小値賀 離島 旅にもイノベーションを求める人へ
小値賀は離島です。古民家ステイができるのは小値賀です。当然ですが地場産品もあります。都会の人なら、非日常を味わえます。
【 歓迎してくれています。小値賀町 】
小値賀/おぢか
20160401現在
制作:ローカライズド(LCD)
小値賀はここに
■ 小値賀に入る交通手段
OK 船(フェリー 高速船)
NG 飛行機
NG 鉄道
NG 自動車
NG ロケット
離島だけに鉄道や自動車で入ることはできません。過去には飛行機の定期便が運航していましたが撤退し、その後、土日のみ運行するチャーター便が運航しましたが、こちらも廃止となりました。
非常時以外で小値賀に入る手段は船のみになります。
フェリーは時間がかかりますが、その分1キロあたりの運賃は、鉄道よりは経済的です。
人力で泳ぐという手段は、本土である佐世保市から約60kmのため命の保証がありません。あしからず。
■ 古民家ステイ 1
離島にも差別化あるいは付加価値化が求められます。小値賀の場合、それは古民家への宿泊です。
「古民家ステイ」とは、記憶にのこりやすいようにネーミングです。古民家への宿泊という体験が商品になります。
全国的に静かなブームを呼びはじめたとき、小値賀もそれに乗ることになりました。
古民家 ≠ ふるぼけた民家
古民家ステイがはじまったのは、2010年9月からです。いかにも女性のハートをくすぐる宿泊施設であり、多くの女性雑誌にとりあげられました。
【 古民家内部 】
■ 古民家ステイ 2
古民家ステイのはじまりは、東洋文化研究者であり商売人であるアレックス・カー氏が小値賀に訪れたときからです。
日本好きのアメリカ人は、国内各地を放浪していました。
東洋文化研究者で商売人
とは、毀誉褒貶のはげしい人物ですが、雑誌などで氏を紹介するときは前者、町役場の一部の職員からは後者で呼ばれています。
【 古民家入り口 】
■ 古民家ステイ 3
民泊が小値賀観光の大衆部門であるなら古民家ステイは高級部門といえます。
宿泊料金もお一人素泊まり1泊2日で2万円前後(ハイシーズン:2015年度)です。ちなみに小値賀には、同じサービスならば5,000円前後の宿があります。
地元にとっては、古民家ステイは地元経済への期待アイテムです。
実際、地元に雇用を生み出したビジネスでもあります。
「1年間の売上累計は約2,000万円。古民家掃除のパート雇用、リネン類のクリーニングなどは地元で行っている」
と、第9回グリーンツーリズム大賞受賞時の当時の小値賀観光まちづくり公社の当時の社長の言葉です(*1)
*1 毎日新聞社
【 古民家 庭側から 】
■ 古民家ステイ 4
古民家ステイはアウトサイダーにはレジャーですが、地元にとってはビジネスです。
古民家ステイが語られるとき、補助金や町の経済などの俗なことは語られません。小値賀のこの取り組みは小値賀町古民家再生事業として行われました。
総務省の調査報告書(*1)によると、古民家ステイや古民家レストランなど古民家を利用する観光プログラムに関して1億4,000万円ほどの税金などが投入されています。
古民家および古民家レストランのハードの整備には国の補助金があてられましたが、補助金の割合は37.4%、のこりは町が調達しなければなりません。
補助金で賄いきれなかった分の資金調達のうちの半分は一般財源で、のこり半分は起債しました。財政が豊かといえない町も起債(=借金)して"勝負”に出ます。
* 1 総務省及び財団法人地域活性化センター:市町村の活性化新規施策100事例(平成21年度地域政策の動向)
【 古民家内部 】
■ 地場産品ナウ
島の経済のためにも地場産品に期待が寄せられます。
地元では一般財団法人小値賀町担い手公社による小値賀町じげもん振興協議会が設立され、同協議会が地元の名産を販売します。
「じげもん」とは地元のモノという意味です。
小値賀町の離島振興計画によると2011年度の水揚高は
5.6億円 一本釣り
1.5億円 シイラ漬漁
1.3億円 延縄
1.0億円 刺網
となっています。海から島に10億円近くもたらします。
しかし、磯焼けによる沿岸環境の悪化により藻が育たず、高単価産品であるあわびやさざえの漁獲量は減り、気候変動による漁獲高減少が心配されています。
漁師も高齢化しており、60歳以上の組合員は全体の64%を占め、後継者の育成が課題です。
■ 地元の状況 いま 1
小値賀はかつて捕鯨で栄えた島であり、遊郭があるほどの島でした。
1950年の町の人口は10,968人、人口密度ランキングを今の日本の状況と照らし合わせると、現在は1,100位ですが1950年だとすると600位ぐらいに上昇します。
人口は減りつづけ、過疎地域自立促進特別法、離島振興法に指定される市町村となってしまいました。
小値賀町の漁業協同組合の建物とその風景は建物落成当時の1965年からほとんど変わっていません。
【 小値賀の中心地 】
■ 地元の状況 いま 2
リッチとは無縁の小値賀にあっても、販売収入1,000万円以上の販売農家は2戸ほど存在します。
小値賀には販売農家は213戸あり、そのうち8割は販売収入300万円以下の農家ですが、販売収入1,000万円以上の農家2戸を含めて、販売収入500万円以上の農家は1割弱程度存在します(*1)。
農業従事者の高齢化は国内全体よりも進行ペースは早く、国内のその割合39.9%に対して、小値賀島のその割合は52.8%となっています。
*1 離島振興計画
【 小値賀の中心地 】
■ 経済浮上のチャンスか?
集団やかたまりでの活動はAKBだけでなく、世界遺産にもみられます。
2013年9月上旬、世界遺産登録の国内推薦候補がどこになるかと、世間をにぎわせていました。
小値賀はその対象となるアイテム:野首教会が町内にあり、経済浮上のチャンスがやってきました。
推薦候補は2つありました。①「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」と②「明治遺産の産業革命遺産」です。
地元長崎県はどちらが候補に選ばれてもその立地地域となり、"世界遺産保有県”となるのですが、地元県議会は「教会群」を優先すべきと国に要望し「教会群」を強く押しすすめていました。
ただし、「産業革命遺産」が候補になれば、小値賀町はその対象から外れてしまいます。
2013年の秋、小値賀町役場の外壁には「上五島から世界文化遺産」をという垂れ幕が下げられていました。上五島とはこのあたり一帯の名称です。
上五島にも教会があり、教会一点だけではなく、このあたり一帯の教会群としての登録候補です。
議論の結果、推薦候補から外れました。長崎県では外れたのは残念でしたが、小値賀では「外れてもよかった」という声もありました。
しかし、長崎県はまたしても登録を目指します。今度は2016年度の登録を目指します。(県は世界遺産関連事業費として毎年度億単位、事業費として使っている)
マチとの遭遇
マニアック観光#小値賀への接近
その10 終了
注意 情報は2016年4月1日現在のものです。
現地の状況は刻々と変化しています。
現地に行って確認することをおすすめします。
制作 : ローカライズド(LCD)
リサーチ : 風戸ケイキ/ワリアイト・リョウ
「マチとの遭遇#小値賀編 マニアック観光#小値賀への接近」
制作委員会作品
Language:Japanese text only
Not Rated
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