小値賀 離島 旅にもイノベーションを求める人へ
離島だけに朝日、夕日の時間は絶景を楽しめることができます。名産ならぬ迷産も多いのが離島の特質であり、良さでもあります。
【 歓迎してくれています。小値賀町 】
小値賀/おぢか
20160401現在
小値賀はここにあります。
■ 退屈だが訪れたい場所 1 納島
上には上がいるように、離島にも離島があります。小値賀の場合、それは納島(のうしま)になります。面積0.65k㎡、人口26人の島です(*1)。
小値賀町から納島へ渡るには町営船:さいかいで渡ります。平日は1日5往復、日曜日は2往復の運航です。
- 運航時間:7分
- 運賃 :片道210円(大人)
大人の往復には若干の割引があり400円となります。なお、1隻貸切っても3,000円です。 小値賀から納島へは柳港からに渡ります。港というよりは波止場です。
柳港にある修築記念碑によると、1950年に修築されています。総工事費は当時のお金で1,500万円、財源は国、県、町から調達し、それ以外に4割は経費及び寄付金として調達しています。
ー 納島の場所 ー
小値賀から納島へは7分で渡れますが、小値賀島内の柳港までには一苦労あり、移動の足を調達していないアウトサイダーには、事前準備をしっかりとしておく必要があります。なお、ここからとなり町となる宇久島(佐世保市)への渡船も運行しています。
* 1 小値賀町役場 地区別人口 2015年10月
【 さいかい船内 】
■ 退屈だが訪れたい場所 2 納島
納島は絶景が広がるような離島ではありません。港に着いて5分ぐらい歩くと退屈になります。
早朝の便以外は、帰りの便の出発は最短で2時間後です。たまに農作業のおじいさんに出会う程度の島では飲食店もなく、持ち込んだペットボトルを捨てるにも迷います。
農作業のおじいさんとコミュニケーションをとりたくても、あちらは仕事中ですのでためらわれます。
次の出発便を気にしながら島内をウロウロしてもまだ時間は余ります。日々、時間に追われている都会人には、"退屈でありながら時間を気にする”貴重な体験をすることになるでしょう。
納島ではピーナッツが栽培され、それが小値賀の名産となっています。離島の離島では、大規模農業化や機械化することなく、のんびり作業しています。
そのせいか"スロウ”でオーガニックな生産と生産物となります。納島の貨幣産出アイテムはこのピーナッツと自動販売機と思われ、「ピーナツアイランド」として観光地化しないところが、この島の良さです。
【 落花生 】
【名産】
地場産品は町を活性化させる期待のアイテムです。産品が売れることで知名度を上げて経済的・社会的発展に貢献できます。産品によっては、地元経済を引っ張るほどの存在になるものもあります。
名産は「伝統の〜」、「名士に愛されて〜」など、立派な修飾語がついたご当地産品です。たいては真面目でかしこまっています。いわばストレートな地域資源であり、古ぼけていても名産です。
名産と似たものに名物があります。「名物にうまいものナシ」という故事がありますが、なにが名産かわからない時代だけに、自分に基準が必要です。
【迷産】
迷産は名産ではありません。地元の人が誇れる地元アイテムでもアウトサイダーには、笑いの的にしかならないアイテムかもしれません。地域活性化には「笑い」は必要ですので、迷産であっても郷土の誇りとして取り扱いましょう。
迷産 ≠ 名産
「残念」あるいは「お叱り」を受ける地元アイテムもありますが、なにが人の心に響くかわかりません。そんなストリートな地元アイテムが迷産といえます。販売成績がかんばしくないのは、少々悔やまれます。
消費者ニーズの多様化により、人によっては名産が迷産になることもあります。
■ 迷産 1 落花生
地場産品は町の経済を発展させる期待のアイテムです。小値賀の場合、その一つが落花生です。
同地の落花生は「全国から注文が入るほどの人気ぶりです。」(*1)です。落花生の産地といえば千葉県八街市。同市をしのぐほどの知名度や出荷量はありませんが、地方の知る人ぞ知る産品とされています。
東京都区小売価格:117円/100g(*2)
小値賀で生産・販売されている落花生の小売価格は、1袋120g460円です。販売される場所による変動はありますが、東京より単位あたり3.2倍の店頭販売価格になります。
人気の高さから価格には強気なのか、離島という地理的条件から"物流プレミアム”があるのか、わかりませんが、それでも売れています。
残念ながら供給が追いつきません。小値賀の落花生は小値賀島の北にある島:納島で栽培されています。
同島は2015年10月現在で11世帯、26人の離島です。
地元小値賀でもなかなか手に入らない名産は地元の物産館:あわび館で販売されています。販売されている落花生の製造者は地元の企業:小値賀担い手公社です。商品パッケージにも同社の表示はあり、原材料名の記載も
原材料:落花生(長崎県小値賀町産)、食塩
とあり、地元産を示しています。産地に虚偽表示はないにしても品名には「ピーナッツ」、商品パッケージには「ピーナツ」とあるのは単なる記載ミスでしょうか。記載ミスだとしても、ちょっと間抜けで、離島モードです。
ピーナツ 購入先 あわび館
460円 1袋120g
原材料 落花生(長崎県小値賀町産)、食塩
*1 「小さな島で」37P *2 総務省小売物価統計調査 平成24年
【 ピーナツ 】
■ 迷産 2 「小さな島で」
目立たない島は、自身で自身を紹介しなければなりません。おぢかアイランドツーリズム発刊の「小さな島で」というタイトルのB5サイズの冊子があります。
島の名産、名物、名所、"名人”などを紹介した心あたたまるストレートな冊子です。
手に取ると少々重さを感じ、小さな島の魅力がギッシリ詰まった冊子と予感させます。同冊子は島の広報誌にもみえますが、定価900円(税別)の書籍コードのある出版物、つまり売り物です。
発刊は2012年3月。冊子をひらくと、小値賀に行ってみようかという気になります。2016年1月現在、ネット系の書店では購入できず、ある意味、地元の名産といえる産品です。
【 小さな島で 】
■ 迷産 3 魚
茅ヶ崎(ちがさき)は湘南にある町ですが、小値賀には似た読みのブランド魚があります。
地元漁協:宇久小値賀漁業協同組合(HPなし)が出荷するイサキは
「日本一うまか値賀咲(ちかさき)」
のタグをつけて出荷されています。「日本一うまか」とは、日本一おいしいという意味です。
出荷時期は7、8月、撒き餌をしない手釣りで、その後は丁寧に活け〆をします。
小値賀近海は潮の流れが早いために身は引き締まり、撒き餌をせず釣り上げるために生臭さがありません。身がしまった生臭さのないイサキは「値賀咲」ブランドとして全国に出荷されます。
なお、小値賀周辺で水揚げされるイサキが、すべて値賀咲ブランドのイサキではありません。
認定基準にあわないイサキは同ブランドとして出荷されません。ちなみに値賀咲ブランドイサキは、イサキ全体の出荷量の180tのうち8割を占める148tとなります(*1:平成22年度)。
「値賀咲」ブランドのイサキの認定基準
- 400g以上であること
- ウロコの状態が良い
- 魚体の色が良い
やや、認定基準が甘い気がします。1.以外は人間の目などによる官能検査ですが、このあたりは離島ということで大目にみるべきでしょうか・・・・。
せっかくの高品質のイサキですので、高値で売れてほしいところですが、宇久小値賀漁協によると価格のほうは「健闘中」とのことです。
このほかにも小値賀では、タチウオを「白銀(はくぎん)」とネーミングしてブランド化を試みています。こちらも自称であるものの「日本一うまか白銀」として商標登録されています。
*1 長崎県:長崎は美味しい。P46
■ 迷産 4 すぼかまぼこ
地場産品は町の経済を発展させる期待のアイテムです。小値賀のその期待のアイテムはあり、その一つがすぼかまぼこです。
「すぼかまぼこ」とは、単純にかまぼこですが、わらをまいたかまぼこです。小値賀の沿海部で目にすることができます。
すぼとは藁(わら)のことであり、インターネットの時代の現在は、わらではなくストローを代用しています。
現在のすぼかまぼこにはストローがまかれてあり、食べるときにはそれを剥きます。初めて目にする方は
「かまぼこにストローが巻かれてるッ」
と、少々サプライズがあります。
小値賀産のすぼかまぼこのこだわりは、原材料となる魚は主原料でもあるアジです。かまぼこイコール白い練りものですが、当地のすぼかまぼこは原材料はアジのためか、ややグレーがかっています。
同商品の食品表示の記載によると、防腐剤や保存料は入っておらず、安心安全といえますが日持ちがしないデメリットもあります。
地元では日常食として販売され、お土産品化されていません。購入は、地元の人が利用する商店での購入となります。
すぼかまぼこ 購入先 全日食丸祐
432円 1本 172g(ストロー含む)
原材料 アジ 澱粉 小麦粉 など
製造者は地元の個人
【 すぼかまぼこを上からみたところ 】
マニアック観光#小値賀への接近
その3 終了
注意 情報は2016年4月1日現在のものです。
現地の状況は刻々と変化しています。
現地に行って確認することをおすすめします。
制作 : ローカライズド(LCD)
リサーチ : 風戸ケイキ/ワリアイト・リョウ
「マチとの遭遇#小値賀編 マニアック観光#小値賀への接近」
制作委員会作品
Not Rated
読者コメント