの財政もきっとうるおっていることだろうと思われますが、残念ながらそんなことはありません。
*1 総務省
カゼト
由布岳は南由布駅からながめるのがいいね。南由布駅は人もあふれかえっていないし。山頂がよくみえる。
ワリアイト
登山口の駐車場からのながめるのもいいね。
カゼト
あそこは別府市だけどな。
【 南由布駅からのながめ 】
カゼト
ゆふいんの温泉だったら湯平温泉がオレはいいな。
ワリアイト
人が少なすぎて、ゆふいんのイメージとちがうね。
カゼト
だからいいんだ。坂の石畳は風情がある。雨が降ったときはさらに風情が増すが歩きにくい。
ワリアイト
こっちのほうがオリジナルゆふいんみたいだね。
【 湯平温泉の石畳 】
# 湯平温泉(ゆのひらおんせん)は無人駅のJR湯平駅から徒歩で1時間はかかる山奥にあります。駅からはほぼ上り坂です。合併前の行政区は湯布院町湯平でした。由布市になる前の湯布院町は由布院町と湯平温泉のある湯平村が合併してできた町ですが、湯平の湯をとって湯布院町としました。当時は湯平温泉のほうがにぎわっていました。
カゼト
昔はいまのゆふいん駅のあたりのゆふいんよりも観光客が多かったらしい。湯治場としてにぎわってらしく、いまもそんな雰囲気が伝わる。
ワリアイト
駅から徒歩1時間はツライな。バスもなくタクシーも呼ばないとこないでは、すたれるだろうな。
カゼト
白人カップルが駅から湯平温泉までつづく坂道をトボトボ歩いていた。旅人はちがうなと感心した。
ワリアイト
実際の温泉街としてはどうなんだい?
カゼト
オレは気に入った。ただ、大量に人が行けるような温泉地ではないな。駐車場も大きくないしな。
ワリアイト
むしろ紹介してはいけないのでは?
カゼト
それでも、こんな場所でも外国人観光客でいっぱいになる山城屋という宿がある。
# 同宿については「山奥の小さな旅館が連日外国人客で満室になる理由」というタイトルの本があさ出版から出されています。
ワリアイト
ゆふいんとちがってあまりビジネス寄りじゃなさそうだね。
【 共同湯:中の湯温泉 】
カゼト
たしかに、共同湯も200円と安い。湯温もオレには最適。残念なことに地震以来、お湯が出ないから共同湯はお湯を融通しあうかから休み休み営業している。
ワリアイト
たすけあいの精神でいいじゃないか、でも休み休みの営業では、ますますすたれそうだ。
カゼト
あれが本来のゆふいんではないかと思う。
ワリアイト
派手派手しい施設もないしね。
カゼト
施設はないわけではない。昔は映画館があったらしい。いまは種田山頭火のミュージアムがある。山頭火らしく入館料は100円。山頭火らしくつつましいね。
ワリアイト
しかし、湯の坪街道行ったような人は湯平温泉にはいかないだろう。
カゼト
オレは行ったけど。
ワリアイト
そんな人はキミだけでは?
# 種田山頭火は湯平温泉を訪れ宿泊し、いくつかの俳句を残しています。野口雨情も同地を訪れて詩を残しています。記念館となったのは山頭火のほうでした。
ワリアイト
ゆふいんのイメージってなんだ?
カゼト
外国人がウジャウジャ来る日本の観光地ってことかな?
ワリアイト
ひなびた日本のイナカでは?
カゼト
たしかにそういうところでもあるが、その場所にはカネが落ちない。カネが落ちる場所は、ゆふいんのイメージのほど遠い買い物通りだ。
ワリアイト
観光地のビジネスモデルだね。
カゼト
さびれた観光地にはいきたくないだろう。日本人は。
ワリアイト
中国人も。にぎやかで騒がしいところでないと、観光地に来た気分にならないんだろ。
【 湯平温泉 】
カゼト
「なにもないところで静かにすごせます」ではダメってこと。
ワリアイト
「ここはなにもありません」って観光ガイドはないように、なにかないと行かないよ、人は。
# JRゆふいん駅を外れれば、由布岳を遠くにながめることのできる偉大なるイナカのゆふいんに遭遇することができます。ただ、そういったところに行くのは、にぎわいのあるゆふいんとは別なところになります。観光地で稼ぐには、観光でやってきた人を欺かないといけないうしろめたさがあります。また、観光地には人は2度は行かないものです。観光地あるいは観光地に行く人ともに、欺き欺かれする関係ではないでしょうか。観光パンフレットにはウソはありませんが、リアルもありません。
本編はここまで
なお、当地がいいかどうかは個人の判断にお任せします。ただ、人は似たような観光地には行きません。決して当地を真似ようとは思わないでください。日本じゅうの観光地が同質化してしまい、「どこも似たようなもんだろ」と先入観をもたれて、しまいにだれも観光をしなくなります。
地域ブランドの罠#1 ゆふいん ②/2
リサーチに協力していただい方々に感謝いたします。
一方、リサーチに協力していただけなかった方、次回ご協力にお願いいたします。
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【注意】
地図はグーグルより加工
価格・数量などは初回公開当時のもの
画像は下手上手関係なくローカライズド(LCD)
なお、取材日当日でないものもアリ
現地に赴く場合は、公式情報を確認されてから行くように
初回リリース:20190511
ここで紹介したことはすでに過去の情報となっていることを申し伝えておきます。
マチとの遭遇 九州編
製作:ローカライズド(LCD)
■ メンバー
#1 風戸ケイキ(リサーチ)
#2 ワリアイト・リョウ(リサーチ)
#3 タシロ(プレス)
旅とカットソーシリーズ 2019
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