久留米/くるめ
20160101現在
■ 2015年7月のある金曜日の夕方 五十番にて 7
17時55分。店を出る。しめて1,500円。高いのか安いのかわからないが満足度は高い。大勢で来店するのはモラルが問われる気がするのでローカライズド(LCD)のメンバーとは行かないようにしておこう。
■ ゴム 17
迎賓館といえば、政府が外国の要人を接待する施設か、一般人でも使える結婚式場です。その迎賓館、久留米に2つあります。
- 1983年にオープンした結婚式場
- 1933年に竣工された個人の私邸
個人の私邸はブリヂストン創業者一族による私邸であり、現在は同社の接待の場として利用されています。
年に数回ほど一下々にも般公開され、セレブの暮らしを垣間見るチャンスがあります。年に数回ではイヤという方は、となりにそびえたつ久留米市役所から常時見下ろせます。
同迎賓館はブリヂストン所有の不動産の一つであり、地元には同家一族の寄贈した不動産や資産が多くあります。
- 石橋文化センター
- 石橋美術館
- 石橋美術館別館
- 市内中学校への水泳プール
- 久留米大学の敷地と校舎
さらにブリヂストン創業者石橋正二郎氏ご本人からではありませんが、親族がその親族の息子に贈与した資産もあります。
東京生まれの東京育ち、東京大学を卒業して、初当選は旧東京8区からですが、現在は福岡県6区選出の衆議院議員:鳩山邦夫氏への贈与はその例です。
地元久留米商工会議所ビルの道をはさんだとなりの敷地に、ブリヂストン創業者一族の家系につらなる一人である氏の事務所があります。敷地の2階建ての建物の名称は鳩山ビルです。
福岡県6区の選挙区は現在、久留米市全域となります。ながらく氏は東京都の選挙区選出の国会議員でしたが、母方の祖父の地元に戻ってきました。
「鳩山ビル」の2階に自身の事務所、1階はコンビニエンスストア、同じ敷地の一角には牛丼チェーンが営業しています。氏の事務所がある地元商工会議所の通町一丁目の1,665㎡の土地は母親の不動産です。
地元では「クニオ」と呼ばれています。本人の目の前ではそう呼ばれませんが、本人がいないところではそう呼ばれています。
セレブな御一家のお生まれですがきさくな一面もあり、氏の事務所近くのスーパーでは、買い物カゴをさげた姿の氏の目撃情報もあります。
2015年5月に公開された衆議院議員の公開資産では、金融資産と不動産の合計は30億6,520万円と公開され、衆議院議員のなかでもっとも多い資産家でもあります。
【 鳩山ビル 】
■ ボナック
地元期待の企業は、大阪で創業した化学薬品のメーカーです。よりよい事業環境を求めて久留米にやってきました。
同社はちくぎん活性化ファンドの第1号の出資企業であり、出資額は2,000万円、地元金融機関によるファンドの地元企業への出資は、地元ビジネスマンにも期待を抱かせるものです。
その企業はボナック、核酸化学の技術に強みをもつ同社のビジネスは原薬製造と医療開発と、現在、成長がもっとも期待されているメディカル分野の企業です。
- ボナック:Bridge Of Nucleic Acids Chemistry
意味:核酸化学の架け橋 - 本社:久留米市
やってきた企業は去っていく可能性もあります。同社は自社の研究拠点として沖縄県うるま市にも開設しています。
同市への研究拠点開設は2013年2月ですので、ちくぎん地域活性化ファンドの組成前であるものの、うかうかしていると逃げられる可能性もあります。
同社への資金供給はベンチャーキャピタル、国の機関などからもされており、地元へつなぎとめておくためには、ひきつづき同社によりよいビジネス環境を提供しなければならないことでしょう。
同社社長の知事への表敬訪問には筑邦銀行の"口添え”もあり、お金だけでなく情的支援もあったようです。
■ 九州ちくご元気計画 7
同事業は2015年3月で終了し、事務局は解散、事務所は撤収となります。事業終了とともにノウハウもなくなってしまうところですが、同事業から起業した元気計画OBもいます。アンテナショップ「うなぎの寝床」を運営する二人組は、そのOBです。
2015年3月終了
同アンテナショップでは久留米絣のもんぺなどを取り扱い、地域の産品を販売しています。
さらに東京、大阪にも進出し、"まずは働き口がげんきでないと”の精神は引き継がれています。
同事業は終了しましたが、このノウハウを得た近隣自治体では、この仕組みを応用して同事業終了後も引き続き取り組む自治体もあるとのことです。
事業を運営していた筑後地域雇用創造協議会によるホームページでは「ほしい!」と思えるような商品が並べてあります。商品にはストーリーがあり、それに関わる人にはドラマがあり、同ホームページは読みものとしても十分楽しめます。
残念なことに運営者不在のため、ホームページは残っても商品を買うことはできません。
■ ゴム 18
久留米市は大きな魚を逃したようです。ブリヂストンの株式をもっておけば配当金収入などが見込めたのですが、残念ながら保有はありません。
ブリヂストンは円安もあって2014年12月期の決算は4期連続で最高益となりました。
久留米市には最高益をたたきだしつづける会社からは、地元工場の固定資産税と働く人の給与総額の0.25%と工場社屋の延床面積1㎡につき600円の事業所税しか久留米市には入ってきません。ちなみに数字は2014年のものです。
1株当たり配当額 100円
配当性向 69.6%
連結決算の売上高営業利益率はここ2年、10%超となっており、すでに国内よりも海外の売上高が大きく、ここ2年の売上高の海外比率は8割を超えています。同社の有価証券報告書の沿革の第1行目には
1931年3月 福岡県久留米市にブリッヂストン株式会社を設立し、自動車タイヤの生産を開始
とあるものの、久留米とのご縁はそれだけであったようです。配当性向は国内企業の2倍ある同社ですが、株式を保有していない久留米市には、なんら経済的恩恵はありません。
従業員編成のブリヂストン吹奏楽団久留米の音色で我慢しましょう。
【 ブリヂストンの久留米の工場 】
■ テニスの国際大会
地元久留米で開催される国際テニス大会の公式ボールはブリヂストンです。やはり大会が同社の創業地であるからでしょうか。
クルム伊達公子選手、マリア・シャラポア選手の参加はありませんが、久留米では女子の国際テニス大会が開催されています。
テントを張った受付のとなりでは焼きソバの露店が出ており、一見、"草テニス大会”に見えます。同大会は草テニス大会ではなく、世界的テニスの権威ITF公認の大会です。なお、観戦は無料です。
賞金総額 50,000ドル
この大会名にある「ベストアメニティ」は、地元久留米に本社を置く食品ビジネスの会社であり、その社名です。
同社の主力商品は雑穀米であり、その製造、販売が事業であり、同事業以外にも飲食店、旅館と幅広く事業展開しています。
同社が運営する旅館「ふかほり邸」は、ミシュランガイド福岡・佐賀2014では、温泉付き宿泊施設として格付けのなかでは最高位の「最上級の快適」に格付けされ、さらにとくに快適である赤の表示がされています。
会社の設立は1990年、主力商品の雑穀米の販売でビジネスを伸ばしてきました。素材発掘のために社長自ら大型バイクを駆って国内各地の契約農家をめぐっています。
ネ―ミングライツ:3,000万円
平成26年契約金額
同社はスポーツの支援に力を入れており、国際テニス大会のスポンサードだけでなく、鳥栖スタジアムのネーミングライツを購入し、同スタジアムは「ベストアメニティスタジアム」の名称で呼ばれています。
社内にはスポーツ部も置かれ、同社所属の濱田真由選手は2015年世界テコンドー選手権大会で金メダルを獲得いたしました。
【 ベストアメニティカップ2015 】
■ 久留米の宗教スポット
久留米にもそびえたつ観音様がいます。62mの巨大観音像は遠くからでも近くでも不気味に見えます。
同地には千葉県成田市の成田山の分院:成田山久留米分院が開山されており、宗教スポットでありますが、巨大建造物があることから観光スポットにもなっています。
大人/500円
建設協力金
観音様のなかには入ることができ、頭部からは筑後平野を眺めることができます。巨大なだけに観音様の固定資産税はどうなっているのかが気になります。
【 成田山の観音様 】
■ 町の財政 4
「公務員は減らせ」が世の中の声の基本です。声のとおり久留米の場合も減っています。2009年度は普通会計部門の職員は1,728人でした。
2013年度には1,644人となり、4.8%の「減」です。
歳出に占める人件費の割合も2009年度には14.1%ありましたが、その後の5年間で少しずつ減らし2013年度は11.7%となりました。
職員は減ったものの、行政の仕事量を金額で示す一般会計は増えています。
2009年度 1,206.7億円 → 2013年度 1,267.1億円
そのため職員一人あたりの仕事量は増えました。
2009年度 6,983.2万円 → 2013年度 7,707.4万円
すでに市町村合併は済んでいますので面積増による仕事量の「増」はありません。しかし、職員は減っていくので一人あたりのカバー面積は増えていきます。
2009年度 13.4万㎡ → 2013年度 14.0万㎡
年度 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 |
一般会計 |
1206.7 | 1232.7 | 1185.7 | 1232.9 | 1267.1 |
一般会計部門職員 (人) |
1728 | 1715 | 1684 | 1669 | 1644 |
職員あたり |
6,983.2 | 7,187.8 | 7,041.0 | 7,387.1 | 7,707.4 |
上記の数字は普通会計部門の職員一人あたりの一般会計の金額です。金額で示す仕事量は2009年度比で10%の「増」となり、あと数年で職員一人あたりの仕事量は1,000万円「増」となる勢いです。
なお、2012年度の普通会計決算での毎月の給料、手当、ボーナスを含んだ職員一人あたりの給与は以下のとおりです。
641.0万円
仕事量が増えた分、残業が増えたのか2011年度から2012年度の間で職員一人あたりの時間外勤務手当は年間19.8万円の「増」となっています。にもかかわらず市庁舎に夜遅くまで電気がついていると「ムダに電気をつけるな」とお叱りがあるそうです。
参考:久留米市総務部人事厚生課:平成25年度久留米市の給与・定員管理の状況
■ 田主丸 7
住んでいる人は「住みやすい町」といいます。さびれていく町でも活性化に取り組む人もいます。当地で300年余りつづく若竹屋酒造場の14代目の社長林田浩暢氏です。
同社は日本酒だけでなく、醤油、ワインも製造し、いまではワインの醸造の技術をもって柿、いちじく、いちごなどのフルーツを原料にしたリキュール生産の委託先ともなっています。
巨峰ワインは、単純に「ワイン」ではないといいます。「醸造」と「醸す」技術はちがい、そのノウハウを持つことから国内からのリキュール生産、フルーツの加工の引き合いがあるとのことです。
同社グループ会社の運営する巨峰ワイナリーは、そのワイナリーとしての生産施設だけではなく、森の中にひっそりとたたずむ飲食店は、人気のレストランともなっています。
創業当時の酒蔵と母屋の一部を改装して、和食を提供する飲食店:「和くら野」もオープンしており、地域外の人を呼び込む取組をされています。
巨峰の産地だから巨峰ワインの生産という単純な図式ではありませんでした。現社長の先代博之氏は、田主丸黄金時代の立役者の一人です。
うまく栽培できるかどうか迷う農家に「売れ残ったら全部買い取る」と全量買い取りを呼びかけます。全量買い取りは、地域の産品がブレイクするかどうかのキーワードです。
リスクを背負う行動は、地元に何代も続く酒蔵としてのノブレスオブリージュかもしれません。
結果として心配なく栽培できたため、その後の巨峰ワインがあるります。
「全量買い取り」を約束した当主にはワイン醸造の知識はなく、その当主の長男(14代目の父)が生産を仕切らなければなりませんでした。
林田氏は、蔵開きではJRの臨時列車を走らせ、夏のイベントではバスをチャーターします。こういった取組も地元に人を呼び込むための仕掛けです。地元の人はだれもしないので自分がやるというのが氏の理由です。
地元にも観光協会がありますが、さまざまな理由でなにも動かないとのことです。ただ、自社の施設だけに人を呼び込むようなことでは、地元の人に歓迎されないとも。
県の経済団体の理事をつとめるだけあって自社誘導にはならない?なれない?ようです。自社のビジネス拡大と町の活性化の両方に取り組んで、地元の人に理解され地元を盛り上げます。
■ 地元セレブ予備軍
当地にもゆるキャラがいます。肩書きは「キラリ久留米宣伝課長」、名前は「くるっぱ」、趣味は散歩です。
同課長は久留米市のイメージキャラクターであり、筑後川生まれの河童です。特別住民票が交付され、楢原利則久留米市長より特別市民の称号を受けています。
同課長は「着ぐるみ」であることを公認しており、貸し出してもらうこともできます。この点は、他のゆるキャラと違うところですが、目下のところ知名度が上がらないのが悩みの種です。
【 地元ゆるキャラ:くるっぱ 】
■ 地元セレブ 中野浩一氏
「捲り」を読めるようであればかなりの競輪通です。「まくり」と読み、競輪選手の戦法の一つです。
久留米にはギャンブルをスポーツにかえた人物がいます。久留米競輪場が生んだ競輪選手中野浩一氏です。
氏は地元久留米の良山中学校の卒業し、となり町の高校へ進学し、その後、競輪学校にすすみます。その後の活躍は言うまでもありません。
1992年に現役引退し、同年11月には久留米市名誉市民栄誉賞を受賞しています。ちなみに、藤井フミヤ氏も中野氏と同じ中学校の卒業生です。
中野浩一氏は、でしゃばらない人柄も手伝って国内では「人のいいおじさん」ですが、海外の自転車競技界では知らない人がいないほどの顔の知られた日本人です。
とくに自転車競技のステイタスが高いヨーロッパでは、「神」的存在でもあります。日本のプロスポーツ選手として、はじめての1億円プレーヤーとなり世界選手権10連覇を達成し、引退後は紫綬褒章を授与されています。
「諏訪野町の喫茶店でよくカレーを食べているのを見る」という地元の人の目撃談もあります。いまいち信憑性はなく、そもそも東京在住の氏が
「地元でカレー、しかも『よく』?」
ですが、「(地元の)喫茶店でカレーを食べている」という行為が語られることが氏の飾らない性格と地元の人たちのひいきぶりをあらわしています。
久留米競輪場では中野浩一氏の功績をたたえ、氏の名を冠した「中野カップレース」が毎年開催され、同レースはドル箱レースにもなっています。
【 久留米競輪場 】
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