小値賀 離島 旅にもイノベーションを求める人へ
小値賀では、離島だけにあますことなくその労働力を活用しなければなりません。それは失業率の低さと、人口の割には役員の多いことからうかがえます。
【 歓迎してくれています。小値賀町 】
小値賀/おぢか
20160401現在
制作:ローカライズド(LCD)
小値賀はここに
■ 事業所の減り
小値賀には154の事業所があり、583人がそこで働いています(*1:2014年)。前回調査時より事業所は3事業所の「減」、従業者数では60人の「減」です。
率にすると事業所は-1.9%、従業者数は-10.3%となり、60人の減少は1割の減少となります。
この二年度ではこの程度の「減」ですが、昔とくらべると大きく「減」となっています。1986年に小値賀には270事業所あり、そこで働いている人は1,087人いました(*2)。
県内事業所シェア
- 1986年:0.3%
- 2014年:0.2%
シェアそのものは小さく、さらに0.1%のシェアを落としています。
地元長崎県内に占める事業所の割合もダウンです。地元長崎県全体より減少幅が小さいのは、せめてもの救いです。
*1 総務省:経済センサス
*2 総務省:事業所・企業統計調査
【 小値賀ってこんなところ 】
■ 小値賀で働く人 1
小値賀の人は、基本的に働き者です。後期高齢者となっても働きます。小値賀には75歳以上(O-75)は797人、そのうちの12.7%である102人が働いています(*1・2)。
同年の国内のO-70人口に占める働く人の割合は12.7%ですので、小値賀の高齢者は世間並みに働いています。
おじいちゃんは離島でのんびり暮らしました、というわけにはいきません。
*1 総務省:国勢調査(2010年度)
*2 総務省:労働力調査
■ 小値賀で働く人 2
「離島には仕事がない」と考えるのは本土の人の先入観です。小値賀では町民の45%の1,283人が働き、人口"ほぼ半数”働く社会を実現しています。
- 小値賀町:3.7%
- 佐世保市:7.4%
- 長崎県 :6.6%
この数字は2010年の完全失業率です(*1)。小値賀の完全失業率は県全体よりも低く、離島だからといって仕事にあぶれているわけではありません。
小値賀のとなり町、佐世保市は、佐世保重工業など製造業が多く集積していますが、そういった町のほうが仕事にあぶれるようです。
ちなみに小値賀には、ハローワークはありません。
*1 総務省:国勢調査
■ 小値賀で働く人 3
離島ほどアントレプレナーシップが求められます。働いている人のうち「雇われて働かない人」つまりフリーエージェントは687人おり、わずかばかりですが「雇われて働く人」より上回ります(*1)。
フリーエージェントといってもwebデザイナー、コピーライターなどのクリエイティブな仕事ではなく、単に雇い主のいないだけの農家、家族総出で働く商店の従業者であるだけのことです。
労働力人口に占める農業、漁業などの第一次産業従事者の割合が34.1%と長崎県の7.4%よりも高ければそうなるのでしょう。
小値賀には役員さんは30名、全就業者に占める割合は2.3%と小さいものの経営者層もしっかりと存在します。
*1 総務省:国勢調査(2010年度)
【 小値賀ってこんなところ 】
■ 小値賀で働く人 4
小値賀に住む人はほぼ小値賀で働きます。通勤ラッシュや朝の交通渋滞ともほぼ無縁です。
離島だけにヨソの町へ通勤するにはフェリーの利用となり、ヨソの町へ通勤する人は15人います。その反対にヨソの町から小値賀へ通勤する人も16人います(*1)。
小値賀で稼いだ分は、ほぼ地元での消費となり、ほぼ地産地消といえますが消費額は収入額に左右され、地元経済の発展のためには地元で得られる収入を大きくしないといけません。
*1 総務省:国勢調査(2010年度)
■ ポットホール
緑の草地に白い鳥居、その先は青い海。絵になる風景です。その風景に国の指定の天然記念物があります。
ポットホール(甌穴)には長年の風雪に耐え、削られて丸くなった石(玉石)があり、その石は現在も継続中で削られています。
- 名称:斑島玉石甌穴
- 分類:史跡名勝天然記念物
その天然記念物には、波しぶきあがる海ギリギリにある岩場にあるため、天候が悪ければ近づくことはできません。
天然記念物といってもハデハデしい案内はなく、なにもないではない?と鳥居を遠目に見ただけで引き返してしまいかねません。
このスピリチュアルスポットへは、地元路線バス、レンタサイクル、レンタカーあるいは徒歩などの移動手段がありますが、レンタカー以外だと手間や体力が求められます。
とくに普段自転車に乗ることがない人にはレンタサイクルでの訪問をおすすめしません。ただ、訪れる価値は十分あるスポットです。
【 ポットホールエリア 】
■ 離島に渡るには補助金 1
太古(たいこ)。福岡から小値賀への航路をもつフェリー会社:野母商船(本社:長崎市)のフェリーです。同航路は博多港と五島列島の島々を結んでいます。
博多から福江間を運航する1日1便のフェリーであり、小値賀への到着時間は
上り便:13:00 下り便:4:40
となっており、アウトサイダーには、ありがたくない到着時間です。現在の太古は4代目、2014年7月に新船建造されました。
旧船(3代目)と新船(4代目)とでは定員は350名と変わらないものの運搬車両台数は11台に増え、スピードは10%アップします。
同航路は野母商船の売上高の8割を占めるドル箱路線です。しかも独占路線です。
【 太古 】
■ 離島に渡るには補助金 2
独占路線であってもビジネスは難しいようです。燃料の高騰もあり2006年度以降は赤字が続き、ドル箱路線とはいえません。
それでも赤字続きの航路でも設備投資ができるのは、長崎県の補助制度を活用するからです。
補助制度を活用する分、建造費用相当額を運賃引き下げ分に充当しなければならないため、運賃は2割前後引き下がることになりました。島民は割引の対象でもあります。
以下は長崎県の離島地域交流促進基盤強化事業補助金の福江~青方~博多航路の各年度の補助金額です(*1)。
平成24年度 8,444万円
平成25年度 8億7,335万円
平成26年度 13億 670万円
3年間で総額22億6,450万円の補助金は全額新船建造に当てられました。新船の定員が増えないのは、離島人口の減少からすれば当然といえます。
島民人口分の輸送がほぼ収入源であり、アウトサイダーの乗船が収益増の期待となります。
*1 長崎県新幹線・総合交通対策課:離島地域交流促進基盤強化事業
■ 小値賀島に入ろうとするも
小値賀に向かう船に乗れたとしても、抜港(ばっこう)の可能性があります。
離島への渡航は、不確実性がともなうことを忘れていけません。抜港とは寄港をとりやめることです。
小値賀港に入る船は、町営の近隣の定期便をのぞいては1日7便、天候次第では運休もあれば抜港もあるので安心できません。
岸壁に近づけないような荒天であれば、有無をいわせず抜港ですが、晴れていても風が強すぎて接岸できないとなると、抜港となります。
乗船したからといって寄港地に上陸できるかどうかはその日の風次第です。ただ、そういったことは少ないのでたいていは上陸できます。
島の人は、抜港するのは船長に接岸の腕がないだけと言います。腕のある船長は多少、波が荒れていても風が強くても接岸するとのことです。
島民にとっては生活物資を運んでいるだけに、そう簡単に抜港されてはたまりません。船長もスキルとプライドが問われています。
【 小値賀ってこんなところ 】
■ 離島のコスト
「*離島・一部エリアを除く」は離島の宿命です。離島であると、本土より少々時間がかかってしまいます。
小値賀は商売にならないとみたのか、ヤマト運輸、佐川急便の営業所はありません。
ヤマト運輸の集配担当店は、小値賀島より約10km北上にある宇久島にはあっても小値賀島にはありません。
ただ、人口が多いのは小値賀のほうです。
- 宇久町 2,116人
- 小値賀町 2,537人(*1)
躊躇する瞬間は、離島への移動や輸送を考えたときです。
手で持って帰ろうか/お願いしようか
ちなみにヤマト運輸に集荷をお願いした場合、60サイズ1個の小値賀から東京23区までの料金は1,188円になります。
*1 ともに推計人口(2015年10月1日)
マチとの遭遇
マニアック観光#小値賀への接近
その7 終了
注意 情報は2016年4月1日現在のものです。
現地の状況は刻々と変化しています。
現地に行って確認することをおすすめします。
制作 : ローカライズド(LCD)
リサーチ : 風戸ケイキ/ワリアイト・リョウ
「マチとの遭遇#小値賀編 マニアック観光#小値賀への接近」
制作委員会作品
Language:Japanese text only
Not Rated
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